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さいしんコラム#1206 ピッチからもスタンドからも/スタンドが先だったが  

 さいしんコラム本編には書いていないが、実際これまでとの違いを感じたのは、ピッチの選手たちよりスタンドの方が先だった。
 選手入場のころ、まだ入場していない人が多かったはずだが、「We are REDS!」の声量やその後の「アレ浦和」の大きさに、いつもの平日"らしくなさ"を感じた。見るとバックスタンドの多くの人が立っていた。記者席から下を見るとメーンロアーの前の方の人(そこしか見えない)も立っている。記者席の周りを見るとアッパーでも立っている人が少なくない。
 座っていても声は出せるが、立った方が大きく出せるだろう。「スタンディング・オベーションの文化」が浸透しているのだろうか。少なくともこの日の試合に関しては、絶対に負けられない、という思いだったのだろう。MDPの特集で「平日来る人」の気持ちを取材したばかりだったので、よけいにそれを感じたのかもしれない。

 試合は、チアゴのシュートによりPKを得たのがちょうどアディショナルタイムの5分を過ぎたころだった。ずっとマイボールが続いていたが、最後のコンビネーションの起点になったのはマリウスから長沼へのパス。あれがあと1分遅かったら。長沼が安居に送らずマリウスに戻していたら。安居がワンタッチで原口に出さなかったら。原口が関根に送ったパスがほんのちょっと遅れて、関根がオフサイドになっていたら。
 そんな「たら」が一つでもあったら、スコアレスドローに終わっていた試合だった。

 ヴェルディ戦から何も変わっていない。
 そう言う人もいる。たしかに効果的な崩しはあまり見られなかったし、得点はそのPKによる1点だけ。3日間で多くのものは変えられなかっただろう。
 だが、3日間で変えられたもの。それが選手たちの気持ちだろう。それは間違いなく、これまでと違っていた。
 課題は、これからもその気持ちを持ち続けられるか。そして気持ちだけではなく、プレーでも一つになって結果を出すことができるか。

 何にしてもこの日のスタンドの気迫は、「後押し」というより「けん引」に近かった気がする。
 僕は試合の後、「あの時間にPKをもらって決勝点になるなんて、今のレッズらしい勝利かもしれない」と思ったが、スタンドの気迫にピッチの選手たちが影響されて、または気持ちが増幅して、結果を出す。それこそ「レッズの勝ち方」だろう。

 加筆
 ご指摘をいただいたので追加。
「スタンディングオベーションの文化」を定着させたいと、頑張っている有志がいるのはもちろん知っている。
 だが、どれくらい浸透しているのか、毎回注意して見ているわけではないので詳しくない。毎回、かなりの人が賛同して立っていると今さっき聞いたが、今回は声量にいつもより気迫を感じたので、よく見たら立っている人が多かった、ということ。
 声量は測ろうと思えば測れるが、気迫は測れない。あくまで僕の主観だ。


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