過去の私の俳句を斬る⑤
昔の自分と、俳句を通じて対峙する。
すりガラス越えて新樹の姿あり 新治(平成27年)
季語は、新樹。俳句を始めるまで、こんな言葉があることを知りませんでした。瑞々しい緑色を想像させる、気持ちのよい季語です。
実は、この句には、参考にした句があります。プレバト!で取り上げられていた、市川猿之助さんの
満月に相輪の影ひとつあり
というものでした。末尾の「あり」が力強く感じられて、とても魅力的に思われたのです。
また、直接見るのではなくて、濁ったすりガラスを通して見ると、新樹の色もちょっと変わって見えるのではないかな、と期待して作ったのでした。
際立って悪いところはないかもしれません。
あえて今の感覚で詠み直すなら、
ありありと新樹透きたる磨りガラス 新治(令和3年)
といったところでしょうか。原句も「S」の音が多用されていますが、「す」の音を後半に集めて、さらに韻を強めてみました。