インクルーシブデザインに効く「態度」
今日はインクルーシブデザインワークショップを久しぶりに開催しました。
しかも、ちょうど6年前の今日、同じテーマでワークショップをしていて一種の狂気を感じています。(笑)
インクルーシブデザインってなあに?という人が、少し身体で理解してもらえるような、3時間のワークショップを開催しました。
インクルーシブデザインは、デザインプロセスそのものに目がいきがちだし、非常に大事なのですが、6,7年くらい実践を続けてきて、態度の重要性を感じています。
今日は久しぶりにインクルーシブデザインワークショップをやったので、それもあって少し「態度」について昨年まとめたものを少しご紹介したいと思います。(ちなみにだいたい毎月企業さんとのインクルーシブデザインはある)
それは下記3つ。
①福祉的態度にならない共創
福祉的態度という言葉は時折でてくるのですが、まさに福祉的支援をするように、リードユーザーに関わるような態度ではなくて、パートナーになるんだよ、という意味です。
わりとやりがちで、何かしてあげねばと構えて結局何もできない、みたいなことはあるのですが、今日の活動は福祉ではない!ということで、ここはパートナーだとなれるのは、人によってはなかなか至難の業。
とはいえ、ワークショップの設計上、だんだんそこは慣れてくるんですけどね。
これは、実はリードユーザーにもそれを求めたいよ、という意味もすこし込めています。
というのも、リードユーザーといっても様々ですが、障害のある人で、人によっては支援のされ方の当たり前を持っている人がいます。
まだまだインクルーシブデザインが普及しきれてない頃、10年以上前から実践をしてきた人たちから話を聞いていると、リードユーザーが「そういう言い方をしてはいけない!」「こういうふうに指示しろ!」と、怒り慣れている、と。
こういうふうに言われるとやっぱり傷つくんですよね、車椅子で生活する人の気持も、見えない人の気持ちも、わからなくて当然で、だからお互い努力しないといけない。人間関係をつくるときって、そうだよね。
そういう素直に人間関係を作るための当たり前の1つの事例を提案できたらなと思い、かんたんにまとめます。
②ブルースカイな発想
これは、ワークショップのレクチャーのときによく言うのですが、思考に制限をかけるな!前向きに突飛なアイデアを出そう!という意味です。
いろんな条件に縛られて、突飛なアイデアが出せないということはよくあります。例えば企業の商品開発なんかは、素材、生産工程、予算…など多くの縛りがあります。この縛りのなかで現実に落とし込むことを求められます。
その縛りに悩まされる気持ち、すごくわかります。それでも私はインクルーシブデザインでは青天井で考えましょう!と言います。
なぜか。それは、どうしてもぼーっとしてたら福祉グッズのアイデアに偏りがちになるからです。
インクルーシブデザインで目指すことは、①で書いたように「共創」なので、リードユーザーの人も、そうじゃない人も、それぞれニーズを満たすものをつくらないといけなくて、リードユーザーだけが喜ぶものを作ってはならないのです。
③わかったつもりにならない姿勢
障害のある人との接点がある中での活動で、時折多くの人に見られるのが「私は手を貸す方法について知っている」というアピールです。
例えば見えない人と話していて、人やモノの位置について説明するときに、時計の針に例えて話すことがよくあります。
私で言うと、私の位置が12時のいちだとしたら、6時の位置に必要備品を老いてますよ、みたいな。
こういう、障害のある人に対して説明するための方略とか、車椅子の人を案内するときのコツとか、知っておいたほうが得なことってまあまああります。
でも人によってはそれを知っているかどうかで優劣を感じるようなマウンティングなコミュニケーションをされることがあります。
相手方は良かれと思っていっている場合が多いので、誰が悪いとかはないですが、詳細に見ていくと、見えない人によっても、例えばどの方角から声をかけてもらうほうがありがたいとか、手引をされる(見えないな人が見える人をアテンドする)際に、右側に立ってもらうか左側に立ってもらうか、好みが違ったり、やり方の好みは違ったりする、と。
そういうときに「私が知っている”目が見えない人にすべき方法"からずれるとみんな困ったりします。
でも、人間は1人ひとりみんな違うので、嬉しいと思うことも人によって違う、と。
「見えない人にはこうしてあげるべき」という固定観念こそ、ワークショップ、及びアイデア生成の際に、柔軟に活動できない、ということは多々あるので、そういう柔軟さを大事にしたほうが楽しい活動になるなと感じます。
アイデア生成をする、アイデアを考えるワークショップをするときのコツについては、意識されている方は多々いる気がしますが、多くのインクルーシブデザインの事例では、参加者、関係者のマインドセットによって、アイデアが化けたり、いい意味で突飛な方向に飛ぶということがあります。
その良い反応がうまれる背景には、こうした態度、姿勢が効いているように、8年弱の実践の中で感じます。
どうしても方法論に目が行きがちなところで、あえて態度、姿勢という観点で見つめてみました。いかがでしょうか。
ワークショップのにおいて、態度に限らず、方法、思考のあり方についても、理想的なあり方については、昨年まとめましたので、それらについても近日中にみなさんに紹介できたらと思っています。
それでは、今週もお疲れ様でした!
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