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彩りが必要

僕は老人ホームで働いている。


ちょっと本題に入る前に
だいぶん遠回りをするけれども。

まずはじめに、

いろいろな視点・立場から、
いろいろな考え方があると思うので、
その中のひとつの意見、というだけ。
そんな目線で聞いていただきたいのですが。

…ほんとに、ただの一意見。ですが。


老人ホームに
心から【入所したい!】
と思って入る人は、
多分いないと思う。

いろんな事情があって入所を決めた
ご家族のことを悪くいうものではありません。

介護は大変。
それは身をもって心得てますので。

でもまぁ、
そりゃあ居れるなら家にいたいよね、
っていうのは、わかっていただけると思う。


…で。


本当なら家にいたかったけど、
事情があって入居した方には、
なんらかの楽しみがいると思う。

…いや事情がなくてもいいか。

生きていくためには、
誰にだって楽しみが、

言わば、
生きがいがいる。


皆で参加する体操だったり、
たまに来るご家族だったり、
趣味の編み物だったり。


なんでもいい。

何か、彩りが要る。


彩りがないと、
ただ援助を受けるだけの人生になってしまう。

それはたぶん本人さんも辛いし、

こちらも辛い。


で。


毎日のご飯。
食べることって、

結構最終的なところまで、
楽しみになってくれる。

もちろん誤嚥(気管に入っちゃうこと)
のリスクも伴うので、

昨日のおむつの話


もしかり、

詳細な観察から、
適切な食事形態やら補助具の選定など、

問題点に対する対策が必要になるけれども。


で。

ご自分で食べれない方もいるので、
そういう方には、食事介助が必要になる。


もちろんただ口に入れればいいってもんじゃない。

介助のスピードやら
一口の量など直接の影響はもちろん、

テーブルや椅子の高さ、
お膳までの距離とか、
集中できる環境を整えたり、
食事を取るときの姿勢を整える必要がある。

…勝負は食事前からすでに始まっている!
(#勝負ではない)


そう、
食事時の姿勢は、かなり重要。

顎が上がっていると気管に入っちゃうし、

逆に円背(猫背みたいな感じ)が強いと
そもそも口に入らない。

自身で姿勢が整えられない方は
そこからの介助が必要になる。


で、
この辺からやっと
今日思ったことなんだけども。


ある入居者さん、
食事の時にお顔が上がらない。

円背が強く、
普通の車いすだと顔が真下を向いてしまう。

どんどんそれが強くなってきていたので、
背もたれが倒せる車いすを借りていた。


それでもどんどん前屈みが強くなり、

最近、座面ごと後ろに倒せる車いすに
レンタル変更していた。

これだと食事が入りやすい。

まだ、食事を楽しんでもらえそう。

そう思っていた。





で。

で、ですよ。


今日、その車いすをレンタルしている
福祉用具の方から、

『前からの車いすを引き上げていないので、
今月は二台分のレンタル費がかかります。』
と連絡が。



…ちょっと待て待て。

【一人で車いす2台レンタルする人おらんやろ!】



一応大人なので、

「2台目レンタルする時はデモ期間終了時に、
「こちらをレンタルします」とメールしましたよ?」
と丁寧に伝えたが、

『はぁ。でも前のやつを引き上げてくれ、
というご指示はいただいていないので。』




…ピキッ。


【あなたがどれだけ苦しそうに溺れていたとしても、『引き上げてください』と言うまで絶対に引き上げないことが今決まりました。】


と心の中で思いながら(#大人)
メールを見ていると、

「新しい方をレンタルしますので、
前からの分は解約お願いします」

というメールを送っていたことが判明。


お伝えすると不満そうな声で
『あー、確かに書いてますね…。
早急に引き上げさせてもらいます。』と。



いやね、

その一月分のレンタル費がなんぼのもんよ?

それで、こっちの信用を失ってどうするのよ?


ビジネスの世界では、
そういうものなのかもしれない。

とったとられた、
言った言わない、

やられたらやり返す!
倍返しだ!

みたいなね?
(#言いたかっただけ)


だから、
僕は甘いのかもしれないけども、

少なくとも、
直接入居者さんに関わる仕事をしてるんだから、
僕らの目的は同じはずじゃないか。


美味しくご飯食べてもらいましょうよ。

彩りの手助けしてくださいよ。



次やったらレンタル全部解約してやる。
(#黒ねずみ)



お読みいただきありがとうございました。




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