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待ち合わせをデザインするワークショップにおける意図や裏話

さゆちゃむです。インクルーシブデザイン普及、多様な人たちとの共創の環境づくりのしごとをしています。

12月21日(一昨日)、久しぶりにインクルーシブデザインワークショップを主催で開催しました。

ワークショップにご参加頂いたみなさまにはお伝えしたのですが、今回じつは、6年前の同じ日に、同じワークショップをしていたんですね。ちょっと狂気を感じますね…

ちなみに「インクルーシブワークショップ」となっているのは、シブヤ大学のWEBの規定上、文字数が多すぎたのでなくなく「デザイン」という言葉を消したがゆえのこのタイトルです

そこで今回は、ワークショップの裏側を少し共有しながら、どんなワークショップの機会にしたかったか、ということを整理してみたいと思います!

企画の立ち上がり方

毎月19日にインクルーシブデザインワークショップをやるというプロジェクトが始まってもうすぐ2年が終わろうとしております。(いや2年たったのかな)

1年目は弱視・アルビノの元インターン生をリードユーザーに、ぷちワークショップを毎月繰り広げていきながら、参加者がどんどん毎月お友達を紹介してくださり、緩やかにコミュニティを大きくしていきました。
コアメンバーが固定化されてきて、良い感じに立ち上がった感触を得た1年目。

ところが2年目となる今年は、どうもみなさんお仕事がお忙しくなっていました。転職をした人、仕事のプロジェクトが超忙しくなった人、事業がのりに乗り始めた人…という感じで、みんなで集まることが難しくなってきました。

「19日に実施」と決めていたので、平日夜になることがほとんどですが、リードユーザーは毎月来てくれるのに参加者はいない日もある、というのはちょっと良くないよなーと思って、運営方針の変更をコミュニティ内でご相談しました。それが、1年書けてアイデアを実際に商品化するというもの。

が、結局人が集まらないという状況が変わらないので、このプロジェクト方針も変更。一度改めてコミュニティのみなさんと相談の機会を設けました。

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当初の19日コミュニティでのワークショップの様子。ここからどんどん人が減っていくという…

当初はこのコミュニティ自体を大きくしていけたらとは思っていたのですが、そもそもはブランディングテクノロジーさんのCSRプロジェクトとの共催ということもあり、双方の運営方針をすり合わせる必要があった点。

そしてリードユーザーの情報が結構赤裸々に共有されているコミュニティでもあったので、そこに会ったことのない人がどんどん入っていくのは怖さもある。つまりプライバシー問題をどうするのか、という点。

この2点があって、下手にコミュニティを拡大しても意味がないのかもなというのが手応えとしてありました。

この点を共有した上で、議論にのっかってくださって前向きにご意見をくださったのが、昨日のワークショップで運営&参加者としていてくれたコアメンバーのみなさんです。本当にありがたい…

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そこで出てきた方針は2つ。

①3ヶ月に1度位のペースでワークショップを実施。毎月19日はそのためのミーティングにあてる。ワークショップは色んな人に参加してもらいたいので週末に実施。そうすると実施日は19日でなくてもよい。

②せっかくこれまで渋谷で取り組んできたし、少し地域、エリアを意識した企画にしてもいいかもしれない。

ということ。

特に②については、ブレストの結果、公共施設にかかるデザインについて考えたいねという話で盛り上がり、昔実施した待ち合わせをデザインするワークショップの事例を話したところ、「そもそもフィールドワーク系やってないね」「参加したことない!面白そう!」と盛り上がってもらったので、雨がふらないことを願いながら、恵比寿駅という場所を起点に実施することにしました。

そこから場所探しについてもお力になってくださった方もおりまして、この場を借りて御礼申し上げます


「待ち合わせ」というテーマについて

実はこの「まちあわせ」というテーマは、私がもともと発案したものでなく、京都大学塩瀬先生のチームが昔取り組んだテーマなのです。

実践報告のページはこちら。

論文はこちら。

実際にこの京都駅での待ち合わせのデザイン、9:50〜17:30と、そうとうな長丁場で実施しています。なんなら事前ワークも別日に設けています…超気合入っている…

とはいえ、教育工学会の論文と異なり、ワークショップ自体の流れ、設計がわからないので、実質中身については知らないのであります。

実践報告のページのほうでは、待ち合わせ箇所について、班ごとにきめた場所からスタートしていることは分かる感じです。

ただ、前々からこの事例を抜きにして、「行動」に着目したワークショップをやってみたかったので実施してみた、というのがシブヤ大学での事例です。

ちなみにこの「待ち合わせ」というテーマについて、それでやってもいいですか?という許可はとってません。勝手にやってます。

あと、毎月19日はインクルーシブデザインの日というのも、塩瀬先生からのパクリです。いや、今はもうやってないから私たちが(勝手に)継承していると思ってほしいけど!

