【酒場には、ルールは無くても、マナーあり。】
【酒場には、ルールは無くても、マナーあり。】
この題名は、自分で生成した言葉だと思っておりますが、記憶はよく脳内変換されてしまうので、定かではありません。
先日は、「恋はするものではない!落ちるものだ!」などとシラフでドヤ顔で熱弁したら、「それ江國香織先生の本の帯に書いてありました!」とご指摘。
お客様の計らいで、もしかしたら初めは私発信で、それが帯に載ったのかも知れませんよ。と。(笑)
20年以上前の帯の話。
「酒場には、ルールは無いけど、マナーはある。」
ではどんなマナーがありますか?と聞かれて答えてしまうとそれが「ルール」のようになってしまう。マナーとはその時々の不文律。
そんな、曖昧なこの書き出しを、一応納めるために、1つ思い付いた事がある。
親父ギャグもまた、「ルールは無いけどマナーあり」の世界だと感じる。
とある大御所ラジオパーソナリティの言葉。「親父ギャグは、(おやじの)心のシャックリ。」だと。
言い得て妙。ついつい出てしまう。
1晩に100回でたら、死んでしまいそう。
酒場の振る舞いも、親父ギャグも、「ひとりよがり」にならない様に。
そこは「大人の社交場」なので。
【疲れた親父の飲む一杯】
「疲れた親父」と私が表現したら相手に失礼だけれども、お客様から、「この疲れた親父が飲むカクテルを一杯つくってくれ。」と言われると、その言葉に「粋(いき)」を感じないだろうか。
ああ、確かに。
お酒には沢山の種類が有るが、「疲れた時に飲むお酒」も当然あっても良い。1日働いて、この師走に、またこの1年しっかり働いて、ほっとひと息をつきたいそんな時に飲む一杯。
よく、「私のイメージに合わせたカクテルを」なんて定番的に言われたりする。良く考えると、そんなカクテルも、それを言われたらコレを作ろう!と言う定番の答えはない。
それは、例えその言われ方が定番でも、ヒト1人その時、その時、纏う雰囲気も、気分もイメージも違ってくるから。「そのご注文、1番困るんですよ!」なんて言いながら、瞬時に観察して、ストーリーを作り出す。イメージから、色、香、材料のストーリーをレシピ化して、その後カクテルに落とし込む。
やれやれ、頼んだ方の側からすると、ただの言葉遊びた。わかってるし、そんな重いオーダーのつもりではないけど、ドンピシャで当てて行きたくなる。フル回転すると脳みそが疲れてしまう。
サラッと「あなたのイメージの一杯」をお出しした頃に、「あれ、私、何頼んだっけ?」と言われてしまう。
ああ、そうそう、これが酒場だ。それでいい。それが良い。
なんて事を思い出しながら、先ほどご注文頂いた「疲れた親父が飲む一杯。」を必死に考える。
普段はウイスキーのロックしか飲まないその方が、なぜかその日頼んだ一杯。
ドライジンに、ライムジュースとシロップを加えてシェーク。これをロックグラスに注いで、グラスの縁にライムピールをする。
ジンのボタニカル、ライムのビタミン、そしてシュガーが染み込んで、体温を少しだけ上げて、免疫を高める。そんなイメージだ。
そして、このレシピのカクテルを、
「疲れた親父の飲む一杯」と名付ける。
その名前が、同時にねぎらいの言葉に変わる。
【今年も振り返る1年と、人生と。】
私は、暑い夏生まれだ。8月半ばなので、夏休み真っ只中。小学生の時に誕生日会をしたくても、夏休みで「誕生日に友達が呼べない組」だ。
それから、時は流れ、また今年の夏。記録的な暑さ。45歳という節目の歳に、お店で飲む事を控えてみる。色々ある1年でも、ひとつの大きな変化。
飲まない事で、銘柄、銘柄の味が恋しくなる。喉越しが恋しくなる。より味を大切に感じる。10年ほど前にタバコを辞めた時もまた、別の味覚の変化があった。
香りがはっきり、味が濃く、甘さを強く感じる。そんな味覚の変化を覚えている。
お酒を飲まなくなると、眠りが変わり、上手く言えないけど見る夢も変わる。
暑い夏の日、「誕生日に友達を呼べない組」の私に察してか、たまたまか、父は私をプロレスに連れて行く。
父は私を肩車して少し離れたリングに正面に向かい、固唾を飲んで見守る。当時はまだ珍しくない、プロレスの地域の興行が地元横須賀にも来ていて、夏休みという事で連れてきてもらった時の記憶だ。
実際にあった出来事を夢で思い出す。
今思えば、スーパービッグマッチ。
アンドレ・ザ・ジャイアント対アントニオ猪木戦だ!
それを生であの時見たのかと思うと、何とも言えない気持ちになる。
イノキ!ボンバイエ!
イノキ!ボンバイエ!
飛び散る熱狂と、汗が、夏の夜の湿度を更に高める。
耳鳴りの様に繰り返される。
イノキ!ボンバイエ!
イノキ!ボンバイエ!
あれから40年ほど経った、私の脳にこだまする。
あの頃、肩車されていた私も、数年前まで息子を肩車していた。息子はそこから何を見て、何が焼きついたのだろうか。それが何だったのか私は息子と語る事があるのだろうか?
イノキ!ボンバイエ!
イノキ!ボンバイエ!
ボンバイエは、リンガラ語で「やつを、倒せ!」の様な意味だと、いつかのインターネットで知った。
暑い夏に、ボンバイエ。
私もいい親父になった。
家で映画を見ながら、休みの日は晩酌をする。
「疲れた親父の飲む一杯」
あの時の様な暑い夜が続いた今年の夏。
私の誕生日は、8月半ばのお盆ど真ん中。
ビールの後は、冷えた白ワインをよく飲む。
盆。ワイン、家。
ボン、ワイン、イエ。
ボンワインイエ。
ボンバイエ。
ボンバイエ。
誰かが言った。親父ギャグは、しゃっくりだ。
誰かが言った。ルールは無いけど、マナーはあると。
そんな、「疲れた親父が飲む一杯」に、
今年1年の感謝と愛を込めて。
【ご挨拶】
今年を振り返り、人生を少しだけ振り返り、この何とも緊張感のない時間を過ごしながら、時に本気で世界の平和を考えたり、周りの人と自分の健康を願ったり、沢山食べるのに、痩せる事を望んだり。
そんな1年、そんな人生共に、皆様に支えられて、今年もなんとか無事に終わろうとしています。
来年の7月にはお店オープンして、12年。干支を1周する事になります。
いいおっさんになると、世の中の色々な「人はこうあるべき論」に反論したくなる。しかし、唯一これだけは、こうあるべきと思う事。挨拶は、しっかり言葉に出して伝えたい。
バスに乗ったら、「おねがいします。」
降りる時は、「ありがとうございます。」
コンビニでも、「こんにちは。」
出る時は、「ありがとうございます。」
親父だから、挨拶をする。
「なんで子供にだけ挨拶しろっていうの?」と言わせないし、世間のそう言う茶番が嫌いだから。
こんばんは。
ありがとう。
美味しい。
ごめんなさい。
おやすみなさい。
今年も一年大変お世話になりました。
ありがとうございます。
2023年最後のブログとさせていただきます。
お店と共に、「読んでるよ!」と言って支えて頂き、ありがとうございます。
来年も引き続きお店をがんばりつつ、ブログも続けて行きたいと思います。
また、新年もどうぞ宜しくお願いいたします。
皆様のご健康と、ご多幸を心よりお祈りいたします。
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