マーケティングリサーチは誰でもできる まずは歴史を調べる

今日はマーケティング・リサーチのお話です。とは言えそんなに難しい話ではありません。

マーケティング・リサーチのお話の前に少しだけ。
マーケティングの講義の初期段階で、必ず説明するのがマーケティング・プロセスです。

Research:調査
Segmentation:市場細分化
Targeting:ターゲッティング
Positioningポジショニング
Marketing Mix:マーケティングミックス
Implementation:実施
Control:管理

基礎ですから「R STP MM IC」と覚えて下さい。
マーケティング・リサーチは最初に行う作業です。

マーケティング・リサーチというと、ビッグデータとAIとか、とにかく大ごとのような話だったり、BI(Business Intelligence)とか、とにかく大掛かりなものを目にします。また一方で、マーケティングやビジネスのフレームワークを使用する例が挙げられています。
僕自身、まず分析から始めますが、上述のようなものを使用したことはありません。論文を書くときだけでなく、企業の分析、学生さんのレポートや卒業論文の指導でもそうしたものは使用しません(そもそも学生さんにビッグデータなど使用できません)。

ではどのように分析するのでしょうか。

マーケティング・リサーチの基本は1次情報と2次情報の収集・分析です。
1次情報はそれぞれの企業が持っている情報です。会計情報、製品情報、顧客情報などなど、、、どんな企業(個人商店でも)調べれば色々な情報が浮かび上がります。まずはこれらの情報を精査することから始めます。
例えば売り上げや利益率、コスト、客単価、繁忙日、時間帯など、様々な情報があります。
2次情報はその産業や業界、地域などの情報です。簡単に言えば、その企業の環境です。例えばコンビニについて考える時、住宅街とオフィス街を比較してもあまり意味がありません。銀座の百貨店やブランドショップと比較することもないでしょう。
こうした情報を丁寧に仕分けし、どういった意味があるのかを考えることから始まります。

とはいえ、それも最初はなかなか難しいかもしれません。
(これについては改めて述べます。)

これは僕が学生さんを指導する時の方法ですが、例えば卒論であったり、今のデザインの学校であれば、課題について調べる時、まずはその製品やサービスの歴史を調べることから始めます。
その製品やサービスがいつ生まれ、どのように成長したのか、どのように普及したのか、どんな競争相手が生まれたのか、価格はどう推移したのか、どんな人が購入してきたのかなどです。

例えば携帯電話で考えてみましょう。
僕が携帯電話を最初に手にしたのは1998年。価格が下がり、急速に普及し始めた少し後です。その前はポケットベルを使用していました。その頃既に携帯電話を使用している知人はいましたが、少なくとも僕の周りでは、基本的には比較的余裕のある社会人ばかりでした。
その後PHSが登場し、ユーザーが一気に低年齢化します。その後携帯電話でインターネットや電子メールが使用できるようになると、さらに普及すると共に、携帯電話の使い方が変化し始めました。200年代に入り、携帯電話にカメラが付くと、その傾向がさらに進みます。携帯電話の電波を利用したモバイル機器が発展し、2007年のiPhone発売によって、スマートフォンが一気に普及、その後現在に至ります。
この間の通信費や機械の価格、利用者層、利用サービス、参入・撤退業者、これに関わる法律の変化などを調べれば、基本的なことは十分理解できるはずです。さらに他の通信手段やパソコン、インターネット、SNS、広告、流通などとも比較していけば、十分な情報が得られます。

マーケティング分析の手法に、PEST分析やファイブ・フォース分析、3C分析などといったものがありますが、これらを活用するためにも、上述のような分析がなければ、客観的に有効な結果は得られず、思い込みになってしまいます。

勿論、これだけで全てが解るわけではありません。実際に分析を行う際には、より多くの情報を集め、社会の変化や産業の現状、経済の流れなどなど、様々な項目を検討します。
しかしまずは調べたい内容について、背景と現状から理解することは変わりません。実は細かなデータ手に入れて解析するよりも、大まかでよいので、産業や企業、製品、サービスの背景や特徴を深く理解する方が表面的な数値に惑わされずにすみます。

何かを調べたい時、まずはその歴史から調べることをお勧めします。


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