Xデザイン学校学習ノート 03: エスノグラフィー
Xデザイン学校の学習ノート3日目です。
講義を受けてからかなり時間が経ってしまいました。。。仕事が忙し過ぎて心身ともに疲れ気味でした。健全な心身でないと学習効率も下がりますね。反省、反省。
今回は、前半これまでの内容の復習といった感じでした。大学院で習ったことと重複しているためもあったかもしれませんが、特に目新しいことはなかった印象。
反面、自分がエスノグラフィーを習ったのは10年以上前。。。その間の社会の変化に対応した話や、エスノグラフィーのやり方自体も様々な事例が発生しているのでその話は面白かった。
最近のアプリ開発とエスノグラフィー
例えば、ためになったのはこんな話。
昔のWEBデザインなどでは初見の人が使えるかどうかを観察していた。それらはHCDの流れから派生し、「ユーザビリティ評価」「行動観察」と呼ばれるものである。
一方で、最近ではアプリなど徐々に利用に習熟するサービスが増えてきたので、長期にわたる習熟プロセスを「エスノグラフィ」によって観察する必要が増えてきている。
最近、まさにユーザビリティテストでワイヤーフレームを初見の人に触ってもらっていたのですが「実際にアプリ操作に習熟してもらったらここでの操作の問題はあまり問題で無くなるのになあ」と思ったこともあったので、「習熟」をテストする技法があるというのは興味深かったです。
立ち入ることが難しい現場でのエスノグラフィー
手術室など、現場に直接入ることが難しい場合もいくつか教えていただきました。例えばエスノグラフィックインタビュー。
これはユーザーにその場面をロールプレイしてもらいながら、それはどんなタイミングで行うのかなどインタビューをして深めて聞いていく技法。講義では、ある病院でのWSの例を紹介してもらいました。
壁に白い模造紙を貼り現場を再現。台などは段ボールに白い紙を貼って再現。ここでこうすると演じてもらう。そのほか、ここにこれがある。これが必要、というものが出てきたら壁に書き込んでいく。そして、ロールプレイをしながらインタビューをしていく、といった様子でした。
その他の事例としては、ビデオカメラを渡していつも通り振る舞ってもらうこと。シャドーイングといって、壁に張り付いた虫のような状態になり中でいつも通り振る舞ってもらうこと。日記法というように、毎日心拍計を使ってもらって、それをSNSにアップしてもらうということもあるそうです。
十数年前と違って、技法もかなり多様化していますね。驚き。
現代社会での模範的な事例
さらに、講義では現代のビジネスでそれを活用した模範的な事例も紹介されました。
あるレジアプリの開発のお話。レジアプリを作るにあたり、開発メンバーは店舗に赴いてヒアリングを繰り返しただけでなく、開発チームが飲食店を出店したそうです。そうして、リリース後も長期観察を繰り返し行える環境を整え、開発に活かしていったとのこと。
大企業でないと難しそうだなと思いますが、面白いですね。
UXドリブンの開発の長所
技法そのものも面白かったのですが、このような開発手法が出てきた背景もおもろかったです。
なんでも、その会社ではデータドリブンで、すなわち、データから全てを意思決定するようになったということがあったそうです。データにすら基づかないで意思決定している組織がたくさんありますので、それはそれで素晴らしいことだと思います。
ところが、すると、新しいものが出て来なくなったそうです。確かにデータは「すでに起こったこと」の寄せ集めですよね。。。そこで、UXを用いた開発がGOされたようです。
自分はどうしたい?
さてさて、今回も多様な事例を色々聞かせていただいて、エスノグラフィー自体の可能性も知ることができました。一方で、それを自分はどう活かしていきたいかも考えたのですが、自分のフィールドではまだまだ必要ないかなというのが正直な印象でした。
エンジニアの業界ではUXが必要とは言われているものの、正直、業界全体がまだ基礎をキャッチアップしている段階ですし、新しいことよりも基礎固めを行いたいという人が多いです。
また、自社開発ではなく受託開発の会社の場合、お客様のビジネスにそこまで踏み込むことがまだ稀なので、あまり新規なことはしづらいなあという雰囲気があります。
なので、今回のことはトレンドとして頭の中に入れておいて、必要が来たらキャッチアップできるようにしておく。そのためのインデックスとして今回の講義は活用するのが良さそうだと思いました。
次回までには少し忙しさを減らし、情報を受け止められる土台を整えたいです。今回は、この辺で。