アサーティブに伝えるということ その1
伝えるということは、違いを受け入れるということ。
たとえば、「たくさん」という言葉も、人によって感じ方が違います。同じ数字を見ても、ある人は「多い」と思い、別の人は「少ない」と感じるかもしれません。私たちは同じ「物差し」を持ちながら、その物差しにあてはめる「基準」がそれぞれ違うのです。でも、それは悪いことではありません。ただ「違う」という事実があるだけなのです。
水が半分入ったコップを見たとき、ある人は「半分も入っている」と思うかもしれませんし、別の人は「半分しか入っていない」と感じるかもしれません。あるいは、ただ「水が半分入っている」と事実を伝える人もいるでしょう。満たされていることに目を向ける人もいれば、足りない部分を見つめる人もいますし、どちらも気にしない人もいるかもしれません。
大切なのは、そこに正解も不正解もないということです。ただ「違い」があるだけです。私たち一人ひとりには、それぞれの価値観や物事の見方、考え方の癖があって、それに基づいて世界を見ています。同じ出来事でも、そこから生まれる物語は人それぞれ異なるのです。
私たちは、つい「自分が見えている世界は、他の人にも同じように見えている」と思い込んでしまいます。でも、そんな思い込みが、私たちのコミュニケーションを難しくしていることがあります。
伝えることの第一歩は、「自分と他人は違う」という事実を認め、受け入れることです。そして、自分の気持ちを率直に伝えながら、相手の意見も大切にすることが、アサーティブなコミュニケーションには欠かせません。
コミュニケーションで行き違いが起こるとき、その多くは出来事に対する捉え方の違いが原因です。価値観、大切にしていること、求めているもの、考え方の癖といった多くの要素が、その違いを生み出します。
自分と相手の捉え方や行動の違いに気づくことで、それまで感じていた違和感が、ただの「違い」に過ぎないと気づくことができます。そうすれば、自分の意見を伝えながら、相手の価値観も尊重する対話ができるようになります。そうして、お互いの理解が深まっていくのです。
自分の価値観だけで作り上げていた世界の外に、他者の異なる世界があると知ること。それは、ちょっとした驚きであり、尊い気づきでもあります。そして、その世界も尊重してみようと思う気持ちが生まれることで、より良いコミュニケーションが始まります。
これこそが、より豊かで深いコミュニケーションの第一歩です。
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