インクルーシブデザインワークショップを久しぶりに高校でやってみた話。
11月の山場も終えて、Collable的な仕事の1つめは、都内の高校でインクルーシブデザインワークショップを体験してもらうことでした。ひさしぶりの高校での取り組みとなりました。お声がけくださったF先生ありがとうございました。
1年生が自分の関心で体験したいNPOなどのゲストの講義を選んで、参加するというもの。(もしくは関心ではなくお友達ととりあえず選んだ、みたいなこともあり得ると思いますが)
今回のテーマは、渋谷の商業施設を<見えない人・小さな子どものいるママさん>と一緒に歩いて、よりよい商業施設を考えてみようというもの。
青山学院の場所からすこし頑張ればヒカリエと表参道ヒルズがあり、5グループが二手に分かれて活動をすることになりました。あいにくの雨で、特に見えないユーザーのお二人は、白杖と傘と両方が必要になっている状態で大変だったかなと思うのですが、ご協力いただけて感謝でした。
今回、初めて「小さいこどものいるママ」という人たちをリードユーザーにもしてみたいなと思い協力していただきました。ただ、これもまた気づきがあったのですが…
①前日:お一人お仕事の都合で来れなくなると、コーディネートをお願いしていたもうお一人の協力者からご連絡をいただく。そのかわりの人に声かけたら来てくれるとのことなので、1名メンバーチェンジしますとのこと。このとっさの連携プレーがすごい。というか、そういうコミュニティを作ってきた彼女がすごいのだと思うけど。ただただ感謝しかない。
②当日朝:なんとそのご本人の息子くん、お熱で早退となり、コーディネートしてくださっていた当の本人も来れなくなってしまった。ということでまたピンチヒッター?で、お一人声掛けをしてくださっていた。すごすぎる。なんだその強固なコミュニティは…
ということで、趣旨説明もままならないにもかかわらず、素敵なお二人に急遽ご協力いただきました。もう1人は私の大学院時代の友人がきてくれて、ママさん3名にご協力いただきました。本当に感謝です。
2時間の授業時間の中での進め方は、まずインクルーシブデザインってなあに?という解説を行います。そのあと、実際にグループでリードユーザーとともにフィールドワークしてもらい、リードユーザーと歩くからこそ気づく気づきをたくさん集めてきます。集めた気づきは付箋や模造紙などに書いて、課題の特徴を整理したり分類したりします。そうして課題解決ポイントを見つけながら、どうしたら「お互いにとってよいアイデアになるのか」という2つの着眼点を頼りに、アイデア生成までしてもらいます。
2時間しかない時間の中で、アイデアをいきなり作るのはハードルが高いと感じています。しかも普段接点のない人とグループ活動をするので、①知らない人と活動すること、②アイデアを考えること、という2段階の負荷が、インクルーシブデザインにはかかります。
そして今回の授業では、アイデアがどうしても「ともに」から脱却しきれてないようなものが多くありました。多分その原因は【①知らない人と活動すること】のハードルを乗り越えきれないまま終わってしまったことにあるように思います。
前に神奈川県の高校でワークショップをさせていただいたときは、彼女たちは突拍子もないアイデアを出してくれるんですよね。「その発想はなかったかも…」みたいなことがポツポツ出てくる。その高校はお世辞にも偏差値が高いとは言えない部類の高校に入るのですが、遠慮なく見えないユーザーとワイワイコミュニケーションをしてくる。
えっ、じゃあこの杖をどうやって持って歩くの?まじ?すげー!
自販機で飲み物買うときみえなくない?やば!
みたいな一見がさつに見えるコミュニケーションで、ぐいぐい相手との距離を縮めてくれていました。おかげで、遠慮せず相手がどんなニーズのある人なのか、自分たちが学んでいくわけです。共感力も高かったかも。あれは勢いがあったなあ‥とっても楽しかった授業の1つで印象に残ってます。
一方で、今回見えたことは、みんな優秀なので、困りごとに対応してあげねば、という意識からあまり外れてくれなかったなというのが難しいポイントでありました。ママさんたちにもそうで、自分から何を聞いたらいいのかわからないまま(もちろんこちらから支援はしますが)、気づいたらなにかアイデアを出さないといけないので、困りごとに対応するアイデアで精一杯。という感じかもしれません。
生徒さんの顔出しをするわけにいかないので、授業の様子の写真はありませんが、その他、特に見えない人たちとの活動の中では、下記のような小さな認識の気付きがあったかも、とスタッフくりのさんと共有しました。
①見えない人とはエスカレーターに乗りたがらない
どうやって乗ってもらったらいいのか想像がつかないのかもしれない。6人くらいで固まって動いているので、集団行動にはエレベーターが便利とも思っているのかもしれないけど、エスカレーターもみんな使っているわけで、それを避ける心理はどこから来るのか、興味深いです。
②点字の大きさを意識していない
超福祉展がヒカリエで開催していたので、そこに見えないユーザーと一緒に行った高校生たち。点字と墨字を融合させたブレイルノイエの拡大版点字を見えないユーザーくんに触ってもらい「わかりますか?」と確認してもらおうとしていたのだけど、そもそも展示用に拡大されているものなので「こんな大きいのわからないよ(笑)」っていうやり取りがあったらしい。そうか、点字がどういう接触範囲で読まれているのかって、意外と知らないのかもしれないという気づき。
などなど、これはこれで私たち自身も改めて実践に対して振り返ったり、自分たちと違う人達の関わりの中で見えてくる面白い違いに気づく機会になりました。
みなさん大変お世話になりました。ありがとうございました!
ここからはワークショップの企画から運営までの反省を書いています。個人的な記録だったり、葛藤を書いているので有料にしてみます。
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基本的に私は(よくもありわるくもあるかもしれないが)、お声がけくださった方がとても熱意ある方だと、どういう条件であれ「その限られた中でどうやって実現するか」を考えてしまう。そんななかでどうだったのか、完全に個人の視点で書いてみます。
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