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清尾淳のレッズ話#285 大勝の一方で~WONDER BOYの離脱 /彼を「残せた」喜び

 今年の春、レッズレディースが沖縄キャンプの最終日に行った、新潟レディースとの練習試合。終わったあと、レッズのスタッフと田中聖愛選手が談笑していたのでまざりに行ったのだが、どう自己紹介していいかわからない。以前、達也選手が話していたことを思い出して、聖愛選手に尋ねた。

 まだ、ご自宅の玄関には、お父さんがナビスコカップで優勝したときの、ゴール後の写真パネルが飾ってありますか?
 「あ、はい」
 僕は、あれを撮ったオジサンです。
 「え、そうなんですか!」

 新潟時代の達也選手に取材した際、あの写真が家の玄関に飾ってあって、娘さんの友達が遊びに来ると「なんで、レッズなの?」と不思議がる、という話を聞いたことがあった。うれしかった。
 そのおかげで、自己紹介が簡単に済んだ。
 近くで見ると、聖愛選手はお父さんより背が高いのではないかと思うくらい、スラっとしているのだが、実はそんなことはなく、登録データでみると達也さんの方が5センチも高い。アルビレックス新潟レディースU-18のころから、トップチームでも出場していたから、間違いないと思っていたがWEリーグでも出場しているのが、僕もうれしい。スピードは納得のお父さん似だ。もちろんレッズレディースのライバルなのだが、田中聖愛選手の出場動向や得点などは、いつも気にしている。

 浦和レッズの田中達也が在籍中ずっと、MDPの写真撮影も僕がやるべき業務になっていた。プロデビューから契約満了の最終日までずっと彼の写真を撮ることができたこと。その雄姿を残せたこと。人生で味わった大きな喜びの一つだ。
 自宅に飾ってくれているという、冒頭の写真がベストショットだと思っているが、個人的には、大ケガから復活してまた活躍を始めて、見る者に勇気をくれた試合の、この写真も捨てがたい。いや、捨てる気など毛頭ないが。

2006年7月22日、川崎戦(等々力競技場)

https://youtu.be/odfA4ttAQHY

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