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重大な問題であるほど見過ごされてしまう!?『傍観者効果』


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ある事象に対して参加者や目撃者が多ければ多いほど自身の周囲にいる「傍観者」と同化してしまい、当事者意識を失い率先して行動を起こさなくなる『傍観者効果』。発生することで生じる影響や類似する心理事象、対策方法などについて解説しています。

■『傍観者効果』とは?

周囲の「傍観」に同調してしまう現象

『傍観者効果(bystander effect)』とは、ある事象に対して参加者や目撃者が多ければ多いほど自身の周囲にいる「傍観者」と同化してしまい、当事者意識を失い率先して行動を起こさなくなる心理事象です。

社会心理学の用語であり、集団心理の一つとして知られ、『バイスタンダー・エフェクト』とも呼ばれています。

■提唱されたきっかけと実証実験

きっかけと立証した実験とは?

◆提唱されたきっかけ

アメリカで発生した事件がきっかけに

この『傍観者効果』が提唱されたきっかけとして知られているのは、1964年にニューヨークの住宅街で発生した婦女殺人事件である「キティ・ジェノヴィーズ事件」です。

助けを求めたにも関わらず対処されなかった事件

事件の概要としては、深夜に自宅アパート前でキティ・ジェノヴィーズ 氏が帰宅途中に暴漢に襲われた際、彼女は悲鳴を上げ、アパートの住人に助けを求めたにも関わらず、通報を受けた警察が駆けつけることもなく、結果、抵抗も虚しく殺害されてしまいました。

悲劇的だったのが、その後の捜査でこの事件の目撃者は38名もいたことが明らかになりました。

それほど多くの目撃者がいたにも関わらず、「無力な女性が誰にも助けられることなく殺されてしまった」この事件は、当時の社会にインパクトを与え、マスコミや世論は都会人の冷淡さを大々的に報じました。

◆実証実験

大学生を対象にした実験を実施

この「キティ・ジェノヴィーズ事件」を契機に、1968年に心理学者のラタネ 氏とダーリー 氏は「都会人が冷淡であることがこの事件の原因ではなく、多数の人が見ていたことに原因があるのでは」「多くの人が気づいたからこそ、誰も行動を起こさなかった」と仮説を立てて実験を行いました。

発作を起こした学生を助けるか?

この実験では、学生を2名・3名・6名のグループに分類し、相手の様子が分からないようにマイクとインターフォンのある個室にそれぞれ一人ずつ通します。

その後、グループディスカッションを行い、途中で1名が発作を起こす演技をするという内容です。

この時に、発作を起こし苦しむ声を聴いた他の学生が行動を起こすか、また行動を起こすまでの時間を計測しました。

結果として、2名のグループでは最終的に全員が援助行動(発作を起こした参加者を助けようとする行動)を起こしたのに対して、6名のグループでは38%の人が援助行動を起こさなかったことが確認されました。

多くの人がいるからこそ「援助行動」が抑制されやすい

この実験結果を受けて、ラタネ 氏とダーリー 氏は以下のように結論づけました。

●多くの人が認識している場面においては、援助行動が抑制されやすい。
●キティ・ジェノヴィーズ事件は「都会人が冷淡だから」ではなく、「多くの人が認識していたから」誰も助けなかった。

そして、多くの人々が見ている(認識している)場面において、援助行動が抑制される現象を『傍観者効果』と名付けました。

個人個人の自発的な行動や思いに頼るのではなく・・・

両名は、この「キティ・ジェノヴィーズ事件」で生じた『傍観者効果』は「個々の人間性に関わらず、誰にでも起こり得ること」であり、このような事件を防止するためには、『傍観者効果』自体を生じさせないような社会システム・仕組みを構築することが重要になると主張しています。

■『傍観者効果』によって生じる影響

発生するとどんな影響を及ぼすのか?

この『傍観者効果』は、自身の身を守ろうとする「防衛機能」の一つと考えられ、メリットと言えます。

しかし、『傍観者効果』が生じることによって、「援助を得られない他者」が発生し、交友関係や社会的な立場に影響を及ぼしてしまうリスクや、解決すべき課題や問題が解消されないという困難な状況が続いてしまうというデメリットもあります。

■『傍観者効果』の発生例

社会全般で起こる事象

この『傍観者効果』は、日々の生活でもビジネスシーンでも垣間見る心理事象と言えます。

◆学校や職場のいじめ

具体例①いじめ

『傍観者効果』は、学校や職場での「いじめ」でよく発生すると言われています。

クラスメイトや同僚がいじめの対象になっていて、いじめがあることを認識しているにも関わらず、「自分でなくとも他の誰かが止めるだろう」「自分が何かをしてもいじめは無くならない」などと、「無関心である」という立場を取ってしまったことがあるかもしれません。

クラスメイトや同僚といった他者の危険を認識しているにも関わらず、助けようとしないことは『傍観者効果』に該当します。

◆会議の場で意見を述べることをためらう

具体例②ミーティングで発言を控えてしまう

ビジネスシーンでも『傍観者効果』は発生します。

「他の参加者も意見していないから」「自分が意見を述べても結論は変わらない」「余計な意見を主張したら周囲から浮いてしまうのでは」と恐れを抱いて発言できなくなってしまうことも例の一つです。

◆電車やバスで座席を譲ろうと思っても行動できない

具体例③座席を譲ろうと思っても・・・

「余計なお世話だと思われるのでは」「譲っても断られてしまうのでは」「自分が譲らなくても他の人が譲るだろう」と行動に移せないケースも『傍観者効果』の例と言えます。


この続きでは、『傍観者効果』の発生する3つの要因、類似した心理事象、発生を予防・解消する方法などについて解説しています。

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BtoBマーケターより。

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