読んでないなりにワニについて書き散らかす

・この記事のまとめ
『100日後に死ぬワニ』について思ったことを考えなしに書きました
私は『100日後に死ぬワニ』のアンチです
「人が死ぬまでの記録」を「毎日更新」したから流行ったのだと思いました
アンチがめちゃくちゃ多いから読者が増えたのだと思います
流行って読者が増えてお金になることが作者にとっての幸せです

・端書
『100日後に死ぬワニ』(以下「ワニ」。キャラクターの名前もワニなので困る)というコンテンツの存在が今日になるまで死ぬほど嫌いだった…というかなんでこれが流行っているのかがわからなかった。
…のだけど、100日目にこうして死んでみるとああ実際そんなに悪くないんじゃないかなという不思議な感覚になっているので雑に書く。あとで書き直すかも。

・ぶっちゃけ読んでない
俺はワニ5%も読んでない。おそらく「フリーターのワニが平凡に日常を過ごし、100日目に事故か何かで死ぬ」という話であることをさっさと理解したので(違ったら指摘してください)、それまでの過程に物語的な価値はおそらく無いだろうと思ったから。

・なんで流行ったか
「人の死」(これは人と捉えていいのかはともかく)や、それに関連したコンテンツが人に与える関心は限りなく大きい。試しにYouTubeでドラレコ事故動画を検索すると、2ヶ月前に上がったものが100万再生を越えている。良い悪いではなく、とにかく赤の他人が傷付いたり、あるいは死んだりすることに、少なくとも多くの日本人は興味を抱く傾向にある。
それに加えてこのワニは毎日更新。この爆速インターネット社会において「新しいものを毎日更新する」という努力(あるいは強制力)は、相応の価値を生み出す。例が重なってしまうが、まさにYouTuberがその代表例である。自分の感覚からしても、毎日あるいは2,3日おきに更新されるチャンネルは、間違いなく再生数が伸びている。
以上のことから「ワニ」は、「"人の死"について"毎日更新"される」という圧倒的なバズりスペックを搭載して着実に話題の最先端となった…ように思われる。
あとは「これが人だったらなんかリアルで気分悪い」とかそんな感じの要因があるとは思うけど、それはおそらく決定的なポイントではない。

・アンチは多い方がいい
前のエントリに記した通り、私は一時期漫画の編集者だった。その当時から…いやもっとずいぶん前から思っていたことの一つに「作品のアンチは多ければ多いほど良い」というものがある。
全然読んでない私が言えたセリフではないが、「ワニ」にはたぶん死に至るまでの過程に一切の盛り上がりが無い。「死ぬ」という前提がなければこの漫画は物語として成立しない。有り体に言えば「中身がない」のである。
漫画やアニメやドラマなどを問わず、物語というのはキャラクターが戦ったり恋愛したり困難を乗り越えたり…してから何かしらの結末を迎える、というのが一般的な構成であるが、「ワニ」はタイトルに明示されている「100日後の死」という結末に向けて突き進む、とにかく「中身のない」作品だと思う(反対意見をお待ちしています)。そしてまた一般的に「中身のない作品」は(受け手の解釈次第ではあるが)強く批判をされるものである(「中身がない」は作品批判の常套句であることは…言うまでもないことだろう)。
だからこそ、「ワニ」はアンチが極端に多いモンスター作品になったのである。
しかし、アンチもファンも好き嫌いの違いのみで分けられるだけで、もっと広い捉え方をすると、ただの一読者である。実写版デビルマンがクソ映画の代名詞として現在に至るまで語り継がれているように、ともすればアンチは物語がその後生き続けるために必要不可欠な存在で、さらに言えばファンもアンチも関係なく、完成した作品が求めているのは「受け手」でなのである。
「これから死ぬことが判明しているフリーターのワニ」というキャラクターは、クソだクソだと騒ぎ立てるアンチとワニの行く末を案じる(どうせ死ぬのに)ファンによって存在が加速し、数多の作家が日々必死こいて生み出す(または生み出される予定の)個性的かつ魅力的なキャラクター達を置き去りにして、何百万という人の注目を集めたのである。

・結局何が言いたいねん
私は完結していない作品に対して何かを考える頭を持っていないタイプである。だからこそ、書籍化だの映画化だのでまたボロクソ叩かれてるけど、あらゆる方面からのプレッシャーに耐えて最終的に1日1回ワニを更新するマシーンと化してまで完結させたきくちゆうき氏の精神力が本当に凄いと感じた。だからこうして記事を書いている。
書籍はたぶん売れるし、映画…これはなんかダメそうな気がするけど、とにかく作者がその作品をお金に代えられたのは良かった。タイミングはもっと他にあっただろうとは思うけど、たぶん前述のアンチを活用したのだと思うとかなり有効だろう。
「ワニ」は爆発的に人気の出た作品だけど、これが新しいスタンダードになるとは全く思わないし、思いたくもない。私はこの作品のアンチである。尖ってるだけで面白くない。
しかし、何でもやってみないとわからないということを改めて感じられたという意味では素晴らしい作品だと思う。

もし「ワニ」が最初からどこかの会社が絡んだ企画であったとしたら…
また変な話になりそうなのでやめておく。

(追記)
LOFTのグッズ一覧見たら3ヶ月でなんとかできるレベルではない品揃えだったので最初から代理店絡んだ企画であることがおよそ判明して微妙な気持ちになりました(ここで「毎日更新」の話をしてる時に書いた「強制力」というワードが生きてきます)

(追記2)
やっぱり読まずに批判するのは自分が許せないので読みました。思った通りの感想が生まれたので逆に安心しました。

(追記3)
なんかいろいろあって全貌が判明したのでワニについて考えるのはこれでやめます。

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