ロジカルシンキング 就職活動の心得:議論のプレーヤー

ロジカルシンキングの講義では学生さんに色々な視点から話し合ってもらったり、考え方のフレームワークを実践します。
デザイナーの就職活動は、一般企業とはかなり異なるようなので、広告デザイン専門学校では話していなかった内容がありました。しかし大学勤務時代は就職委員会の仕事もしていましたから、学生さんには就職活動について、わかる範囲なら質問に応じる旨を伝えてありました。

あるとき学生さんから、集団連接とグループ討論について質問を受けたことから、今回のテーマである、「議論のプレーヤー」という話も加えました。

ということで、今日は議論のプレーヤーについて考えます。

・議論のプレーヤー
■チェアマン
チェアマンとは日本語にすると「議長」のこと。議論のテーブルをマネジメントする人です。
最近ではファシリテーターやモデレーターというポジションもあり、厳密に言うとそれぞれ役割が違うのですが、大雑把に言えば、これらも議長の役割に類するものになります。
議長は他の人の意見を公平に扱い、結論や一定の成果にまとまるように努めなければなりません。
就職活動のグループ討論などでは、立候補で決める場合もありますし、それまでの面接から判断して、既に決まっていることもあります。また比較的若い社員などが務めることもあります。

■オピニオンリーダー
オピニオンリーダーとは、簡単に言うと、どんどん発言をして、テーブル全体の流れを作る人を指します。元々討論が好きで、得意だと考えている人が多いです。さらに討論の練習をしている人だと、自分の意見でテーブルを占めてしまうことに長けていることもあるので、議論が苦手な人からするとかなり手強い相手に見えるでしょう。
しかし「声が大きい人」くらいに考えておけば、意外と気圧されずに済むかもしれませんね。

■テーブルリーダー
テーブルリーダーは、他の人の意見を尊重しながら、自分の意見もしっかり述べつつ、テーブルの流れを作る人を指します。
テーブルリーダーの能力は、自然に身につくことはほぼありません。論理的思考や抽象的思考などを身につけ、高度な議論を重ねることで可能になる‘技術’です。
就職活動の場合だと、一定以上の就職難関企業でない限り、このタイプの人とは出会わないこともあります。

・プレーヤーの評価
普段から話慣れていたり、初対面の場でも臆さない人なら、簡単にオピニオンリーダーにはなれます。むしろこのタイプの人は、自分を売り込むこと自体を好むので、どんどん前に出てきますから、慣れていないチェアマンだと、テーブルのマネジメントができず、往々にして、オピニオンリーダーの独壇場になることがあります。
またこのタイプの人が複数いると、他の人がほとんど発言できず、チェアマンの評価も下がります。さらに複数のオピニオンリーダーの意見が対立すると、良い結論にたどり着けず、時間ギリギリで‘多数決’という最悪の結論を導くことになります。

グループ討論で何を見ているかは、会社によって違うので、「必ず」とは言えないのですが、日本の企業で、一般的に人事担当者が、オピニオンリーダーを探していることはありません。
よほどの知識や考察力などを身に付けているのら別ですが、オピニオンリーダーは、言い換えれば「声が大きい人」という場合も少なくないので、必ずしも評価されるわけではありません。むしろ発言は少なくても、大事な場面で重要な意見を述べることができた人の方が重視されます。

ちなみにこれは僕の経験ですが、オピニオンリーダータイプを高く評価する会社は、必要以上に体育会系気質だったり、パワハラに近い体質を持っている会社が多いように感じました。

そうすると皆さんの想像通り、会社が高く評価するのはテーブルリーダーということになるのてすが、これがちょっと難しいのです。
先にも述べたように、テーブルリーダーを務められる人は多くありません。それはやはり訓練が必要だからです。
実は僕自身も、大学生のときにESS(English Speaking Society) というサークルの部長を務め、英語で議論をする部門(大会)の、連盟の合同勉強会で訓練をしました。

実は今回のプレーヤーの話も、このときに学んだものです。

特定の問題について英語で議論ができて、且つこうした技術も学んだ人たちの大会なので、レベルが高いテーブルでは、ほとんどの参加者は、紳士的な発言をしながら、テーブルのコントロールを目指しますし、そのために多くのエビデンスを用意しています。
ちなみに大きな大会に出場するためには、事前の勉強会も含めて、半年ほど準備をすることもあります。各テーブルにジャッジがいて、優秀討論者を選ぶので、些細な判断ミスもできないという、、、

ここまで来るとかなりエグい話になりますが、さすがに就職活動では、ここまでのことはないかと思います。
こうした議論のプレーヤーについて、事前に知っているだけでも、かなり落ち着いて取り組めるかと思います。

ちなみに、広告デザイン専門学校でこの話を教えた学生さんは、有名な美大芸大の学生さんに臆することなく、ちゃんと就職できました。


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