5月25日(2016年) 初のラウンド16、第2戦アウェイで惜敗
同じようなテーマが続くと、ちょっとこんがらかってしまいそうだが、昨日は2017年、今日は2016年のACLの話だ。
2016年5月25日(水)、浦和レッズは韓国の首都ソウルにある、ソウルワールドカップスタジアムに乗り込み、FCソウルとAFCチャンピオンズリーグのラウンド16第2戦を行い、PK戦の末に敗れた。
GS最終節で韓国チームが愚挙
この年のACLはグループステージを2位で通過。グループステージ最終戦で対戦した浦項スティーラーズとは1-1の引き分けだったが、浦項はグループステージを突破できなかった腹いせなのか、選手が試合終了後、手首に巻いていたテーピングテープをほどいて埼玉スタジアムのピッチに捨てるという、相手のホームスタジアムへのリスペクトを欠く行為をした。
レッズの興梠慎三らがそれを注意すると、浦項の若い選手がそれを全部拾ったので収まるかと思ったが、浦項のキャプテンマークを巻いた選手がそれを受け取るや、またブン撒くというとんでもなく愚かな行為に出た。
最初のポイ捨ては、マナーの悪い奴だな、ぐらいのレベルだったが、こうなると完全に喧嘩を売っているわけで、これに西川周作が怒るのは当然だっただろう。
乱闘にまでは発展しなかったが、こういうことも日本人の一部から「嫌韓意識」がなくならない要因になっていると思う。
もし、あのキャプテンマークを巻いた選手にお子さんがいて、この映像を見たらどう感じるのだろうか。またシドニーや広州のスタジアムで同じことをしたのだろうか。それとも浦和のスタジアムにゴミを撒けば、韓国へ帰って英雄扱いでもされるのだろうか。
韓国の汚名を返上ーレッズ側に一礼
そんなことがあったのが5月3日。そして18日にラウンド16の第1戦が埼スタで行われた。レッズにとって初めてのラウンド16だ。
相手は初対戦のFCソウル。監督を務めているのはJリーグでも大活躍した崔龍洙だった。
実は、浦項の騒動があった後に、また韓国のチームが相手ということで、崔監督と親しいジャーナリストが「こういうことがあったよ」と伝えたところ、崔監督は「うちはそんなレベルの低いことはしない」とかいうふうに答えたと漏れ聞いている。正確な言葉ではないが、そういうニュアンスだったという。
FCソウルとの第1戦は、拮抗した内容だったが前半14分に、宇賀神友弥が挙げた1点を守り切り、1-0で勝利した。相手にアウェイゴールを与えなかったから上々の結果だった。
試合が終わると、FCソウルの選手たちはレッズサポーターが多く陣取る北ゴール裏に向かって一礼。2週間前の浦項の愚挙が記憶に新しかったのでは僕は驚き、一瞬「さすがは首都のチーム」と感心したが、別に首都のチームであることは関係ないはずで、もしかしたら同胞が犯した過ちを詫びる意味もあるのか、と深読みした。
だが、もともと韓国は礼儀に厳しい国だから、そういう習慣があっても不思議はないのだ。ちなみに3年後の話だが、たしか蔚山現代もやっていたように記憶している。
第2戦、トータルタイで延長へ
多少のアドバンテージを持って臨んだ第2戦だったが、やはりどこもホームでは強くなる。激しい戦いの中、一瞬のスキにボールを奪われ、29分に失点する。トータル1-1となったが、ここからレッズが1点取ればソウルは2点が必要になる。そう思って記者席から念を送ったが、通じなかった。ソウルもそれをわかっているから攻撃的な姿勢の中にも守備の意識を緩めず、そのまま90分が終わった。
延長ではアウェイゴール制が適用されず、純粋な得点勝負となる。90分では両チーム合わせて1点しか生まれなかったのが、延長の30分間で計4ゴールが生まれた。
2度あった勝機を生かせず
先手を取ったのはソウル。94分に勝ち越し点を挙げ、レッズはラウンド16で初めて劣勢に立たされる。
そこから奮起したのが、李忠成だ。延長後半の112分、駒井善成のパスから同点に追い付くと、さらにその3分後、勝ち越しゴールも挙げる。僕の頭には「ソウルの夜に2度吠えたチュンソン」というMDPの見出しが浮かんでいた。
しかしアディショナルタイム。パワープレーで最後の攻勢をかけてきたソウルに同点ゴールを決められてしまう。土壇場で勝利が手からスルリと抜け落ちたが、まだ相手の手に渡ったわけではない。
その後のPK戦でも、これを決めれば勝ち、という場面があった。しかし果たせなかった。レッズは2度あった準々決勝進出のチャンスを生かせず、アジアベスト16での敗退が決まった。
再確認したACLアウェイの厳しさ
結果はどっちに転んでもおかしくなかった。いや、レッズの方に天秤ばかりは傾いていたと言っても強がりではないだろう。それでも何が起こるか分からないのがサッカー、というだけでなく、やはりホームとアウェイの差が大きく表われるのがACLだとあらためて実感した。そういう意味でもグループステージ1位突破というのは重要だろう。
今季2022年の大会方式では、ラウンド16からの3試合は一発勝負なので関係ないかもしれないが、噂の開催地が本当なら、レッズにとってディスアドバンテージになるかもしれない。覚悟と準備が必要だろう。
さて、みなさんは2016年5月25日、何をして何を感じていましたか?
※この内容はYouTube「清尾淳のレッズ話」でも発信しています。映像はありませんが、“ながら聞き”には最適です。
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