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察せない人の事情 -業務分担の場合-
「察してほしい人」と「言葉通りに受け取る人」。
そのすれ違いが生む、微妙な空気。
業務分担の話し合い。
「じゃあ、この仕事、誰がやる?」
シーン。お決まりの静寂タイム。
「どちらでもいいですよ」と笑顔で彼女が言った。
場の温度が少し変わる。まるで、ふわりと風が吹いたような。
おっと、これはいい流れ。
「私は苦手な分野なので、もしよろしければお願いします」と、慎重に返す。
すると、彼女は笑顔のまま「えー…」と含みを持たせた。
おや?今のって。
「嫌なの?」と聞くと、彼女はなんとも言えない表情をする。
「じゃんけんする?」提案すると、彼女はホッとしたように「そうしましょう」と言った。
じゃんけんの結果、私が負けたのでそれどころではなくなった。
勝負の世界は非情である。
数日後。
「これ、私がやったほうがいいですよね?」
彼女がまた問いかける。
たしかに、彼女がやったほうがスムーズだろうな。
「そうですね」と答えると、またもや微妙な表情を浮かべる。
あれ? なんで?
どうやら、彼女の中には 「こういう流れになるべき」 という脚本があるらしい。
「これ、私がやったほうがいいですよね?」
「いやいや、大丈夫ですよ! 私がやります!」
「えっ、いいんですか?」
「いいんです、気にしないでください!」
「ありがとうございます!」
彼女の頭の中では、こう進行する予定だったのだろう。しかし私は、ズバッと 「そうですね」 と言ってしまった。
脚本の崩壊。
彼女の脳内演出は、突然のアドリブに混乱したのだろう。
そして、私は 「察しが悪い人」 になった。
理不尽。
そう書かれた紙が頭の後ろにペタッと張り付いた気がした。
彼女は、 とてもいい人 だ。間違いない。
誰にでも優しく、気遣いができ、信頼も厚い。
でも、時々、 脚本通りに進まないと困る人 になる。
「どちらでもいい」と言いながら、決まると不満そう。「やります」と言いながら、お願いすると困った顔。
「私は気にしませんけど、普通は..」
「まあ、別にいいですけど..」
この瞬間だけ、彼女は ほんのり圧を纏う。
“正解じゃなかった”みたいな空気。
ここで私の脳内会議が始まる。
① 私が察しが悪い説
② 彼女の脚本が特殊すぎる説
③ そもそも、私が気にしすぎなだけ説
①が濃厚な気がするが、一番ダメージが少ない③で手を打とう。
彼女が何を期待しているのかなんて、確証はない。
単に、私が勝手に思い込んでいる可能性も高い。
完全に分かり合えることはなくても、決定的に対立することもない。
もしそうなら.…
私、一人で何やってんの?
そして、スーッと力が抜ける。
後頭部のモヤモヤが、ぺりぺりとはがれていく。
あ、これ、けっこう気持ちいい。
ただお互いの“脚本”が違うだけ。
そんなすれ違いに、つい損をした気持ちになることはありませんか。
一方は「もう少し気を遣えばいいのに」、もう一方は「もっと本音を言えばいいのに」と思っているかもしれない。
お互い、ちょっとずつ「いいな」と思いつつ、ちょっとずつ「なんか違う」と思っているのかもしれない。
こういう場面、日常のあちこちに転がっているんじゃないかと思います。
共感してくださる方がいらっしゃったら嬉しいです。
私は、言葉を額面通りに受け取るタイプで、察するのが苦手です。
しょっちゅう気にしては、あ、気にしなくていいんだったって思い直しています。
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