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11月26日(2011年) 鍛え抜かれた職人技、マルシオのPKで残留がほぼ決定

 2011年11月26日(土)、浦和レッズはレベルファイブスタジアムに乗り込んで、アビスパ福岡とJ1リーグ第33節を行い、2-1で勝利した。この結果、2011シーズンのJ1残留が99.99パーセント確定した。

 第29節で降格圏の16位に後退し、ゼリコ・ペトロヴィッチ監督を解任。レッズユースの監督だった堀孝史さんと同コーチの天野賢一さんをトップの監督・コーチに据えたレッズは、第30節で15位に浮上したが、安全圏にはなかなか到達できなかった。
 第33節を前にして、モンテディオ山形とアビスパ福岡は降格が決定しており、残り1枠をレッズとヴァンフォーレ甲府が押しつけ合っていた。勝ち点はレッズが33、甲府が30。得失点差はかなりレッズが上回っていたので、万一並ばれても順位はレッズが上になった。
 つまり、この33節が終わっても、その差が維持できていれば、最終節でひっくり返されることはまずない、ということで、レッズにとってこの福岡戦は、16位で迎えた第30節の横浜F・マリノス戦と同じくらいの大きなヤマ場だった。

 福岡にとってはホーム最終戦。降格が決定しているということはJ1最後(当面は)のホームゲームということになるから、モチベーションの高さは想像できた。
 その予想どおり32分、福岡に先制される。少し血の気が引いた。しかしアディショナルタイムに柏木陽介が同点ゴールを決め、1-1で折り返した。

同点ゴールを決める柏木

 最大のヤマ場は61分、梅崎司がエリア内で倒されPKを得る。そのファウルで相手は退場。これだけなら、レッズが俄然有利となる展開だった。

 しかし状況はそう簡単ではない。
 福岡は勝ち点3が必要なわけではなく、10人で戦ってドローならホーム最終節のサポーターも納得してくれるだろう。1-1のままなら10人がベタ引きしてくるに違いない。そうなれば、レッズは負ける可能性は低くなるが勝ち点1では足りないのだ。
 もちろん2-1になって、相手が1人少なければレッズが勝つ公算はかなり高くなる。しかし、もしこのPKが決まらなければ、ドローで終わる可能性大で、甲府との勝ち点差が1に縮まって最終節を迎えることにな。
 レッズの相手は優勝戦線の先頭にいる柏レイソル。優勝が懸かった柏に最終節で勝てるくらいなら、残留争いなどしていない。

 つまり、このPKはレッズの残留を左右する重要なひと蹴りになるのだ。
 PKスポットでボールを持つのはマルシオ・リシャルデス。普通ならまず外すとは思われないが、この緊張感マックスの場面で、ふだんの技術が発揮できるか。
 できた。
 ゴール右にボールが収まった。やった!

マルシオのPKが決まった、と思われたが…

 え?
 レフェリーがゴール取消のジェスチャーをしている。レッズの誰かがキックの前にラインを越えてしまったらしい。マジかよ!
 だがPKが取り消されるわけではなく、やり直し。マルシオがもう一度ボールをセットする。
 やりにくいだろうなあ。
 いかに職人とはいえ、続けて2回のPKを2回とも成功させるのは、簡単ではないはず。さっきより緊張感が高まる中で決めることができるのか。
 できた。
 今度は前回とは逆の左へ蹴った。

やり直しのPKもしっかり沈めたマルシオ

 ゴールはレッズサポーター側。マルシオはそのままゴール裏へ走り、レベスタの低いフェンス越しにサポーターと喜びを分かち合った。僕はマルシオの強いメンタルと高い技術に感謝しつつ、サポーターがうれしさのあまり飛び降りないかと心配していた。

サポーターのところに駆け寄ったマルシオ

 勝利してサポーターのところに挨拶に来る選手たちの中で。このシーズンずっと苦しんできた、キャプテンの鈴木啓太の表情が何とも言えなかった。

 さて、みなさんは2011年11月26日、何をして何を感じていましたか?

【あの日のわたしたち~浦和レッズ30年~】は、レッズサポーターのみなさんから投稿を募っています。浦和レッズ30年の歴史をいっしょに残していきましょう。詳しくはマガジン「あの日のわたしたち~浦和レッズ30年~」のトップページをご覧ください。

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