マーケティングリサーチ 情報分析:意義ある情報は文章で構成される
noteでは、何度かマーケティング・リサーチについて記しました。その中で、「情報」について記したことがあります。
情報を「インフォメーション」、「データ」、「インテリジェンス」に分けて考えるというものです。
これについて、「具体的にどうすればよいかわからない」とか「インテリジェンスまでいきつかない」という質問を受けました。
そのため今回は、この考え方について、もう少し詳しく説明したいと思おます。
・インフォメーション
まずマーケティング分析に際し、1次情報と2次情報の説明をしました。1次情報は企業の内部情報と説明しました。売上や利益、利益率や回転などといった販売情報、商品の情報、顧客情報などです。伝票や帳簿などを見れば、すぐに算出てきますし、財務三表を見れば、経営状態はかなり細かく把握でします。
2次情報は、世の中の流れや変化、トレンドなどを指します。事業に影響を与えるのであれば、天気予報も含まれます。
僕が大学院生の頃は、新聞やニュースはもちろん、書籍、政府発行物、各社のアニュアルレポートなど、多くの資料を集めましたが、今は多くのものが、インターネットで、比較的簡単に手に入れられます。また学術論文も容易に検索、入手できますから、専門外の分野の研究も、本当に楽になりました。
このような閲覧可能な情報及び情報源がインフォメーションです、常に気にかけて目を通すもので、事業のためのデータベースと言ってもよいでしょう。
インフォメーションは「出来事」の集合体ですから、ここから何かを判断することはできません。「○○が流行ってる」とか「○○が売れてる」などというのは、単なる現象でしかないのです。
・データ
データは、インフォメーションから、必要に応じて取り出した要素です。
ここで勘違いしやすいのが、インフォメーションのままで、データになっていない場合です。例えば白書や業界団体が発表した資料など、膨大な数字を大量に持っていても、何の約にも立たないということです。
言い換えれば、沢山の情報源を集めることよりも、自分に必要なインフォメーションを、効率よく的確に選び出すことの方が重要です。
選び出した内容が、判断材料として有益なものになって、初めてデータ(意思決定の要素)と言えます。
判断材料として有益なものにするためには、若干の加工も必要になります。
例えば売上と利益が明確なら利益率を算出する必要があります。単に‘点’の情報では比較ができませんから、比較も必要になります。
この第1歩として、まず取り出した情報をグラフ化してみてください。様々な変化や傾向が見えてくるはずです。
こうした変化や傾向について、例えば大小や増減といつた「変化」の、緩急や長期短期といった「状態」を認知し、その内容を「数値」で把握することで、初めて意思決定の要素となる、「データ」として機能します。
・インテリジェンス
インテリジェンスは、データを元に分析された、意思決定を左右する情報です。インテリジェンスはデータで把握した現象を分析します。そしてその背景や原因、理由を特定したうえで、今後どのような変化が起こるのかを、推論したものです。
つまりインテリジェンスは、分析と論証で構成されるのです。
インテリジェンスは閉じられた情報であり、ほとんどの場合有料です。なぜなら、インテリジェンスを構築するためには、高度な知識や能力が必要だからです。だから大企業は、インテリジェンスを構築できる人材を採用します。大企業がシンクタンクを有しているのはこのためで、近年ではGAFAなどでも数学者まで採用しています。
僕が企業と関わるとき、特に戦略提案を行う場合は、その産業がなぜ今のような状態になったのかを説明し、今後どのように変化するのか、推論を説明します。
初めて関わる産業も多いのですが、ほとんどの場合、僕の推論は、業界内で噂が囁かれていたり、兆候が出始めていたりします。その内容を聞き、その現象が、顧客の企業にいつ影響を及ぼすのか、その前にどのような戦略を取るべきなのかを提案します。
つまり、インテリジェンスと、その情報に基づく意思決定案を提供しています。
・情報をどう扱うのか
僕から見たとき、多くの場合、インフォメーションやデータを「情報」と捉えている場合がほとんどのように見受けられます。
それではどうすればよいのでしょうか。
先にも挙げましたが、まずはグラフ化と説明から始めることをお勧めします。説明できない情報は全く約に立ちません。次に、これまでの歴史や世の中の流れを見て、比較検討を行って下さい。すると色々な特徴や傾向が浮かび上がってきます。
このとき、勘や思い込みを排除するようにして下さい。必要なのは、演繹です。
こうしたことを積み重ねていくうちに、誰でも自分にとって重要なインテリジェンスを導き出せるようになります。