大学で教えた「お金のはなし」
今日はお金の話。お金の考え方は人それぞれ。そして生きていくにはお金が必要。お金を稼ぐために仕事をしているし、ざっくりいうと生きるために働いてる。人が生きてくガソリンとしてお金は必要。
なのに日本の義務教育や大学では、すごいお金の話が少ない。
大学の学部によっては基礎的に学ぶことがあるけど、本当は小学生くらいからお金の授業って必要じゃないかと思う。だって、小学生でもお金使うでしょ?カッター使うときに危ないから使い方を教えるように、お金も危ない側面たくさんある。なのにお金の話は全然教えない。不思議だなと昔から思っている。
今回は僕のお金感を書く。人によって本当バラバラな捉え方があるのであくまで一人の意見として、そして、あなたにとってお金って何だろうを考えてもらえたら幸い。これは芸大の最初の方の講義でよくやってたものを整理してます。
1.あなたの時給はいくら?
働いてる人も、バイトをしてる人も、今の自分の金額わかりますか?時給換算するとわかりやすいです。言える人いるかな。
あなたの1時間あたりの金額をさらっと言える人は少ない。逆にバイトしてる学生だと時給いくらっす!ってすぐ言える。大人になると急にわからなくなる人が多い。これはお金のことをふわっとさせている人の特徴でもある。
コンビニのバイトで時給850円の子がいたとする。その子は私は1時間850円の労働価値です。となる。芸大の非常勤講師はだいたい1コマ1万円くらい。相場知らんけど。90分講義なので時給換算すると6666円くらい。って話をすると学生は高い!羨ましい!となる。
サラリーマンは月給を労働日数(22日)で割ると日給がでる。
それを労働時間の8で割ると時給が出る。いくらくらいでしょうか。
日本のサラリーマン平均すると月収25万らしいです。なのでこれで計算すると時給1420円。都内のコンビニ深夜に少しおまけついたくらい。
もちろん年齢とともにプラスされていきますが、あくまで平均として。
この話すると夢がない!とかちょっとテンション下がる学生が多い。
じゃあ、これを上げるにはどうすべきかを考えようと話が展開する。
まずは自分の労働市場における値段を知ることが土台となる。
2.どうやってお金を増やす?
と聞くと、たくさん働く!と学生の大半は答える。間違ってないけど、半分正解、半分間違いかもね。自分たちが生み出せる価値を列挙してもらう。
レジ打ち、掃除、陳列、接客…いろいろ出てくる。学生はいろんなバイトをしている。なのでそこで身につけるスキルは色とりどり。
次に自分以外の人もできそうなやつは消してみてという。
ザクザク消えていく「できること」。ある学生に残ったのは「どんな酔っ払いのおじさんでもいなせる」という居酒屋バイトスキルだったり、電化製品の本当のオススメを教えれる機械好きの電気屋バイトスキルだったりが残る。
全部消えた子もいる。たくさん残った子もいる。
残ったスキルをみて、これはあなた固有のスキルだと教える。
このスキルを軸に、もう1個別のもの身につけるとしたらどれがいい?と生徒たちの残ったスキルを見比べさせる。これかなぁといろいろ選ぶ。
そうやって、今自分が持ってるものと、まだ持ててないもの(今後欲しいもの)を明確にさせていくと、他のバイトとは違う個性あるバイトが誕生する。もし、その個性(メリット)をもっていて、時給850円だとしたら、その金額は妥当かな?と問いかけると、誰もが妥当ではないという意見になる。このメリットがあれば時給1000円はおかしくない!とか。
お金を増やす最短距離は、計画的に自分のスキルを増やして他にない個性を形作ること。と教えます。ダメなのは最初から頑張って働けばいいという思考。頑張ればいいは思考放棄。好きな言葉ではない。だって、誰だって頑張れるから。重要なのはどう他と違う存在になるか。
こんな話をするとお金が少し楽しくなる。任された仕事をこなしてもらうものではなく、自分の価値を利用して得るものがお金という認識に変わってきます。
3.賭博はだめなの?
