エンタメについて語りたいのでUUUMのマーケティングトレースをやる(初級編)
えっと余計なプロローグ入るんで、どうでもいい人は「はじめに」をすっ飛ばしておいてください。
はじめに
最近驚かれること。それは、夫がこの人ということ。
マーケティングトレースというマーケターの学習コミュニティを趣味で主催する夫と結婚たぶん3年くらい。
結婚した当初の彼のTwitterフォロワーはたしか300人くらいだったはずなんだけど…今となっては大逆転が起こっている。
そんな中、私はNPO法人の代表、ときどき大学教員のような仕事、をしているので、最近出会う方には「どこでどうなったらこの人と結婚するの???」と怪訝な顔をされる。そりゃそうか。
🐼
基本的にこの人と話ができないテーマがある。エンタメである。
結婚して気づいたけれど、この人はエンタメに疎い。恐ろしいほど関心がない。
しょうがない、この人は本当に生粋の真面目お兄さんなんです。
一方、私はしょーもないエンタメコンテンツも、深夜のバラエティ番組大好きだし(リアルタイムで見ないけど)、最近はバチェラージャパンシーズン3を毎週寝不足になりながら見ていたし、YouTubeの好きなチャンネルはもちろんある。
家で毎日そういうどうでもいい話をふるのだけど一向に関心を向けてくれない。
そんな中、「これは自分を高めてくれている!」というものだけはアンテナが反応するようで、こないだHIKAKINさんの動画がめちゃいいぞ…と話をしたら、人生初のバズり沼にハマっていた(その後ディストピアが待っていたが)。
それ、わしの受け売り…
なので、私は家族愛のためにがんばることにしました(?)
まずは相手の土俵に立つ、と。(UUUMさん巻き込んですみません)
とりあえず「PEST分析、3C分析、4P分析をやるとよい」と言われたので忠実にやりました。これであってるの?
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UUUMについて
あれだけ「小学生のなりたい職業ランキング1位」と言われたら「いやーYouTuberになりたいとか終わってるわ」みたいな世間の風がふいていた感があったのに、今となってはみんなYouTubeはじめないと!って焦っている昨今。
2018年から2019年にかけて、いっきに認知がひっくり返っている感触を得ている人は多いと思います。
そんな動画市場を牽引してきたのは、大手YouTuber事務所のUUUMではないでしょうか。
みなさんがご存じのとおり、大手YouTuber事務所です。HIKAKINさん、SEIKINさん、はじめしゃちょーさん、フィッシャーズなどなど、有名所はだいたいUUUMでは?という一強状況です。
2013年6月に設立後、2017年8月にマザーズに上場しています。
実はもともと創業時はON SALEという社名で、動画クリエイターが動画を通じてオンライン販売などをするビジネスモデルで展開しようとしていました。そこからすぐピボットして、現在のYouTuber事務所のスタイルに変わっています。
社名が変わったのははじめに2013年11月に小文字のuuum株式会社。その後、2014年12月に大文字のUUUMに商号変更をしています。
売上推移を見ていくと、第1期から5期にかけて、約10億から一気に約200億の成長を遂げています。
YouTuber事務所を理解する前提として、こうした会社は正しくはMCN(マルチチャンネルネットワーク)というかたちで、YouTubeに動画をあげるクリエイターのサポートを行っています。
MCNは世界に100以上あると言われていますが、そのビジネスモデルは様々なのだそうです。
MCNの収益パターンは2つ。
1つは、各クリエイターの動画視聴に応じて入る広告収入費。
UUUM所属のクリエイターの場合は、一度UUUMがアドセンス収益をうけとり、その一部をクリエイターに支払うというかたちです。
もう1つはタイアップ動画。
画像は https://www.uuum.co.jp/ir-business より。
よくYouTuberが動画のなかでサービスや商品を紹介したりする動画はこれに該当します。
動画に「提供」って大体入ってますね。しかもその動画が直接商品CMみたいになってない場合もあります。クリエイターの動画かと思ったら後半に商品紹介ちょっとする、みたいな。
最近だと、UUUMの一部クリエイターが、TEAM Coca-Cola アンバサダーに就任して、TEAM Coca-Colaの公式チャンネルだけでなく、自身の動画でもSupported by TEAM Coca-Colaという形で動画作ってますね。
あと、他の企業さんとチャンネルを作ったり、自社でもチャンネルをつくっています。有名どころだとこの2つかな。
基本的には広告収入が多いですが、所属YouTuberが多いので、イベント開催(U-FESなど)や、グッズ販売(MUUU)も展開しています。
↑ UUUMのYouTubeチャンネルもある
