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一句鑑賞 改札は有馬記念の靴の音/黒岩徳将
改札は有馬記念の靴の音
年末のグランプリレース「有馬記念」が行われる中山競馬場の最寄り駅、船橋法典駅を想像した。駅には競馬場直結の改札があり、多くの競馬ファンはそこから競馬場へと入場する。過去、最も多い時には十七万人が中山競馬場に集結したこともある。そんな夥しい数の「靴の音」が響き渡る。
一大イベントを楽しむために。好きな馬を応援するために。自分の運を試すために。愛馬の引退を見届けるために。様々な思いを胸に、ひとつのレースのために集う人々。それぞれの靴音が重なりひとつの景を成す。「有馬記念」へ向けての高揚はもはや隠しきれない。作者の「有馬記念」への並々ならぬ思いも伝わってくる。
初学の頃「ダービー」が季語だと知り、それならば当然「有馬記念」も季語だろうと思っていた。「有馬記念」は競馬ファンにとっては非常に大事なレースであるが、残念ながら現時点では歳時記にその文字列は見当たらない。年末の大一番。季感はたっぷりとある。しかし「有馬記念」の名句が認められていない。それならば、佳い句を詠めば良いだけの話である。
作者がそう思っているかはさておき、掲句を句集に見つけた時「よくぞ句集に入れて下さった!」と感動した。「有馬記念」を季語にしようと日頃から活動している身としても非常に嬉しい一句である。
そして今日は、その有馬記念が行われる。今年は「靴の音」の一つになることは叶わなかったが、仲間と一緒にテレビ中継でレースを楽しむ予定だ。「有馬記念オンライン句会」も開催する。今年も最後まで競馬も俳句も全力で楽しみたい。
※写真は昨年の渾身のハズレ馬券です。
こちらは五月ふみさん(https://note.com/books_may)の企画「好きな俳句の一句鑑賞 Advent Calendar 2024」の参加記事です。ぜひ企画ご参加の方々の一句鑑賞も楽しんでくださいね。素敵な企画に参加させていただきありがとうございました!