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5月4日(1996年) 復帰したエースのシーズン初出場初ゴールで延長勝ち

浦和レッズの9番、と言えばもちろん

 レッズの9番、と構えて言った場合は、まず福田正博のことを指すだろう。
 違う? まだこの感覚は多くのレッズサポーターに共通していると思うのだが。

9番以外の試合が過去に3回あった

 Jリーグが固定背番号制になったのが1997年。それまでは先発11人が1番から11番を付け、ベンチの5人が12番から16番を付けるというレギュレーションだった。
 先発のときは必ず9番を付けていた福田だったが、控えのときは違う番号でも仕方がない。もっとも、福田が控えに回ったことは1996年までに3回しかなかった。まず1994年にケガから復帰した2試合、博多の森陸上競技場をホームにして行ったジェフユナイテッド市原戦と、その次のアウェイ、サンフレッチェ広島戦が途中出場だった。このときの背番号は15だった。そして、もう1試合。それが26年前の今日、5月4日だ。

前年の得点王がケガで開幕から欠場

 1996年5月4日(木・休)、浦和レッズは駒場スタジアムに清水エスパルスを迎え、Jリーグ第12節を行い、2-1で勝利した。後半からシーズン初出場した福田正博が延長前半、Vゴールを挙げて、自らの復帰を祝った試合だった。

 この前年、日本人初のJリーグ得点王に輝いた福田への期待は大きかった。チームも、ホルガー・オジェック監督の下、95年の1stステージは3位に躍進。2ndステージは6位で、年間でも6位だったが1993年、1994年と連続最下位だったときに比べれば至福の時、とまでは言わないものの、ようやくプロサッカークラブらしくなってきて、優勝できるかもしれないという期待を抱かせてくれた。

福田やギド抜きで開幕5連勝

 しかし、福田が開幕前のプレシーズンマッチで左ヒザのじん帯を痛めてしまい開幕から11試合を欠場。サポーターはもちろん僕も残念だった。しかしチームは開幕から5連勝とJリーグ4年目にして初めての快挙を遂げた。しかも福田だけでなく、赤い壁、ギド・ブッフバルトもプレシーズンマッチでケガをして欠場していたのだから、レッズも強くなったものだ、とつくづく感じた。ギドはこのnoteマガジンの「4月3日」に投稿したように第5節で試合復帰したのだが、福田は第11節まで試合には出られなかった。

19,213人で埋まった駒場スタジアム(1996年5月4日)

14番を付けた福田が後半登場

 チームは開幕5連勝の後、負けたり勝ったりして7勝4敗という状況で迎えた、この第12節だった。
 入場者は19,213人。パンパンの駒場で始まった試合は、前半終了間際に岩瀬健のゴールでレッズが先制して1-0で折り返した。
 そして後半開始から背番号14を付けた福田が出場。94年のときは15番だったのに、どうして14番だったのかは不明。もしかしたら15番では点を取れなかったからかもしれない。

福田が駒場で9番以外を付けてプレーしたのは、この1試合だけだった

 しかし、この試合もシュートを打てないまま79分に同点にされた。福田だけがシュートを打てなかったわけではなく、後半の45分間は清水のシュート7本に対し、レッズは1本だけ。よく1点で終わって勝ち越されずに済んだ、という展開だった。

 そして延長の前半8分、右サイドの山田暢久からアーリークロスが上がると福田が逆サイドで走りながらヘディングシュート。GKが福田の動きにつられた、その逆の方へボールを流し込みVゴール。僕は福田の逆サイドから写真を撮っていて、幸運にもヘディングの瞬間からボールがゴールに入るところまで連写でフィルムに収めることができた。福田は走ってきたそのままの勢いで看板を飛び越え、ゴール裏のサポーターに復活をアピールした。

Vゴールが決まった瞬間に試合は終わっているから看板飛び越えはOK

 ちなみにこの日、先発で9番をつけていたのは誰か覚えているだろうか。Vゴールをアシストした山田だったのだから面白い。

気持ち良さでシーズン5本の指に入る試合

 当時は延長でもPK戦でも勝ちは勝ち。勝点3がもらえたから、もちろん価値あるVゴールだったが、それだけではない。福田抜きで11試合戦ってきて、当時は首位に勝点5差の5位にいたが、駒場に集まったサポーターみんなが、これから首位に向けてばく進するぞ! という気持ちになった、このシーズンの気持ち良さベスト5に入る試合であり、レッズのターニングポイントになるべきゴールだった。

この1996年の中でもベスト5に入る気持ちの良い試合だったはず

 さて、みなさんは1996年5月4日、何をして何を感じていましたか?

※この内容はYouTube「清尾淳のレッズ話」でも発信しています。映像はありませんが、“ながら聞き”には最適です。今回から語り口を変えていますので、noteを呼んだ後でも、違ったムードで楽しめると思います。

【あの日のわたしたち~浦和レッズ30年~】は、レッズサポーターのみなさんから投稿を募っています。浦和レッズ30年の歴史をいっしょに残していきましょう。詳しくはマガジン「あの日のわたしたち~浦和レッズ30年~」のトップページをご覧ください。


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