トイレの写真

 土曜日の午前中。文香(ふみか)が公園を訪れると、いつもどおり人気は無かった。
 公園の隅にあるトイレに入った文香は、一番奥の個室に入って扉を閉めた。
(あ、あった…)
 扉の裏側には、ピンク色の封筒がセロハンテープで貼りつけられていた。

  下校中にトイレに行きたくなった文香がその公園に初めて足を踏み入れたのは二ヶ月前。中学生になって間もない頃だった。
 トイレは思っていたよりきれいで安心したが、文香が入った個室の壁にはピンク色の封筒が貼られていた。
 目的を達した後、封筒が気になった文香はその中身を見てしまった。そして、衝撃を受けたのだった。
 封筒の中には、裸の少女の写真が入っていた。
 写真はパソコンで印刷された物だった。文香が衝撃を受けたのは、顔にはモザイクがかけられていたが、少女の体型が文香の体型に似通っていたからだ。また、少女の背後に写っている洗面台は、文香が入っているトイレの物だった。
 文香はその写真を持ち帰ってしまった。それ以来、文香は露出という行為に取り憑かれてしまったのだ。
 下校時に公園のトイレに頻繁に立ち寄るようになった文香が、再びピンク色の封筒を見つけたのは一ヶ月後だった。入っていたのは、トイレの中でオナニーをしている少女の写真だった。少女は全裸だった。
 写真の下には、“写真を見た人は感想を聞かせてください”と書かれていた。
 文香は家に帰るまで我慢できずに、トイレの中で写真を見ながらオナニーをした。写真の少女と同じく、公衆トイレで全裸になってしたオナニーの興奮と快感は、過去には味わったことが無いものだった。
 散々に迷ったあげく、文香は写真の感想と、次にトイレを訪れる日を記した手紙を書いた。その手紙を青い封筒に入れてトイレの壁に貼りつけたのは一週間前だった。

 文香は震える手で封筒を剥がして中を見た。今度の写真には、青いチェック柄の、前開きのワンピースを纏った少女が写っていた。左手で顔の大半を隠した少女は、右手でワンピースの開いていた。少女は下着を着けていなかった。
 文香は着ていた白い前開きワンピースのボタンを外していった。手紙に記しておいたように、文香もワンピースの下には何も身に着けていなかった
 興奮、期待、不安。様々な思いが文香の頭の中で渦巻いていた。その時、個室の扉が叩かれた。三回続けてのノックの後、一拍をおいてもう一度。文香が決めた待ち合わせの合図に間違いなかった。
 文香はボタンを外したワンピースの前を右手で合わせて、恐る恐る個室の扉を開いた。個室の前には、青いチェック柄のワンピースを着た少女が立っていた。
 少女の顔には見覚えがあった。クラスが違うので話した事はないが、同じ中学校に通う同級生だった。相手の少女も文香の顔に見覚えがあったのか、少し驚いた顔つきをしていた。
 二人はわずかな間、黙ったままで見つめ合っていた。やがて、チェック柄のワンピースを来た少女が、口の両端を持ち上げて淫猥な笑みを浮かべた
 文香が肯くと、二人は閉じていたワンピースの前を一緒に開いた。

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