氷と炎の歌読書会 31. ジェイミー(シマウマが見たかった!)
ゲームオブスローンズの原作、ジョージ RR マーティン著の『氷と炎の歌』シリーズ読書会に参加しています。
4月の課題のひとつ 『剣嵐の大地』中巻より
31.ジェイミー④
前回血みどろ劇団に右手を切られたジェイミー。道中、乱暴されそうになるブリエンを助け(「サファイア!」)、ハレンホールまで連れていかれ、ルース・ボルトンに引き渡されるところまで。
この頃がどん底。
わたくし、ジェイミー章だけものすごい執着心で何回も読み返してるので、新しい感想ないかと思ったんだけど、そういえばジェイミーって一貫して「オヤジくそ〜!」みたいな発想に一回もならないのおもしろいですね。
だってヴァーゴ・ホウトと血みどろ劇団を雇ったのだってタイウィンだし、マウンテンに命じてリヴァーランドを焼け野原にしたのも親父だ。
16年くらい遡ると、狂王にいいように使われてたのだってタイウィンと不仲のうっぷん晴らしだし、色んな不運は全部親父のせいなのでは?
そのことをよく分かってるにも関わらず、あいつのせいで!っていうの聞いたことないですね。
ティリオンかサーセイだったらこの章は恨み言のオンパレードだっただろうに、これは長男として優遇されてきたからだろうか。
そして深く考えない単純なお人柄ゆえか?
ところでこの『ジェイミーⅣ』には、シリーズを通じて1、2を争うくらい好きな、このセリフがでてきます。
その夜は奇妙に美しかった。
月は優雅な三日月で、こんなに多くの星を見たことがないように感じられた。王冠が天頂にあり、牡馬が後脚で立ち上がっているのが見え、白鳥もあった。月の乙女はいつものように恥ずかしそうに松の木の陰になかば隠れていた。
「こんな夜がどうして美しいのだろうか?」かれは思った。
「どうして、おれのような者を星々が見下ろしたいと思うのだろうか?」
はぁ~!
こんな美しい夜を見るに自分は値しないと思ってるんですよ!
王殺しとして人々から軽蔑されて、それでも七王国でも一にを争う優れた剣士であることが誇りだった。剣を持てば誰にも負けない自信があった。
その唯一のよりどころを失い、残ったのは誓約破りとしての自分だけ。
キングスランディングからも、カスタリーロックからも遠く離れ、ひとり荒れ果てたリヴァーランドの地で、そこにあるのは空と自分のみ。
マーティン先生の叙情性を、深く、ふかく愛す。
ところでハレンホールには縞馬(ヴァーゴ・ホウトが産地のクォホール人だから)に引っ張られて歩かせられるんだけど、そんなジェイミーとブリエン、ドラマで見たかったなー!
象も出なかったし、動物に関してはかなりケチですよね。あのドラマ。