選択する自由がもたらす、軽やかな生き方
あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、「アサーティブ権」という概念があります。これは、他者とのコミュニケーションをより楽に、そして自由にするための大切な考え方です。
「権利」と聞くと、少し堅苦しく感じるかもしれません。しかし、アサーティブ権は、日常の中で私たちが自分自身や他者と向き合うときに、心を軽くしてくれるものです。今回は、このアサーティブ権について詳しくお話しし、あなたの生活やコミュニケーションにどう役立てられるのかを考えていきます。
アサーティブ権について考えるとき、代表的なもののひとつが「自己主張しない権利」です。この言葉を聞いて、「えっ?」と思った方もいるかもしれません。アサーションを少しでも学んだことがある方なら、「アサーション=自己主張」と覚えているはずです。それなのに、自己主張しない権利とはどういうことなのでしょうか?
実は、この「自己主張しない権利」にこそ、アサーティブの本質が隠されています。アサーティブとは、単に自己主張することを意味するのではなく、自分の気持ちや考えを尊重しつつ、相手の立場や気持ちにも配慮するコミュニケーションのあり方です。そして、ここで重要なのが、「自己主張する」か「自己主張しない」かを自由に選べるということです。
アサーティブ権が教えてくれるのは、自己主張は義務ではないということです。自己主張しないこともひとつの選択肢であり、それを選ぶ自由が私たちにはあるのです。
アサーティブを学ぶ多くの方は、自己主張が苦手で、「自分の気持ちをもっと伝えたい」と思っていることが多いです。だからこそ、相手を尊重しながら自分の気持ちを正直に伝える方法を学ぼうとします。しかし、アサーティブとは、「自己主張しなければならない」という義務感から解放されることでもあります。
例えば、これまで自己主張を避けてきた人が、「自己主張する」という新しい選択肢を手に入れること。これがアサーティブを学ぶ目的のひとつです。逆に言えば、自己主張するという選択肢があることで、あえて自己主張しないことを選ぶ自由も生まれます。重要なのは、どちらを選ぶにしても、それが自分自身の意思による選択であることです。
アサーティブ権の考え方は、自分自身だけでなく、他者にも同じように適用されます。私たちは自己主張する権利も、自己主張しない権利も持っています。そして、同じように他者にもそれらの権利があることを認めるのです。
「自己主張する権利があるのは自分だけ」と思ってしまうと、相手の気持ちを無視したり、相手を責めたりしてしまうかもしれません。しかし、アサーティブな考え方では、自分が自由に選択できるように、相手も自由に選択できる権利があると考えます。
これは、過度な「べき」「ねば」に縛られた生活を楽にしてくれる考え方です。「こうするべき」を「こうしてもいい」「こうしなくてもいい」に変えるだけで、私たちはずいぶんと気持ちが軽くなります。そして、その自由な選択をお互いに認め合うことで、より穏やかな関係を築くことができるのです。
アサーティブ権の中には、「失敗する権利」も含まれています。これもまた、とても重要な考え方です。何か新しいことに挑戦するとき、「失敗したらどうしよう」という不安に押しつぶされてしまうことはありませんか?でも、失敗する権利があると考えると、少し気が楽になります。
たとえば、自分の気持ちを伝える場面を考えてみてください。うまく伝えられなかったとしても、「失敗する権利があるんだから大丈夫」と思えれば、次のチャレンジに向かうエネルギーが湧いてきます。この考え方は、アサーティブな生き方を身につけるための大切なステップです。
アサーティブな生き方とは、自分を尊重し、他者も尊重する生き方です。そのためには、まず自分自身に目を向け、自分がどんな選択肢を持っているのかを確認することが大切です。そして、その選択肢を自分の意思で選ぶ自由を認めてあげること。それが、アサーティブな生き方への第一歩です。
アサーティブ権を知ることで、私たちは自分の感情や行動を自由に選び取ることができるようになります。そして、その自由を他者にも認めることで、より楽に、より豊かに生きることができるのです。
「人生の主導権を握る!自己実現の教科書 強みを見つけ自己肯定感を高める方法」
Kindle版
ペーパーバック版