ごみ屋敷に住んで、初めて困ったことが起きた【エッセイ】
──ぼくはいわゆる汚部屋に住んでいる。汚部屋の住人。
──「喋る」ように「書いた」ので、
「聴く」ように「読んで」ください。──
汚部屋の住人。
もちろん、
今もこの部屋で生活している。
noteで汚部屋と言えば、藤原華さん。彼女は元汚部屋の住人だが、ぼくは現役だ。
おれの方がつえぇ。(なんのことw)
「おれのがつえぇ」ため、タイトルには汚部屋よりも汚いゴミ屋敷を採用した。
汚部屋なんてかわいいもんじゃないぞ、と。
ゴミ屋敷だと。
と、どうでもいい前置きはさておき。
ゴミ屋敷に住んでいると、ゴキブリくらいだったら、あまり動じなくなる。
視界に入ったとしても、「はいはい、きみね」くらいで作業を中断することなく、元通りのぼくがそこにいる。
あればゴキジェットシューくらいしてもいいかもしれないけれど、
なかったらないでねぇ。そんなに困ることもないしねぇと作業を続ける。それは読書だったり、執筆だったり。
ネズミがいたこともある。gtgtgtgt寝ているベッドの下から聞こえてきたが、かまわず寝てた。
まぁ、ネズミくらいいるもんでしょ。
ネズミだって人間が怖いんだから、なんか悪さしてくるわけがない。大丈夫、大丈夫。
と安らぎの微睡みへ溶けていく。
どうしてこうなったかというと、京都の暮らしがそうさせた。京都でひとり暮らしをしていたぼくは、家賃が35,000円の地区50年くらいのボロアパートに住んでいた。
『四畳半神話大系』に出てくるような大学近くの九龍城ってほどではもちろんないのだが、市街地からは離れた閑静な住宅街の一角に住むことになった。
まぶたの裏には、今出川。
ぼくには、アイデンティティを京都に置いている人間なので、迂闊に京都ークが始まってしまうと、話題を脱線してしまうという領域展開をしてしまう悪癖があるのだ。
京都のボロアパートでのあの暮らしが、ああさせたのだ。
放蕩のかぎりを尽くしたあの部屋では、
散らかり散乱、腐乱。
至るところからカビのニオイ。
あんまり気にしない山門文治の誕生である。
人間には、適応力というものがある。
どんな汚い環境でも、いずれは慣れる、かならずその日がやってくる。
だから、ゴキブリがいようがネズミがいようが、そんなことは一切気にしない。する必要がない。
そんなぼくがである。
「あ、部屋掃除しようかな・・」と決心させられてしまう、
そんな出来事があった。今さっき。
強大な敵が現れたのである。
ぼくが部屋でぼんやりぽへ〜んとしていたら、そいつは、濃紺のカーテンをのしのしと6本の脚をゆっくり動かし垂直に下っていた。
ほへ〜んとしている視界の隅に、幽かな揺れを感じ取り、視線を向けるとその先には、ヤツがいたのである。
いや、先述のとおり、ぼくはゴキブリくらいじゃ動じない。
そこにいたのは、なんと……
でかいカメムシだったのである。
いやぁな模様のでかいカメムシだ。
過去のトラウマが、蘇る。
京都にすんでいたころ、ぼくはカメムシにえらい目に遭わされている。
関西というのは、カメムシが発生しやすい地域みたいで、何年かに一度カメムシが大量発生するらしい。
ぼくは、いつものように洗濯物を取り込んでいると、白いタオルの裏にべっとりと群生したカメムシを10匹くらいを部屋の中に取り込んでしまったことがある。
あの緑が10匹も斑点を放ち、1枚のフェイスタオルにくっついている図を想像してみてほしい。
阿鼻叫喚である。
ちなみに、ぼくはその日以来、みどりの水玉をみるとあの日の思い出が惹起されてしまうようになってしまったのだ。
そして、ぼくは一晩かけて掃除をし、カメムシたちを一斉に駆除をした。
一匹残らず殲滅してやった。ふはははは。
問題はその後である。
カメムシたちは死ぬ間際、あのイヤなぷい〜んとニオイをおきみやげにおいていく。
あの腐ったキュウリのニオイというのか、気の抜けるようないやぁなニオイ。
それが部屋中からするではないか。
あの日を境に、ぼくはカメムシが大嫌いになってしまった。
奴らは、存在自体も実にいやなだけど、威嚇をする際に放つあのニオイ。あのニオイが数日間残ることを考えると本当に嫌だ。
その大嫌いなカメムシがぼくの視界に入る。
いやな模様で、でかい。
まさに関西でよくみる緑verのパワーアップverである。
ぼくは、うわぁと小さく悲鳴をあげた。
あの動き。知っている。
亀のようにのそのそ歩くあの動き。
カメムシと目があった刹那、下の階にあるゴキジェットをすばやくもってきて、それを掃除機で吸い込むこと。
これだけを考えて、階段を一気に下り切ると、風呂場で作業している母親が
母親が話しかけてきた。なんかご飯の説明をしているらしい、「急ぎ、ごめん、カメムシ」と要点だけを絞った説明を済まして、母親を巻いて掃除機を掴んだ。ゴキジェットを掴み、部屋に戻る。右手にゴキジェット、左手にダイソン。最強の装備が完成した。ぼくはSWATになった気持ちで、階段を駆け上がり、部屋に戻った。
するとである。
おそろしいことが起こった。
やつがさっきまでいたカーテンにやつはいないのだ。
カーテンをめくってみても、ベッドの上をみてみても想像つきそうなところは、どこも探してみたが、いないのだ。
いま、ぼくは、掃除機とゴキジェットを脇において、今の出来事をnote
に書こうと思い、今こうしてこの文章を書いている。
つまりだ。
この部屋のどこかには、あのでかカメムシがいる。
しかし、それがどこにいるのか、わからない。
今夜は、この恐怖との戦いながら眠ることになる。
おねがい
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山門文治
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