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性教育をアップデート!③~性的同意ってなに?~

『もやもやラボ キミのお悩み攻略BOOK!』
著者:シオリーヌ(大貫詩織) 発売日:2021/6/23
発行:小学館クリエイティブ 発売:小学館


思春期を迎えた小学校高学年の子どもにむけた性教育本ができました!身体や心の成長に関する悩みから、友だち関係、恋愛、SNSの使い方まで、子どもたちの悩みや不安に答えます。
この本を作るにあたり、大人も「性教育」についてアップデートしていかなきゃいけない、と強く感じました。
そこで、編集担当が最近の性教育事情や意外と知らない性の話などをお届けしたいと思います!

性的同意とは?

性的同意」という言葉を知っていますか?

性的な行為をすることに対して、それを積極的に望んでいるか、お互いに確認し合うことです。
「性的な行為」には、キスや身体にふれることも含まれます。

それらをしたいと思ったとき、同意を確認することが大切。
性的同意はカップルや夫婦間でも必要で、どちらかが望んでいない場合の性的な行為は性暴力となります。

「はさみ借りてもいい?」「ランチはパスタにしない?」「この仕事少し手伝ってもらえる?」
こんなふうに、「同意」の確認って日常生活ではふつうにしてますよね?
いくら親しいなかでも、相手の気持ちを無視したら、円滑なコミュニケーションはできません。性行為も同じです。

よく、少女マンガや恋愛ドラマで、急にキスされて胸キュン! なんてシーンがありますが、性的同意の考えからするとNGだな・・・と思います。余談ですが。

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『もやもやラボ』より

性的同意の判断ができる年齢は?

わたしが、児童向けの性教育本をつくりたいと思ったきっかけが、性的同意年齢(性交同意年齢)でした。

これは、性的な行為に対して同意する能力がある年齢で、日本では13歳と定められています。
同意する能力とは、性行為のリスクを知っている・避妊や性感染症に関する正しい知識をもっている・性的な行為を断ることができる、ということ。

その判断がきちんとできると認められているのが13歳。

13歳といえば中学1年生です。
小学校で性教育の授業を受けていても、性行為や避妊の方法については学んでいないことがほとんど(学習指導要領に記載がないので)。

それなのに性的同意能力があると法的に認められてしまっている・・・
そのことに違和感を覚えたし、このことがあまり知られていないのはなぜなんだろうと思いました。

性的同意年齢の引き上げは?

先月、性的同意年齢の引き上げについての議論が話題になったことを知っていますか?

性的同意年齢の引き上げは世界でも進んでいて、日本と同じ13歳だった韓国は2020年に16歳になりました。
先進国では、アメリカは16~18歳(州による)、カナダ・イギリスは16歳、フランスは15歳、イタリア・ドイツは14歳だそうです。

13歳だとなにが問題なの? と感じる人もいるかもしれません。

たとえば、性暴力の被害者が13歳以上だった場合、被害者自ら「同意の上であったか、抵抗したのか」などを説明しなければいけません。
でも、性行為の同意の有無を見極めるのは、とても難しいと言われています。
抵抗や拒否した事実を立証できなければ、同意の上だったということになります。

一方で、児童福祉法では18歳未満との性行為は規制されていますよね。
これによって、18歳未満は守られているという考えもあるようですが、同意の上だったと捉えられてしまうことに、変わりはありません。

私自身、まだまだ勉強不足で問題をしっかりと議論できるほどの知識が十分ではありませんが、性的同意年齢が13歳のままでいいとは、やっぱり思えません。

それに、年齢が引き上げられることも大事ですが、当事者となる子どもたちが守られることが第一だと思います。

なので、法や社会が変わらなくても、きちんと子どもたちに性教育をしていくことが、いま私たち大人にできることなんだと思います。


ハードルを下げた性教育本『もやもやラボ』

児童向けの性教育本『もやもやラボ』では、YouTubeで性教育を発信して支持を得ているシオリーヌさんに執筆を依頼しました。

YouTube視聴層である若い世代の声を聞いていること、思春期保健相談士として精神科児童思春期病棟で勤務されていたことが決め手でした。

『もやもやラボ』では、そんなシオリーヌさんが見たり聞いたりしてきた、子どもたちの疑問・不安の声にこたえています。

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『もやもやラボ』より

この本のなかで大切にしていたことは、答えを教えることではなく、いろいろな選択肢や考えを示すことです。
いろんな意見を聞いて、最後は子どもたち自身が「自分らしい」と思える道を歩めることが理想です。

思春期を迎えたお子さまに、「ちょっと読んでみたら」と渡してほしい。
学校の図書室や保健室に置いて、気になる項目だけでもいいから読んでみてほしい。
そんなふうに思っています。


前回までの記事はこちら!


担当:市村

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