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清尾淳のレッズ話#286 勝ち点1差の2位~その背景 /リーグ戦の醍醐味

 YouTubeでも言っているように、このシーズンは最終節で5チームに優勝の可能性があった。だから、あるサッカーライターがスポーツ新聞に「優勝に絡む会場では大型ビジョンで他会場の経過を速報せよ」というコラムを書いていたので、当時僕はこれにかみついた。といっても、大御所にかみつく丈夫な口は持っていないので、自分が書かせてもらっているレッズのパートナーのホームページのコラムで書いただけだが。

 たしかに「どこが優勝するか」ということに最大の興味がある人たちにとっては、各会場の結果がビジョンで速報されれば、便利だろう。しかし「うちが優勝するために」応援に行っている人たちにとって、試合中にその情報は必要だろうか。
 どんなときも、最後まで力の限り応援するというサポーターがほとんどだと思うが、優勝に近付いたり遠ざかったりすることによって、力がいっそう入ることもあるだろうが、逆に緩んだり、時間帯によっては諦めたり、ということはないだろうか。
 もし、それは考え過ぎだよ、というサポーターが多いのなら僕のかみつきは的外れだったことになるが、当時はこの考えで概ね正しいと思っていた。

 さて、その上位5チームだけに絞っての「直接対決リーグ」の順位をあらためて抽出すると、こうだ。

【トップ5の直接対決での順位/リーグ順位】
①C大阪 5勝1分け2敗=16/5位
➁G大阪 3勝3分け2敗=12/優勝
③鹿 島 2勝5分け1敗=11/3位
④千 葉 3勝2分け3敗=11/4位
⑤浦 和 0勝3分け5敗=3 /2位

 このうち優勝したG大阪の勝敗を抜き出してみる。

△鹿 島 2-2 G大阪△
△G大阪 3-3 鹿 島△
△浦 和 1-1 G大阪△
○G大阪 2-1 浦 和●
●C大阪 2-4 G大阪○
○G大阪 4-1 C大阪●
●G大阪 1-2 千 葉○
○千 葉 3-1 G大阪●

 G大阪は4位の千葉に2敗している。
 他の4チームが星のつぶし合いをしたため、首位に浮上したということになる。
 
 次にC大阪の成績を見ると

●浦和 1-2 C大阪○
○C大阪 3-1 浦和●
●鹿島 0-1 C大阪○
△C大阪 0-0 鹿島△
●C大阪 2-4 G大阪○
○G大阪 4-1 C大阪●
○C大阪 2-0 千葉●
●千葉 1-2 C大阪○

 上位対決では他の4チームに最低1回は勝っているのだ。そして最終節で優勝寸前まで行きながら89分に同点ゴールを決められ、得失点差で5位に後退した。千載一遇のチャンスを逃がしたということだ。

 この2005年のJ1リーグには、リーグ戦の醍醐味がたくさん詰まっていたように思う。正直言えば僕の中では、通算5回あるJリーグ2位の中では一番悔しさが少ないシーズンだったのだが、こうやって見ていくと、あらためて惜しかったなあ、という気がしてきた。


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