京都駅の事例を見てもわかりますが、「待ち合わせ」ってすごく複雑なんですよね。改札前で待ち合わせるにせよ複数あったり、路線によって呼び方が似ていて混乱したり、人が多くて見つけられなかったり、場所を間違えたり、早く来すぎて時間の潰し方が難しかったり…

結構面白いトピックじゃないかなと思っています。

今回の実験

そこで、今回は限られた時間の中で実践をしたいというリソースの問題と、メンバーにも参加者から運営側にも少し関わってもらうような(いわゆる周辺参加的な)機会にもしたかったので、こんな感じでオリジナルの企画にしました。

前提として、今回のワークショップは視覚障害のユーザーさんで、中途で見えない人、見えにくい人、先天で見えない人という方にご協力いただきました。そして、基本的には恵比寿駅周辺を一緒にあるいてもらい、いろんな待ち合わせにまつわる気づきをリサーチして、アイデアに落とし込んでもらいます。

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①運営メンバーにリードユーザーの迎えに事前に行ってもらい、そのまま同じグループで活動してもらう

待ち合わせのエピソードがわかる人をグループに入れることで、半分リードユーザー的な立ち位置に自然となってもらう算段。だけどそれが変わってももちろんOK。

リードユーザーさんたちとも、コアメンバーははじめましてだったので、参加者のみなさんより先に打ち解けてもらえるようにして、そこからリードユーザーさんを中心に、グループの雰囲気を作りやすくする。

②運営メンバーがグループに入って参加することで、あいだのレクチャーを省略する

これはメンバーにも伝えていなかったのですが、短時間のワークショップで大事なレクチャーをしていたらそれだけで時間が過ぎ去るので結構もったいないんですよね。

とはいえ、大事にしてほしい観点とかは知って経験してほしい。

ということで、結果グループに1〜2人くらい人に入ってもらって普通に参加してもらったので、適度に進める時はファシリテーションしてもらうことだけ伝えて、後は自由に参加してもらいました。

なのでグループの温度感や相性にそって、アイデアのブラッシュアップができたり、関係ができたりしている手応えがありました。

1人で参加してくださる参加者の方も、中の人の事情がわかりながら、初対面だらけの人の関係をほぐしてくれる人が中にいることで、より早く関係をほぐしながら、本題に向かっていけるようにできたかな、と思います。

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③今回模造紙は使わないでやる!

これはインクルーシブデザインならではな側面でもないですが、ワークショップって模造紙あり気になるなと思っていて、前日までどうしようかなー用意するのやめようかなーでもあったほうがフォーマット的にはいいのかなーと悩んでいるうちに準備し忘れました。(笑)

ただ、その代わりに用意したのは、少し大きめの画用紙。模造紙サイズの半分のものを10枚ほど、各テーブルに用意しました。

画用紙をテーブルに並べてもらい、付箋の整理はそこでしてもらう。その画用紙でプロトタイプしてもらってもよい。そのためハサミとかテープとかも用意しておきました。

インクルーシブデザインで、しかも今回は見えない方がリードユーザーだったこともあり、出てきたアイデアはリードユーザーさんに伝わるようにしてほしかったので、模造紙があると付箋整理して終わりがちになるんですよね。なのでそうならないような制約になったらなと思いました。

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まとめ

今回久しぶりにフィールドワーク込みのワークショップをやってみて、フィールドワークの重要性を改めて感じました。

というのも、ワークショップで気づきをたくさん得てもらうために、いろんな小道具や素材を準備するのですが、フィールドワークって外を一緒に歩くだけで、気付きの宝庫なんですよね。

しかも、その人たちとの移動を経験できるので、見えない人は手引をするし、車椅子の人と一緒の場合は車椅子を押したりするし…という感じで、+α、支えるための行動を自然と経験できるのもいいなと。

雨さえ降らなければ、フィールドワーク込みのワークショップは今後も増やしたいなーと思っています。

いやしかし、本当にコアメンバーの皆さんに助けていただけて、ワークショップが無事に終了しました。そして参加者のみなさんがみんなフレンドリーで素敵な人ばっかりだったのも、運がよかったなあと。ほっこりした気持ちになりました。本当にありがとうございました!

<マガジンがあるよ>

インクルーシブデザインにまつわるトピックを、時折追ってはこのマガジンに入れています。(黒澤と共同運営です)

色々学びたいなという方はぜひこちらをご覧ください。


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山田小百合
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