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兄ちゃんとおじさんの間

あぁ!!もうだめだ!と年甲斐もなく短パンを履く。35歳だし、短パンとかと思ってたが年齢を超えた気温が続くため根気も尽きて、すごいスムーズにamazonで短パンを注文し、スッと履く。涼しい。短パンすごい。

鏡に映る自分は髭面のかろうじてボサボサの髪は切ったばかりで髭の生えた少年のような格好になっている。その格好で銀行で色々手続き。なんかどこにも収まることができなかった大人だなと待合の椅子に座って考える。はみ出してもうてる。社会からも、なんかいろんな言葉にできない大人のあれこれからもはみ出している。

涼しい銀行で法人のやりとり云々は別の部屋に通される。半透明のガラス貼りの部屋に連れてかれる。銀行の方も、大きな金額のやりとりだったりストックがあるので、とても腰が低い。この短パンを履いたおじさんに。待合で座っていた隣のおばあさんと世間話をして、暑さがすごいですねぇとか。水だけじゃなくて塩分も大事みたいよとか、きゃっきゃ話していたところ、支店長が凄い腰の低さで、あちらの部屋で…みたいな接触をするものだから、あら何この人なんなの?という驚きをおばあさんに与えてしまう。

いろんな商材のおすすめとか受けて、これ別のところでもおすすめされたやつだなって聞き流して、今まだその時期じゃないから大丈夫ってお断りして、ふぅーと部屋を出て待合で銀行処理を待つ。さっきのおばあさんが戻ってきて、あなた偉い人なの?って聞いてくる。全然、暑さに弱ったおじさんです。というと、ウフフと可愛く笑って雑談を続けた。

僕もおばあさんも銀行の処理が終わってさようなら。
昼ごはん、この側にランチが安いお寿司屋さんがある。800円で10巻ほど出してくれる。100円乗せたらミニうどん。お得。フラット暖簾を潜って入ると、先ほどのおばさん。あら!とお互い手を振って、飯を食う。寿司うまい。バクバク食べていると、隣のおじいさんがチラチラ見てくる。なんだろうと思っていると「気持ちのいい食べっぷりやね」って、「昔破損くらいバクバク食ってたけどなぁ」って昔を思い出すように笑ってる。うまいっすよね、ここ。そして安いし!って二人で納得して完食。手をパン!とあわせてごちそうまさ。おじいさんが100点や!って言葉を残して席を立つ。おじいさんともバイバイ、おばあさんはゆっくり食べてて、手を振ってバイバイ。

人生の先輩から見たら、僕はまだお兄ちゃんなんだな。
下から見たらおじさんなんだな。
おじさんとお兄ちゃんの間にいるんだなぁと思いながら家のデスクに戻る。
正真正銘のおじさんなんて、永遠にないのかもなぁと思ったのでした。
短パン涼しいー

Photo by freestocks.org from Pexels

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松倉早星(Nue inc・Ku-ko inc代表)
いただいたお金は子どもに本でも買おうかと思ってます。