4月24日(2016年) ACL効果はっきり。等々力で川崎に完封勝ち
2016年4月24日(日)、浦和レッズはアウェイ等々力競技場で川崎フロンターレとJ1リーグ1stステージ第8節を行い、1-0で勝利した。2014年以来2年ぶりに川崎に勝った。
3日前にシドニーから帰国
この年の川崎はリーグ戦開幕から5勝2分けの負けなしで第7節終了時で首位に立っており、レッズと鹿島アントラーズが勝点1差で追うという状況だった。
またレッズはこの年、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)に出場しており、4日前の4月20日(水)にはシドニーに遠征していた。シドニーFCとグループステージ第5戦を戦って勝点1を挙げており、木曜日に半日かけて帰国したばかりだった。
中3日とはいえ、シドニー往復はけっこう負担になる。選手の疲労が心配されたが、レッズはシドニー戦から3人しか先発メンバーを替えなかった。右のストッパーを那須大亮から森脇良太、左のワイドを梅崎司から宇賀神友弥、ワントップをズラタンから興梠慎三だ。それ以外の、GK西川、リベロに遠藤航、左ストッパーに槙野智章、ボランチに柏木陽介と阿部勇樹、右ワイドが関根、シャドーの李忠成と武藤雄樹、以上8人は連続先発だった。
一方の川崎も4日前にYBCルヴァンカップのグループステージを戦っていたが、そこからGKとDF2人の3人を残して8人先発を替えていた。
あれ? きょうは何か違うぞ
相手の好調さと疲労の度合いから考えると、苦戦が予想されたが、試合が始まってみると少し違和感があった。誤解を恐れず正直に言えば「川崎のプレスってこんなに緩かったっけ?」と感じたのだ。
ミシャ監督が就任した2012年からこの前年2015年までの4シーズン、レッズは川崎に対してリーグ戦で1勝3分け4敗とかなり苦手にしていた。
完璧にやられたという試合はなくても、局面で激しい戦いが見られ、レッズは思うような攻撃ができず、ちょっとしたスキでやられてしまう。そんな試合が多かったという印象だ。
川崎との試合は強度の高い、面白い試合になる。だが、分は良くない。それを覚悟してこの日も等々力に来たのだが、ちょっと違う。川崎はいつものようにボールを取りに来たし、よく動いていた。しかしレッズの各選手は余裕を持ってパスをつないでいるように見えた。
圧倒しているわけではないが、それぞれの局面ではほぼ勝てていたから、スコアは動かなくても、負ける気がまったくしなかった。
相手にダメージを与えるゴール
後半になってもそれは変わらず、ついに試合内容が結果になった。
54分、森脇が右クロス。ゴール前に入って行く李。決定機だ。だがチュンソンはDFをひき付けておいて、ファーサイドに入ってきた武藤にヒールで流す。フリーの武藤がダイレクトでゴールに蹴り込んだ。
ピッチから感じていた余裕。それがゴールまでの流れに表われていた。同じ1点でも、相手に与える精神的なダメージが強い、と思った。
もし僕がカメラマンでいたら、武藤のシュートをちゃんと撮ることができただろうか。チュンソンのトリッキーなプレーにまんまと引っかかったかもしれない。フリックとかスルーが得意な、ヤツのことはわかっているつもりだが。
ACLに比べたら余裕を持てる
当然、川崎はギアを上げて反撃に来る。レッズは守りに入らず、それまでどおり相手をいなしながら2点目を狙い、実際に決定機も作った。
試合を見ながら、僕は「ACL効果」とノートにメモした。4日前のシドニーFCとの試合はスコアレスドローだったが、コンビネーションで相手を崩そうとするレッズ、強い強度で戦って来るシドニー、という図式だった。それを見た後だから、僕は川崎のプレスが緩く感じたし、実際に選手たちも余裕を持って戦えていたのではないか、ということだ。
横浜FMとは違い、川崎は戦ってきた
2週間前、横浜F・マリノスにドン引きされた試合を思い出した。
あれも中国の広州恒大にホームで勝った5日後の試合だった。元コロンビア代表のジャクソン・マルチネスやブラジル代表クラスのリカルド・グラルといった大物外国選手を封じ、中国スーパーリーグ5連覇中だった広州を下した自信が、選手たちからあふれていた試合だった。
あのときは横浜FMが、ホームにもかかわらず負けないだけのサッカーに徹してきたのでスコアレスドローに終わったが、川崎はいつもどおりちゃんとサッカーをしてきたからレッズに決定機が生まれた。負ける気はしなかったと言っても、川崎を相手陣内に封じ込めたわけではなく、展開自体は拮抗していたのだ。
川崎にシーズン初黒星を付ける2年ぶりの勝利。特にミシャ監督就任後
、等々力で勝つのは初めてだった。
この日、勝点で並んでいた鹿島が負けたため、レッズは首位に浮上した。
あんなに気分良く武蔵小杉駅まで歩いたのは初めてだったろう。
さて、みなさんは2016年4月24日、何をして何を感じていましたか?
※この内容はYouTube「清尾淳のレッズ話」でも発信しています。映像はありませんが、“ながら聞き”には最適です。
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