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“論理的思考能力を多面的に捉える”ということ

2021年のおいかぜ新卒採用選考、いま佳境を迎えています。

来週からグループワークでの最終選考。いやはや。とても楽しみです。

採用って、良い人材を社内に招き入れるということ以外に、一緒に面接を担当してくれるスタッフの意外でグッドな考えが聞けたり、自分の感覚的でやっていることや考えていることを言語化できる副次的な作用があって、とても楽しい。そんな日々です。

書類選考、リモートでの一次面接をクリアしてくれたみなさん、話していて面白くて楽しい人ばかりです。なるべく普段通りに話してもらおうと、いろいろな話題を投げかけています。そしていろんな質問や聞きたいことをぶつけてもらうようにしています。

先日の面接中、「わたしは話すとき、内容をうまく纏められず、論理的に組み立てたり考えたりすることが苦手なのですが、どうやってそういうスキルを身につけたらいいでしょうか?そしてディレクターとしてどういうことを勉強していけばいいでしょうか?」と質問されました。

ボクは学生さんに入社までに身につけておいた方がいいスキルは何かあるか?と聞かれたとき、例えばAdobe系のツールを使えるようになった方がいいとか、プレゼン資料をつくれるようになった方がいいとか、そういう具体的な技術の習得を勧めないようにしています。

例えばバンドマンなんだったら卒業までに楽曲作って発表したらどうかとか、デザインが好きなんだったらとことんデザインをやってみたらいいとか、毎日飲み会していろんな人と出会うとかでも面白いし、海外旅行に行きまくるとかでもいい(いまはちょっと厳しいけれど)。何が言いたいかというと「学生の間って時間がいっぱいあるのだから何か好きなことを突き詰めるのがいいよ」ってことなんです。

おっさん的発想で「時間のある学生のうちに好きなことやっといたほうがいいぞー」的な話ではなくって、いま仕事をするうえでアウトプットする技術を磨くよりも実はインプットすることの方が大事なんじゃないかと思っています。アウトプットする技術は就職して仕事をするようになれば身につきます。何もしなくて手ぶらで身につくわけではないけれど、目の前のタスクを必死にこなしていけば自ずと身につくものです。

仕事をするようになって、いざインプットが必要ってなったとき、思うように時間が取れなかったり、そもそもインプットってなんだっけ?とか、インプットってどうやるんだろう?って人がけっこう多かったり。何かに興味や関心を持って自分の血肉にしていくことって、仕事をするうえでの大事なスキルですよね。インプットの方法は人それぞれでどんな方法でもいいんだけど。

ボクが就活生に伝えたいことは、アウトプットの技術とかノウハウって注目しやすいのだけれど、インプットにフォーカスするのって難しいからいまのうちにやっておきな!ってことなのです。

おっと話が逸れました。

さきほどの質問、お話を組み立てるために必要なスキルと問われたときに、ボクはまず一番に「論理的思考能力」という言葉が頭に浮かびました。

そしてその質問に対して「まず論理的思考能力には距離としての長短があって、そして人によって組み立てる得意な手法が違うんです。」と答えました。

今日はそのボクの答えを言語化してみたいと思います。

ロジカルシンキング(logical thinking)とは、一貫していて筋が通っている考え方、あるいは説明の仕方のことである。日本語訳として論理思考あるいは論理的思考と置き換えられることが多い。 ※ wikipediaより引用

論理的思考とはロジカルシンキングと言い換えられる。そして意味としては「一貫していて筋が通っている考え方、あるいは説明の仕方のこと」です。

「地頭が良い」とか「頭が切れる」という人への評価の仕方がありますが、これって「論理的思考能力」が高いってことなんだろうと、ボクは思っています。「論理的思考能力」の言葉の定義は前述のとおりなんですが、この能力ってさらに因数分解ができるんです。と個人的に思っています。

新卒採用のときの選考のボクの評価基準に「論理的思考能力」ってのは当然入っているんですが、この能力についてボク自身がとても多面的に捉えていることに、前述の学生さんの質問に答えているとき、今更ながら気づいたわけです。

1、論理的思考能力を2つに分けてみる

先ほど論理的思考能力とは「一貫していて筋が通っている考え方、あるいは説明の仕方のことである。」と書きました。「一貫していて筋が通っている考え方」「一貫していて筋が通っている説明の仕方」の2つだとあります。ボクはこの2つをそれぞれ以下のような捉え方をして、こんな名前で呼んでいます。