合法的なものは遊びでならいいけど、お金増やすための方法としては絶対ダメ。学生のピュアな質問はすごい面白くて、競馬・パチンコ・競艇、あと宝くじ。最近だとFX、ビットコインというのもあった。
賭博は基本的に合理的な方法じゃない。あれで儲かるなら、多分世の中の合法的賭博の大半は跡形もなく消え去ってる。残ってるってことは?でしょ?となる。遊びでならいいかもしれないけど、そこに比重をおいてはいけない。労働のないところで生まれるお金は例えば、闇金とかだねと闇金の仕組みを説明する。自分の値段の話をした後に、この話をするとしっかり意味を理解してくれる。お金の意味と自分の価値が接続されてない状態だとふわふわした話にしか聞こえないから。
FXでもビットコインでも、競馬でもいい。まずはそこのお金の流れの仕組みをしっかりみてみることを教える。お金は社会の血液。なのでビジネスは巨大な生き物、その生態を理解することが超大切。
4.じゃあ、お金を増やしてみよう
で、最後に4チームくらいにわけて即席会社を作る。
学生のバイト時給の平均が1000円くらいだったので各チームに1000円渡す。
次の講義までに合法的な手段でこの1000円を運用してください。という宿題をだす。減ってもいい、ゼロ円でもいいどうやったら増えるかを自分たちで考えて行動してみてくださいという宿題。
2週間後、授業で結果を聞くと面白かった。
1000円札をオークションサイトに1000円で出してみたチーム。
1000円を元手に鍋会を開いて会費で増やしたチーム。
1000円で安い飴を買い込んで中にあたりを入れたチーム(賭博なのでアウト)
いろいろ考えたけど自分たちには労働しかないと引越しを手伝ったチーム(ただのバイトw)
全4チームのレビューをして利益を計算する。
どこも1000円を切ったチームはなかった。損して学ぶことも多いからねと教える。残った利益は各会社の利益として配分。
わーお金増えたーと喜んでるところに数百円の利益で四人いる社員に給料を払っていくと考えたらどう思う?と質問する。会社の難しさ、ビジネスの難しさを痛感する。なので、世の中のほとんどはサラリーマンとして働きます、ビジネスを作るってことは超難しいってわかったでしょ?それでも挑戦した人たちが会社経営をし、たくさんの社員とビジネスを動かしてます。
5.あなたはどんな仕事でお金を得たい?
これらの話をして、じゃあみんなどんな仕事がしたい?って話をする。大学生は就職が一番悩む時期。魅力的な企業もあれば、今まで知らなかった企業も、あんな大きい会社なのに倒産しちゃったり、ついこの前までは小さい組織が急成長したり、激動も激動。そんな時代を生きてくには良い会社に入ることじゃなくて「自分で計画的に成長していける」スキルが必要。
すごい簡単なお金の話しかしてないのに社会の見え方が変わってくる。
その世界で自分はどう生きていくか、学生の最初の目つきとこのセッションを終えた時の目つきが少し変わってるのが楽しい。
お金が自分と密接に関わってることを理解するとお金から学べることはたくさんでてくる。そのきっかけをもっとたくさん与えてあげるのが大事だと思う。
バイトをはじめる高校生くらいからがいいかもしれない。
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「お金って汚いものだと思ってました」という意見が多い。厳密にいうとすごい雑菌がたくさんついてるから物理的に汚いけど、お金のシステムとしてはとてもよくできたものだと話す。もっと知りたいという子には貨幣経済に至る話や銀行の意味だったり、株式会社って何?とかそういう質問にも答える。
「溜まったお金はどうするんですか?」という質問がよかった。
先生の場合は吐き出す。投資に回す。投資先は自分の新しいスキル。最初にやったバイトのスキルチェックと同じで次、身につけたいものに使う。これも人それぞれ価値観違うけど、社会の血液であるお金をずっと溜め込んでると毛細血管破裂してぶっ倒れる。お金は回して自分の成長に投資して、自分の価値を高めて他とは違う存在にどんどん目指していくと、自分の価値があがる。それを僕は繰り返しますと話す。人それぞれだけどね。と付け加えて。
自分なりのお金の考え方を持つことが次の世代にとってとても大事だと思っている。僕も大人になってやっと自分らしい考え方に到れたけど、もっと早く気づいてればよかったなぁと今でも思う。
そんな、大学でのお金の話でした。