プライマル・ヘルス1 健康とは何か
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今回は、メルマガ14号(2021.8.3)の配信内容です。
プライマル・ヘルス1
ミシェル・オダン先生の本「プライマル・ヘルス 健康の起源」には自然なお産を目指す立場から見て興味深い内容です。皆さんよくご存知の吉村正先生の序文もあり素晴らしい本です。が決して読みやすい本ではありません。しばらく、この本のエッセンスや感想を読者の皆さんと共有したいと思います。
第1章 健康とは何か
オダン氏は1970年代終わりに東ヨーロッパの大病院を訪れ、新生児室で数十人の新生児が産着にくるまれ並んでいたのを目の当たりにした。Nsはマスクをつけて授乳時間になると籠を取りに来る、という現実に、「何かが間違っている、赤ちゃんが危ない!」と直感した。
赤ん坊は母親から引き離され、泣いても叫んでも無駄だということを知らされる。人生とは生きるための格闘であるのに、母親から引き離され、人生と格闘することを諦めた赤ん坊が並べられているのを見て「危ない」と感じたのだ。医学には「医学は科学」という固い信念がある。しかし赤ん坊に絶望を与えるこの対応が、「科学的で正しい」というのは一体どんな理論に立脚しているのか、と批判する。
電気ショックを与え続けられる犬やラットは「学習した無力さ」のため免疫系が抑制される(マーティン・セリグマン1960年代)。免疫系は神経系、内分泌系と深く関わり合っているので、免疫系が機能しないということは、他の調節も機能不全だ、ということを意味する。
医師にとって「健康とは病気でないこと」であるから、病気退治こそが医師の使命であり、病気には原因がある以上治療法は必ずあるという信念になる。
感染症は細菌が原因だから新生児室に隔離して感染症を抑え込む、これこそ科学的医療だということになる。
しかしヒトの本来の健康とは何か?という気づきがないから危険である。第11章の乳幼児突然死症候群はこの「無力さ」と関係している、という意見につながる。サマセット・モームの言葉「医師は病気に支配されている」のとおりである。
*このことは新型コロナ対策でも同じ。自宅に隔離して子どもたちの、女性のメンタルはどうなったか、いつか議論する日が来るだろうと思います。
ここで人の健康に関する氏のプライマル・ヘルス理論を紹介します。聞き慣れない用語なので、私なりの訳名を付けて、全体の関係を説明します。ただ私の訳も熟れていないので、今後変更することもあります。適切な訳語があれば教えて下さい。
P.B(プライマル・ブレイン):
哺乳類に共通する、脳の最も古い部分で、視床下部を中心とした神経、内分泌、免疫系の中枢。基本脳と訳す。
P.A.S(プライマル・アダプティブ・システム):
基本脳(P.B)を土台に、生きるための闘争に必要な免疫系と内分泌系(ホルモン)が互いに影響を及ぼしながら機能する脳のシステムのことで、基本脳適応システムと訳す。生後はこれに大脳の新皮質からの抑制や亢進が加わる。
P.P(プライマル・ピリオド):
赤ん坊の基本脳適応システム(プライマル・アダプティブ・システム)が設定されるまでの時期で、胎児期~新生児期・乳児期に完了する。期間は視覚、聴覚、血圧、体温など個々の項目により異なる。脳システム設定期間と訳す。この期間には基本的要求が満たされている必要がある。
P.H(プライマル・ヘルス):
設定されたシステムはその後長く続く。健康の基本状態と訳す。プライマル・ピリオドに基本的要求が満たされたかどうかで、レベルが異なる。
夫々の関係を再度説明します。
「ヒトは系統的発生からみると、視床下部に代表される古い脳である基本脳(プライマル・ブレイン)を持ち、ここを土台にして、生きるために必要な免疫系や内分泌系を適応させる基本脳適応システム(プライマル・アダプティブ・システム)が発達してくる。このシステムが完成するまでの設定期間(プライマル・ピリオド)中に基本的要求がどの程度満たされるかによって、人の健康の基本状態(プライマル・ヘルス)が異なってくる。」
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