【わたしが幸せになるまで】 吉川ひなの 著 幻冬舎
たまたま最近のファッション誌で見かけた吉川ひなのさん。
いつの間にか大人っぽくなっていて、二児の母になっていて、ハワイからのリアルな日常生活を発信しているのに驚きました。
わたしは彼女がティーンエイジャーでデビューした瞬間を目撃したことがあるので尚更です。確か、朝日新聞の一面に掲載された新宿伊勢丹のイメージモデルが、彼女の始まりでした。
え! この娘だれ?
大きな瞳に長い手足と長い髪、新鮮で無垢なオーラを強烈に放っていました。
次に見かけたのは、今や伝説のファッション誌『オリーブ』
彼女のために当代きってのスタッフが集結し、ファッション、ヘアメイク、カメラ、スタジオ、エディトリアルデザインで組まれた彼女の特集ページ。
でも、彼女はなぜか楽しそうではない。
写真にはそういう空気感、今にも泣き出しそうなのを堪えているのが漂っていました。
案の定、編集後記にスタッフが、彼女のバージンヘアをソバージュにするためアイロンを当てたり、セットするためにスプレーで固めたことを謝まっていました。
元の真っ直ぐでさらさらなロングヘアに戻そうと、泣きながらシャンプーをしたそう。
「もういやだ!」と彼女が現場を出て行こうとしないようにと、周りはあたふたと、必死におだてて、姫扱いしたんだろうなぁ……
お洒落なのに、物悲しい雰囲気のファッションフォトが、わたしの印象に残っています。
逸材を無理やり枠にはめ込んだのか。
その後、しばらくするうち、逸材は枠の中に自ら居場所を見つけたのか、姫として、舌っ足らずの子供っぽいおしゃべりも武器にして、業界で活躍するようになってきて、あれこれ意図しないであろうゴシップも経験してきたようです。
しばらく見かけてないなぁと思っていたところの、ファッション雑誌の彼女のページ
コロナ禍のハワイ生活の写真は、お洒落なだけでなく、格好付けの伊達メガネだけでもなく、深い洞察とインテリジェンスに溢れていて、自然や家族への愛にも溢れていて、彼女の変化と成長に驚かされました。
そんな彼女が新刊を出したとのことで、気になって即買いに走りました。
Be Me
豊かな人生の見つけ方
冒頭のほんの数ページのプロローグには彼女の前半生がぐっと痛いほどに凝縮されている。彼女にとっては未知の、本当の豊かさというものを、手探りしながら求めて行こうという、強い気迫が満ちわたっている。それが、私がこの本を手にした理由でもある。
まさに彼女が苦闘の末に辿り着いた真の豊さについて、そして次なる時代の環境を守るための発信や活動について、時に過剰なまでの想いで、でも嘘のない言葉で綴られています。
ここに至るまで、ものすごく勉強したんだろうなぁ。
もはやご機嫌を取られる姫ではなく、ひとりの自立した素晴らしい女性の言葉が心に響きます。