言葉は口角をあげていきたい。
文字だけのコミュニケーションは、とても簡単で、難しい。
修士1年生のときから、オンライン上で学習を促進させるような仕事を毎年やっていることに気づいた。そのとき大切にしているのは、言葉の背景を丁寧に伝えること。誤解なく、そして、なぜ自分が今その話題について書いたのかを、くどくても明記する。
でもそれは、自分の心の弱さから学んだことでもあった。小さな齟齬から、誰かとぶつかるのはしんどい。怒ってないのに「なんで怒ってるの?」と言われたこと多数。もしかしたら、言われないだけで、誰かに毎日思われているかもしれない。昔とある尊敬する方に「さゆは私と同じで口角があがらない顔だから、それがもったいないし、意識したほうがいい」と言われたことを思い出す。そのたびに辛いと思っている。
気をつけているのだけれど、多分ちょっとしたことで、誰かを怒らせたりしているのだろうと思うと、どう吐き出したらいいのかわからない苦しい気持ちになることがある。心を強くするか、治せない特性をカバーする力を別のところで身につけるしかない。
カバーする力としてあるのは、オンライン上のコミュニケーションくらいだなと、この5年くらいのオンラインファシリテーションの経験で思い返している。顔がだめなら、言葉は口角をあげていきたい。
私は基本的に、脳内多動な傾向にあるので、準備していたものとは別のことをつい衝動的に喋って余計な話で盛り上げようとしたり、話が脱線することがある。昔はそれがキャラクターだと認めてもらっていた側面があったけれど、おとなになっていくと、なかなか受け入れていただけにくい部分もあるなと感じている。
また、衝動的な言葉で、相手を傷つけたり、怒らせたりしたことは過去にもたくさんあった。書き言葉でも、話し言葉でも。小中高と、学校生活で友達関係がうまくいかなかったのは、人としてあわなかったのだろうと思っていたけれど、一方で自分の「特性」が、相手を傷つけていた側面もあるかもしれない、と振り返って思う。
大人になってからは、衝動性を治そうとしたこともあったけれど、大事なところで治ることもなく、それが自分を苦しめることも多々あった。多分、これが「発達障害」であれば、その障害とうまく付き合っていけるように、周りがサポートしましょうね、という話だろうし、診断がなかったり、それをカミングアウトしていなかったら「失敗から学べよ…」という扱いなのだろう。
先日、とある発達障害の方とお会いする機会があった。私と歳の変わらない男性だった。ちょっと社会性の面で変わっているなという印象だった。ただ、学歴だけ見ると、立派にそれなりの大学を卒業しているのだ。これから就職をするということで、少しお話を聞かせてもらった。
ご両親はとても明るく、とてもとても一生懸命な方だった。ただ、彼は学校などでは理解してもらえる環境で過ごすことができず、いじめられた経験もあったそうだ。彼は周りに怯えるようになり、働けなくなってしまった。働きに出てもうまくいかず、続かず、やめさせられたこともトラウマとなってしまい、社会で求められない自分に葛藤していた。長らくまともに働いてない様子だった。意欲はあるけれど、ネガティブな気持ちを吐露していた。不安が募るとなりふり構わず暴言を吐いてしまう様子も見る限り、精神障害もありそうだ、と思った。ひどくひどく、脆く、不安定だった。
きっとその本人が暴言を浴びると、すごくすごく傷つくだろう。なのに、彼は暴言を浴びせてしまう。私もきついことを言われたら嫌だけど、彼の特性を理解し、「今とても不安なんだな」と思い、安定して一緒に過ごすことができた。そういう振る舞いが、多くの人ができたら、彼はもっと安定して過ごすことができるのかもしれない。
発達障害と精神障害の境目も、曖昧な事例だと思った。
そして、彼と私は「違う」けれど、私と彼の境には何があるんだろう。そんなことをずっと考えている。
あくまでこれは、一例だけど、Collableを始めてから、一層そうした人たちと出会うようになった。出会うたび、私も穏やかに人を想像して言葉を紡ぐことを大事にしないとと思う。
一方で、そして私も数え切れない失敗を重ねては、自信喪失することばかりだったので、穏やかになれない自分にがっかりもする。傷つくことも増えた。
書き言葉は、話し言葉よりも見直すことができるので、少しばかり、言葉の使い方に気をつけている。特に、ウェブは手紙よりも届くのが早いので、もっと神経質になってしまう。でも、まだまだできてないのだろうと思う。うっかりも多い。人並みにできないことがいっぱいあって、今日もまた自分と戦っている。悪気のないことで、誰かに誤解されないように、今日も口角をあげた言葉を綴るように生きている。
(あれ、何を書こうとしたんだっけ…)
(オンラインファシリテーション、あまり使う場面がないので、どこかで使う場面がありそうでしたら、お声がけください。)
(言葉の使い方に気をつけると、文字の量が増えるので、人によっては迷惑かもしれないけど。いつもごめんなさい。)