一貫していて筋が通っている考え方 = プロセスとしての論理的思考能力
一貫していて筋が通っている説明の仕方 = アウトプットとしての論理的思考能力

この2つについて、それぞれ説明していきたいと思います。

2、プロセスとしての論理的思考能力

ボクが「この人は論理的思考能力が高いな。」って思うとき、まずそのプロセスあるいは手法として3パターンで捉えています。

A:話しながら組み立てる
B:文章を書きながら組み立てる
C:図や絵を書きながら組み立てる

新卒採用の場合、主に「A:話しながら組み立てる」「B:文章を書きながら組み立てる」で捉える、選考の際に見ることができます。「A:話しながら組み立てる」は面接、「B:文章を書きながら組み立てる」は履歴書やエントリーシートですよ。「C:文章を書きながら組み立てる」はボクはプレゼン資料なんかを思い浮かべて挙げたのですが、人に話しながら見せることを前提とした、「A:話しながら組み立てる」+「B:文章を書きながら組み立てる」の方法なんじゃないかと思っています。新卒採用で「C:図や絵を書きながら組み立てる」でアピールしてくる人は稀ですが、社会人になって仕事の場面では機会が多いと思います。

たぶんもっと多面的に、そして複合的に捉える方法もあるとは思うのですが、ボクはこの3パターンくらいに分けて考えています。

新卒の時に大学のキャリアセンターの方が学生さんに伝える「履歴書とエントリーシート、ポートフォリオ、面接での受け答えにテーマと一貫性を持った方がいい。」なんていうアドバイスはすごく的を得ていて「キミは多面的にプロセスとしての論理的思考能力を評価されているよ!」ってことをわかりやすく言語化してくれています。

3、アウトプットとしての論理的思考能力

論理的思考能力にもう一つ視点を加えることで、さらに立体的なアウトプットとしての能力の輪郭が浮き彫りになっていきます。

それは以下のポイント、距離感覚です。

①:短期的視野
②:長期的視野

ディレクターの場合、お客さんとの打ち合わせなどでの会話、デザイナーやエンジニアとの会話は「①:短期的視野」を求められます。相手の話を聞いて、その場で頭の中で組み替えて、打ち返す。お客さんの話を「こういうことですよね。」と言いながら、図やイラストを使って打ち返すことも、こちらの分類になります。

片や、ウェブサイトの構築といった仕事をプロジェクト全体で捉えた場合、2か月3ヶ月、場合によっては年単位でかかるような案件であれば、俯瞰して長いタイムラインでスケジュールやデザインや技術のことを組んでいきます。こういった作業を実行していくことは「②:長期的視野」に分類されます。

長い計画を考えるとき、プロットをつくるような場面は「②:長期的視野」をベースとして「①:短期的視野」で組み上げていく複合したかたち。実行の段階で改めて「②:長期的視野」が必要とされます。この実行の段階で必要とされる視野は、俯瞰力と言い換えても良いかもしれません。

4、人には得意なプロセスとアウトプットの組み合わせがある

一口に「論理的思考能力」といってもすごく多面的なのです。そして「論理的思考能力」が無いなんて人はいないんじゃないかと思っています。プロセスとアウトプットの組み合わせで得意不得意がある、役割に応じて必要とされるプロセスとアプトプットがあるということです。

要はどの方法で組み立てるのが得意で( = プロセス)

A:話しながら組み立てる
B:文章を書きながら組み立てる
C:図や絵を書きながら組み立てる

どちらの視野で捉えるのが得意か( = アウトプット)

①:短期的視野
②:長期的視野

ということなのです。

どうも世間は「A:話しながら組み立てる」、「①:短期的視野」での「論理的思考能力」を高く評価しがちです。そして自己評価をする時にもその組み合わせで語る傾向が強い気がします。

いわゆる営業タイプな人や経営者は「A:話しながら組み立てる」x「①:短期的視野」が得意なんじゃないでしょうか。ディレクターや進行管理を役割とする人だったら割とオールマイティーに求められるだろうし、デザイナーやエンジニアのような職人タイプは「C:図や絵を書きながら組み立てる」x「②:長期的視野」が得意って人が多い。そんな感じなんじゃないでしょうか。

相手の「論理的思考能力」を評価するとき、自分の「論理的思考能力」について考えるとき、一度このロジックを当てはめてみると、その人の適正が捉えやすくなる。そうすると一面的に人を評価したりすることはないだろうし、自分が何の職種や役割に向いているかという分析に役立つかもしれません。

そして。そんなボクがある日の面接で、「A:話しながら組み立てる」x「①:短期的視野」な論理的思考能力で組み立てたロジックが、だれかのおいかぜになったら、こんな面白くて楽しいことはないなぁと、思いながら「B:文章を書きながら組み立てる」x「①:短期的視野」な論理的思考能力でこの文章を書いていたりするのです。

あぁ。考えることっておもしろい。


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