よりよく生きる その6
コーチングとの再会が、自分にとってはすごく運命的だったなと思うのは、ファシリテーション講座を開催されたコーチのSさんがちょうどそのタイミングで大きなイベントを企画されていたからです。
それは、熊本で数百人規模の人たちを集めてのコーチ・フォーラムの開催、そしてそれと同時に日本コーチ協会・熊本支部を設立するというものでした。
その当時コーチングを学んでいた訳でもない私は、当初自分には関係のない話しだと思っていたのですが、いろんな方がイベントと支部設立に関わっていることを知り、自分も何か出来ることがあるのであればとの思いで参画することにしました。
それまでの自分の所属するコミュニティと言えば、職場か地域のつながりくらいなものだったので、社外のいろんな職業の、いろんな価値感を持つ人たちとの関わりがとても刺激的で、自分に大きな変化をもたらしてくれた(とても時間は掛かったけれど)と思っています。
その証拠に、良いものも、悪いものも、この当時の思い出としていろんなことが残っています。
そのいくつかを書き綴ってみます(時系列ははっきり覚えていないので、適当です)。
一度Sさんの声かけで、コーチの方やコーチングを学んでいて何らかコーチングに関わっている方々が集まる食事会に参加したことがあります。
まったく社交的ではない私は、この種の(ほとんどが初めて会う人たちばかりの)イベントに参加するのはとてもハードルが高く感じる人です。
ちなみに、“感じる”と現在形なのは、だいぶマシになったとは言え、未だにそうだから。
それでも、「何か変えなきゃ!」との思いを強く持っていた私は、その苦手なことにチャレンジすることに価値を置いていました。
だから頑張って(?)参加することにしたのです。
で、結果はと言えば、「行かなきゃ良かった」との後悔しきりでした。
そのお店はあまり広くはなく、私はカウンターに座っていました。
基本的に、自分から話しかけるタイプではないし、たいして話題も持たず何を話して良いのかもわからない私は、終始孤独感を感じていました。
たまに自分のところに来て話しかけてくれる人はいるものの、話しがあまり続かないのですぐにどこかに行ってしまい、一人で手持ち無沙汰にしている時間がほとんどでした。
「何でこんなところに来てしまったんだろう?」と後悔するばかりで、早く終わらないかなぁと思うばかりでした。
こう書くと、単なるイヤな思い出になってしまうのですが、私にとってはこの出来事も自分を変えていくためのきっかけの一つにもなったと思っています。
そこからすぐに何かが変わった訳ではありませんが、時間を掛けて取り組んできたことがあります。
それは、初対面の相手に出来るだけ笑顔で接するということです。
それをごく自然に出来ている人にとっては「なーんだ」ということかも知れませんが、その当時の私にとってはとってもハードルの高いことでした。
後々、上で書いた食事会に参加していたコーチの方にその当時の私について抱いた感想を教えてもらいました。
「何だか固そうで怖いし、つまらなそうだった」
これを言われたときには自分が少し改善しつつある時であり、“過去の私”というニュアンスで話してくださったので、ショックということではなく「やっぱ、そうだったよね」という感想ではありました。
いずれにしても、内面はともなく、第一印象が大事だよなと思った私は、初対面の人との挨拶では極力口角を上げて接するように、それをトレーニングだと思い繰り返し取りくんできました。
そこから十数年経った今では、初対面でもそんなに取っつきにくいと思われることはないと思います。
とは言え、「社交性」が手に入った訳ではないので「知識さんは、いつお会いしても初対面ですね」と言われるくらい、簡単に打ち解けられないのは未だに同じですが。
それでも、こうやって、一つのことを意識してやり続けたことで一つの成功体験を得たことは大きな意味を持っていました。
それは、あり方と実際の振る舞いの関係についてです。
別の言葉で言えば Being と Doing の関係です。
基本的に、どんな自分であるかが、どんな振る舞いをするかに反映されます。
固い、怖い、つまらないと言われていた当時の私は、ある意味本当に「自分はつまらない人間だ」と思い込んでいました。
「自分なんかが相手にポジティブな影響を与えられるわけがない」とも思っていました。
そして、そういう自分だと当然相手に対してにこやかに接することなど出来ません。
だからと言って、あり方を変えようと思ってもいきなり「自分は相手に好印象を与え、ポジティブな影響を与えられる人だ」なんて思えるわけがありません。
先にあり方を変えようとしても、そこには出口がないのです。
だから、変えるべきはまず行動です。
すでにあり方が変わった前提で、ある意味変わった振りをして、その自分がとるであろう行動をするということです。
中身は変わっていないけれども、外面だけでも変わった振りをするということです。
変わった振りを続けていけば、少しずつ、少しずつ内面も追いついてきます。
すなわち、行動からあり方を変えるということ。
私の場合で言えば、初めての人に対しても頑張って笑顔で接することで、相手に受け入れてもらえた感が出てきて「自分はつまらない人間であり、相手から受け入れてもらえない」との思い込みが少しずつ薄れていきました。
こうやって、行動からあり方を変えていくというのは、未だ変わらずやり続けていることでもあります。
長くなったので、他の思い出は次の機会に。
ストレングス・ファインダーの活かし方について動画をアップしています。
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