オリンピック期間の「テレワーク」。システム導入よりも大事なもの

テレビ会議やWEB会議について比較・解説するサイトを運営しています。

今回は次の話題について思ったことを書きたいと思います。

オリンピックという特殊な事情があるとはいえ、いよいよ「テレワーク」が政府お墨付きの業務スタイルとして推奨されたわけです。

しかしながら、リモートワークではなく、「テレワーク」とあえて言っているのがなぜかというところが気になります。意味としては一緒のはずですが、「リモートワーク」だとなんとなく単に特定の人が別の場所で仕事をしているというイメージがありますが、「テレワーク」となると、いかにも何かシステムを使って、離れた者どうしで「一緒に」仕事しているような語感です。
つまり少なくとも電話、または電話会議システムやテレビ会議・Web会議システム等の「遠隔会議システム」の利用を前提とした表現に聞こえます。それらの仕組みによって、従来は会社に集合しないとできなかった、会社としての機能的な部分が代替できるということでしょう。想定されているのは下記あたりでしょうか。

1. 離れた社員どうしで音声(+カメラ映像)をやりとりできれば会社に集まって議論する必要はない
2. WEB会議 or 音声会議繋ぎっぱなし状態にすれば働いている証拠になるから、会社に来なくても労働として認められる
3. 社内のみならずパートナーとの会合も自宅からできる

テレワークという遠隔コミュニケーションを前提とした表現から一番期待されているのは、おそらく1番目の点だと思います。しかしそれは、リモートワークで最も重要な問題の解消に対しての本質ではないような気がしてなりません。むしろ2番目に関連する、企業としての労働管理の問題を解決しないといけません。

つまり、「リモートワーク」を可能とするためには、遠隔会議システム導入の前に、下記の面の解決が何より重要なのではないでしょうか。

・業務開始・終了を確実にトレースし勤務時間管理ができること
・業務システムや会社メールなどを自宅から閲覧できるためのクライアント環境を自宅に提供できること
・「時間の拘束」の証明はもはや無理なので、勤務成果を適正に評価できる仕組みを構築すること

つまりこれらの仕組みが揃っているのならば、別に声とカメラ映像などなくても、slackなどのテキストベースでコミュニケーションが取れるので、遠隔会議にこだわる必要が全くないわけです。

そもそもオリンピック中ということは、自宅にいるならば「テレワーク」中であってもカメラに写り込まない場所にテレビをつけるなどして、絶対に競技中継を見ていると思います。

ですから政府がそれを推奨するのならば、「テレワーク」という、"会議システム"のイメージが想起されるような言葉を前面に出すよりも、「自宅で業務できるような社内規定(勤務ルール+システム利用ルール)の策定」を企業に推進させるために、成功例のモデルケースを示して啓蒙するとか、それを実施した企業には何かインセンティブを与えるとか、そういう下地作りこそが大事なのではないかと思いました。

いずれにせよ、リモートワークを実現する一要素としてWEB会議の利用がその瞬間急上昇することは間違いないでしょう。
マイクスピーカー、ヘッドセットマイクなどハード関係の市場在庫枯渇や、WEB会議サービスのサポート窓口のパンクなどが考えられます。

この特需に乗って遠隔会議システムが普及し、Microsoft Office製品よろしく「使えて当たり前」のものになってくれたとするならば、日本は世界でもこの分野をリードできるポジションに踊り出るかもしれませんね。
いや、そうなってほしいです。

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