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氷と炎の歌読書会 特別企画その2(もう後悔したくないサーバリスタン)

ゲームオブスローンズの原作、ジョージ RR マーティン著の『氷と炎の歌』シリーズ読書会に参加しています。

外出自粛GW期間、何か集中できることがほしいな、と思っていたらみんなそうだった。
そこで、2週間連続の読書会が5月3日にありました。
3巻からの課題のほかに、先週の各自好きな章を語る、という企画が盛り上がったので第二談も!

わーい!そして今回もみなさんの好きな章トークがとっても楽しかった~!

わたしは今回は、5巻『竜との舞踏』より、サー・バリスタン・セルミーが視点人物の"The Kingbreaker"にしました。
すみません…5巻は翻訳持ってなくて(4巻、5巻の訳がにがてすぎて)章のタイトルが分からないけど、要は王をその位からおろす人...ですよね。

注:5巻以降の展開に対して、ファンが議論しているセオリーについてちょーっとだけ書いています。
ファンの意見であっても、いつか出るであろう6巻について一切何も知りたくない!とお思いでしたら、このnoteはスルーしてください。

<あらすじ>
ダニーがドロゴンに乗ってどこかへ行ってしまい、混乱を極めるミリーン。ユンカイ、アスタポアの奴隷商人たちは和平協定を破り、人質のグロレオ船長を殺害。
夫/王のヒズダールはダニー暗殺を企てていた?ユンカイと通じているのでは?の疑惑の元、バリスタンとShavepate(訳が分からない…ダニーに仕えるギスカリ人の高官、頭をそっている)はクーデターを決行、ヒズダールを拘束する。
ひとまず成功!とほっとしたのもつかの間、ドラゴン2頭が放たれた、の一報が届く...。

今回、以下のことについて書いています。

1. バリスタンの滑稽なほど騎士道を貫く姿
2. 長いキングスガード人生でしてきた選択への後悔3.  3. 自分はキングス/クイーンズガードなのである

まずはじめに、
1. バリスタンの滑稽なほど騎士道を貫く姿

この章のいいところは、現実的なShavepateとの会話を通じて、サーバリスタンのあくまでウエスタロスの騎士道にこだわる姿のかたくなさ、ある意味滑稽さ、それゆえの一本気な性格が前面に出ている点。

ユンカイ、アスタポアの支配層に対して、Shavepateは最初から一貫して、目には目を、歯には歯を、を主張している。
彼らが人質を殺したのだから、こちらもダニーに酌取り人として仕えている子どもたちを殺せば良い、と主張。

奴隷商人たちとヒズダールは裏で通じている。だからヴォランティス艦隊が到着する前にドラゴンを殺したいのだ(=実は裏で味方になっているヴォランティスに害が及ぶと困るから?)

それに対して、サーバリスタンはあくまでユンカイとの和平協定を守ったうえでの防戦を主張。

これからクーデターなのに、考えることは、いまトレーニングしている、元奴隷やギスカリの少年たちを騎士に叙任したほうがいいのか?ということ。

あのぉー?もうユンカイ軍、城壁の外に来てますよ?
人質グロレオは殺されたし、しばらく前から<白い牝馬>、コレラみたいな疫病もはやってますけど!?
そんなカオスなのに、あなたが考えることは騎士にすることー!?

おーい!戦争始まってるんだけど!

もし計画が失敗すれば自分は投獄されてしまい、他に少年たちを騎士にできる人がいなくなる。今が最後のチャンスでは?
いや、しかしやはりやめよう。若い騎士の評判は、叙任した人物に由来する。もし自分が謀反人ということになったら?少年たちの人生はスタートですでに汚名にまみれてしまう、とバリスタン。

もっとほかに考えることが山ほどあるだろー!

少年たちに騎士道とは何かを解くバリー。
「名誉のもとに死んでいくほうが、不名誉にまみれて生きながらえるよりもよっぽどいい」

はい、ここです!今日のポイント。マーカー引いといてください。
これが騎士道なのです。

ここが、ジェイミーが七王国中から軽蔑され(王殺し、誓約破りなのに何の罪も償ってないように見えるから)、絶対にサーになりたくないハウンドが、騎士なんて殺人者なのにきれいごと言って偽善だ、とバカにしているところなんですね。
しかしこの二人もウエスタロシなので、前者は汚名を返上しようと必死になり、後者は騎士になることをかたくなに拒み、結局ふたりとも騎士道の呪縛から逃れられないのであった。

