いろとりどり
「それくらいできるでしょ?」って言葉は、地味に削られる。
バイトから帰ってきて、何か知らんけどへとへとで、すぐベットに倒れこみたいところだけど、ごはん食べる。途中から眠くなってきちゃて、動けなくなって、そのままずるずる姿勢が崩れて横になる。いかん。このままじゃ絶対寝落ちする。動かなきゃ。動かなきゃ。体と頭が矛盾してて、あ”----って思ってるところに、冒頭のひとこと。
「食器の片付け、さっさとやっちゃいなよ。それくらいできるでしょ?」
皿洗いなんて本気出せば5分もかからない。片付けちゃえばおふとぅんダイビングできる。肩も首も痛くない体勢で寝られる。なのに、なのにどうしても動けない私。どうして「そんなこと」すらできないくらい疲れてるのか、自分でもわからないから、だから言い返せない。
「……うん」
「またそんな生返事して。絶対そのまま寝ちゃうんだから」
そうなんです寝ちゃうんです。でも動けないんです。「そんなこと」もできないんです私は。ごめんなさいごめんなさい。でもわかってくれないあなたも私は嫌い。家に帰ってきたのに休まらない。わからん、わからんけど総じてつらい。なんでこんなに疲れちゃうのかなあ。なんでこんなに動けないのかなあ。なんでいちいち言葉尻に反応しちゃうのかなあ。傷つけられた立ち位置を確保したがるのかなあ。
……っていうぐちゃぐちゃは置いとくにしても、「そんなこと」かどうかは本人が決めることだよな、って思います。人が横から勝手に決めるのはちがうよね。「それくらいできるでしょ?」は禁句!キャパなんて人それぞれ!!”ひとりひとりはいろとりどり”だからね!!(隙あらばおかあさんといっしょを持ち込もうとする。でもいい曲なので聴いてみてね)
ちっちゃな引っ掛かりに気づける人でいたいです。それでぼろぼろになったとしても、ね。
引用:「とり」花田ゆういちろう・小野あつこ(おかあさんといっしょ)