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読書日記(2023.10.13) クライ・マッチョ
クリント・イーストウッド監督・主演の『クライ・マッチョ』(2021年)がNHKBSで放送されていたので録画して視聴。
元ロデオスター(イーストウッド)が、メキシコの母親と住んで虐待されている、ある少年をアメリカにいる父親のもとに連れ戻すという話。
『マディソン郡の橋』と『グラン・トリノ』を足して、炭酸水で10倍に薄めたような映画だった。
クリント・イーストウッドは90歳を過ぎている。
どう見ても80歳以上にしか見えない。その彼が、メキシコのダイナーの女将と恋に落ちるというのは、どう考えても、不自然である。
彼が、映画の上では、まだ60代という設定なのか、実際、何歳という設定なのか、よくわからなかったが、画面に映っているのは90歳の後期高齢者である。
ご都合主義的展開としか思えなかった。
イーストウッド枯れてねえなあ、とはならなかった。
90年代の『男はつらいよ』で、明らかに体調が悪そうな渥美清演じる寅さんが、まだマドンナといちゃついているみたいな、(私は85年公開の第40作『寅次郎サラダ記念日』以降、渥美清をみるのが辛くてみていないが)まだやってんのかよ、休ませてやれよ、という感じだった。
『運び屋』は、老いて枯れていく姿がそのまま描かれていたので、面白かったのに残念である。老いをそのまま映画にしてほしかった。
ダイナーの女将の名前がマルタ。
ギャングに追われるイーストウッドと少年が泊まるのが、マリア聖堂。
マリアとマルタでラザロでもレザレクション(復活)するのかと思いきや、そういう展開もなかった。
二人を監視する保安官補の飼い犬を治療して、信頼を得るとか、飼っている闘鶏のマッチョが追っ手に飛びかかって助かるとか、安易なシーンも目に余った。
(おわり)
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