それに対してバリスタンは運がよかったし、また本人の努力のたまものでもあるんだけど、63歳になるまでずっとまっすぐに騎士道を信じてこられた。

しかし当たり前だが、ミリーンの少年たちにはまったく響いていない。
なぜなら騎士物語と共に育ってないから。
プリンスエーモン・ドラゴンナイトも、道化のフロリアンも、サー・アーサー・デイン<暁の騎士>も知らない。

バリーは「いずれ分かる日が来る」と言ってるけど、そうかなー?
そういうのって共同体みんなで共有する文化だからね。

そして騎士道まっしぐらのサーバリスタン、クーデターを決行するにあたりクイーンズガードの白装束に身を包む。
マント、鎧はもちろんのこと、実は下着、靴下全部白だった。

どんなに不忠に見えようと、今回のことは女王をお守りするために、クイーンズガードとしての職務を全うするために行うのである。

こういう融通の利かない、自分の道を貫くことしか知らないところが好きなんですけれども、つまり私の中のバリスタン愛って、ブリエンを好きな気持ちに通じるんだろうなあ。

2. 長いキングスガード人生でしてきた選択への後悔

キングスガードとしての人生も長いので、あの時ああしていれば...ということが多いです。

スケンデールの反乱で狂王を助けて本当に良かったんだろうか?
もしあそこで狂王が死んでいたら、ロバートの反乱もなく大勢が死なずに済んだのでは?
ロバート王に仕えて本当に良かったのだろうか?
罪のないレイガーの子どもたちがロバートの反乱で殺された。そしてロバートはそれを黙認した。
赤いマントにくるまれた子供たちの死体を見て、ロバートは微笑んだろうか?
そしてもっと前の章で出てくる話題だけど、ダニーが妊娠した報を聞いたとき、ネッドは反対したが、ロバートは暗殺を命じた。
そんな、子どもを殺すような王に仕えて良かったのだろうか?

レイガーたちに対する罪の意識
レイガーは、サー・アーサーを信頼するほどにはバリスタンのことは信じていなかった。
これはサーアーサーが親友だからだというのと、バリスタンは馬鹿正直だから、仮に父王を退位させる計画をもし打ち明けたりしたら、きっと「そんなことは間違っています、プリンス!」って絶対言うだろう、と見こして黙っていたのでしょう。

偽りの春の、ハレンホールでの馬上槍試合
あそこでもし自分が優勝していたら...
アシャラ・デインに対する、決して語られることがなかった恋心と、ロバートの反乱を未然に防ぎ、王土を守ることができたのでは、という後悔。その象徴がハレンホール。
ハレンホールってジェイミー、バリスタンと、色んな人の苦い思い出の場所になってるんですね。ネッドも多分そうですよね。

3. 自分はキングス/クイーンズガードなのである
これから行うクーデターについて、今までのキングスガードのブラザーたちのうち、何人が自分と同じ選択をするだろうか?と自問するバリスタン。
うち何人かは話を聞いた瞬間、Shavepateを反逆者として処刑するだろう。

ところでいきなりですが、読書会っていいですね。

サー・バリスタン大好きなので、この章も何度か読んでるんですけれど、今までずっと、いつまでもどこまで行ってもバリーはバリー、誓約から逃れられない、と思ってたんですよね。
それが今回、発表するからちゃんとそういう視点で読まなきゃ!と思ってみたら、実はバリスタンも変わったんだ!と、初めて気が付きました。

一応ヒズダール・ゾ・ロラックだって王には変わりがないから、守ると誓った王に自ら刃を向けるなんて以前だったら考えられなかったこと、では?

それが数々の後悔を経て、これだったのだ!と思うサーバリスタン。

クーデターが行われて、すごくすっきり、霧が晴れたような気分になる。
今まで後悔にとらわれていたところが、誓いの呪縛から自らを解き放ち、正しい行いをしよう、という腹をくくった。

ファンセオリーで、バリーはダニーを裏切ってエーゴン(ヤング・グリフ)につく、っていうのがあるけれど、私は信じてないです。
デナーリスが守ってきたもの、奴隷解放やドラゴンのために戦うと思う。
ただ、そのセオリーがどこから来たのかは今回再読してよくわかりました。
ここだった!

混沌のミリーンを救えるのはバリーとヴィクタリオン、ティリオンという、まったく合わなそうな人たちの協力しかない。

がんばれ~!

そして早くこの3人の気まずい会話が読みたい!


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