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過去の私の俳句を斬る⑨

昔の自分と、俳句を通じて対峙する。


一つあれば二つ三つあり蕨摘み  新治(平成27年)

季語は、蕨摘み。

幼い頃、よく祖父母に山菜採りに連れて行ってもらっていました。蕨は、背丈の低い若芽を摘むのですが、周りの草々に紛れて最初のうちは見つけづらいのです。ただ、しばらくすると目が慣れてきて、次々に採れるようになってきます。そんな感じをそのまま書いた句ですね。

一点だけ、「蕨摘み」は名詞ですから、送り仮名は不要なので、「蕨摘」とすべきところ。

その他は、特に悪くないとは思うのですが、類想句は山ほどあるでしょうね。「土筆摘」でも「返り花」でも、ひとつ見つかると、次々見つかるものです。蕨を摘むことの楽しさを表すには、オリジナリティが不足しています。

蕨は小気味よい感触をもって折って採っていきます。その瞬間に注目すれば、

やはらかき音を折り採る蕨狩  新治(令和3年)

こんな感じでしょうか。

この手の句は、実体験に基づくかどうかがポイントです。冬が明けたら、30年ぶりに、山菜採りに出かけてみようかな。

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