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「あり得ない」と感じる瞬間が教えてくれること

前職での忘れられない出来事があります。同僚と後輩の間で起きた一場面が、私の考え方に大きな影響を与えてくれました。

その日、同僚は昼休みも取らず、忙しく仕事をしていました。後輩はそんな彼女を気遣い、「お腹が空いているはずだ」と思い、パンを買って机にそっと置いておいたのです。とても思いやりのある行動だと感じますよね。

ところが、事務所に戻った同僚の反応は予想外のものでした。彼女は机に置かれたパンを見て、「これ、誰?」と尋ね、後輩が手を挙げると、なんと「要らない」と返したのです。その瞬間、私は言葉を失いました。

もし自分だったら、きっと素直に受け取り、「ありがとう」とお礼を言ったでしょう。たとえそのパンが自分の好みではなかったとしても。それが私にとっての「当たり前」であり、「常識」だと思っていたからです。

でも、同僚のこの反応は、その「当たり前」を簡単に壊してしまいました。最初は驚きが勝ちましたが、だんだんと「えっ、そんなのもありなんだ」と思うようになったのです。

もしこの出来事がなければ、私は今でも「後輩の気遣いを断るなんてあり得ない!」と怒りを覚えていたかもしれません。実際、当時の私は他人の言動を「正しい」「間違い」で判断してしまうことが多かったのです。

でも、この同僚の言動は、あまりにも自分にとって「あり得ない」もので、むしろ新しい視点を与えてくれました。それは「自分の常識が、他人にとっての常識とは限らない」という気づきでした。この出来事を通じて、自分が勝手に正しいと思い込んでいた「べき」「ねば」を見直すきっかけになったのです。

他者の「あり得ない」と感じる行動に出会ったとき、それを否定するのではなく、「自分の視野を広げるチャンスかもしれない」と受け止める心構えが大切だと思います。そのためには、まず「自分にとっての当たり前とは何か?」を自覚することが必要です。

私にとってこのエピソードは、自分の「当たり前」を疑い、他者の価値観に目を向けることの大切さを教えてくれるものでした。同僚の「要らない」という一言は、自分の選択肢を広げる一歩になったのです。「こんな考え方もあるんだ」と気づくだけで、自分の思考や行動の幅はぐっと広がります。

日常の中で他人の行動に驚いたり、違和感を覚えたりすることがあったら、それを自分の固定観念を広げる機会だと捉えてみてください。「なんでそんなことをするの?」と責めるのではなく、「どうしてこうしたのだろう?」と好奇心を持ってみる。そうすることで、自分の思考の幅が広がり、他人との関わり方にも余裕が生まれます。

私たちの「あり得ない」と感じる瞬間には、新しい価値観を学ぶチャンスが隠れています。それを受け入れることで、自分自身をもっと自由にすることができるのです。


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ちしき
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