よくLAWSONとはコラボでグッズ販売をやっていますし、109が新しくなったときもコラボしてたりとか展開ひろいです。
ゲームも実はだしてるし、音楽の代表例だとHIKAKIN&SEIKINのお二人。ミュージックステーションのスーパーライブにここ毎年出てますよね。新曲が出た数日前はトレンドに出てたくらい。
4P分析
基本的に動画を見るだけなら顧客は無料で視聴ができますが、クリエイターの数が多いため、UUUM所属のクリエイターと日常的に接点を持てる強みを活かし、そのまま彼らを束ねてイベントやグッズ販売などを通して、より関係を深めている印象です。
ネットワークも含めたYouTuberの数、そこから有名なYouTuberはYouTube以外のところへの露出を強化しながら、YouTube以外でのキャッシュポイントをさらに増やしている印象かなと。
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PEST分析
ということでまずはPEST分析から。企業を取り巻く環境を分析し、どのような市場背景をもとにビジネス・業界が成り立っているのかを理解するんだって。
🌏 政治:2019年は5Gの普及が本格化
来年度の税制改正に向けて、政府・与党は5Gの導入を促進するため、5Gの基地局を整備する携帯電話会社などについて、税負担の軽減策を検討しているとのこと。視聴者数、視聴時間増加に耐えうる状況に国を上げて進めているといえます。
というのも、動画の視聴は圧倒的にPCよりもスマホシフトになってきているのは皆さんご存知のとおりかと。高速大容量通信が当たり前になってくるので、そして動画視聴のみならず、様々な通信がインフラになってくる。
実際にラグビーワールドカップでも5G通信をテレビ生中継に活用する実験も実施しており、5Gへの期待が高まっています。
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💰 経済:広告予算のシフトの影響
広告市場において、既存メディアから広告予算のシフトが進み始めており、テレビ、新聞、雑誌、ラジオなどの広告市場の成長率が低下してきているようです。
一方、動画広告市場の推移は右肩上がりで成長をし続けているようで、勢いが止まらない様子。
そういう状況だからか、YouTubeのチャンネル数も増加傾向にあり、個人で始められるYouTubeは、条件をクリアすればアドセンスがつけられるため、視聴数やチャンネル登録者数に応じて、広告収入を得やすく、個人の力で食べていける土壌があります。(だからこそ一攫千金を狙いたい個人が溢れてレッドオーシャンになりつつあるんだけど)
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👨👩👧👦 社会:個人コンテンツの消費、ネットの時間、動画コンテンツの多様化
①インターネット内でも個人コンテンツの消費時間が増加傾向。「誰が」発信するのかが重要な社会に。まさに「インフルエンサー」経済が重要視されている時代になりました。
②30代以下のテレビ視聴時間は減少傾向。対照的にネットの利用時間は増加傾向。
YouTubeの公式ブログによると、2017年に、全世界のYouTube視聴時間が、1日あたり10時間を超えたのだとか。世界の可処分時間がYouTubeに取られている…
③動画コンテンツは本当に多様化してきました。バラエティコンテンツのみならず、専門家系、教育系など、YouTuberとしてチャンネルをもつ人たちの幅も広がっており、ニーズが多様化。芸能人も入ってきたよね。カジサックさんやオリラジの中田さんは代表例。
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📽 技術:動画プラットフォーム技術と、動画編集技術向上
1つめは長時間の動画をアップロード、生配信に耐えうるプラットフォームになってきているところですよね。5G普及にも関係しますが。
もう1つは動画クリエイターの動画の質が向上している点。というのも個人のスキルが高まっていることもありますが、撮影・編集機器のクオリティも向上し続けていて、高品質で安い機材も増えてきています。編集技術、音声などの技術もプロと相違ない状況にあります。
というか、もうハンディカメラでなくともタブレットなどでの撮影で十分という時代なんですよね。だからデジタルビデオカメラ市場が低迷しているみたい。
まとめ🎥
YouTubeというプラットフォームが、個人の発信で独立しやすいプラットフォームだからこそ、個人の活躍がしやすい&他のコンテンツをカバーするコンテンツの集合体になっており、これらに幅広く対応できる環境にあるのでは。
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3C分析
3C分析をする上で、いろいろ切り口はあると思いますが、現時点のUUUMの展開の特徴に一旦絞って分析します。
😌 顧客:10〜20代を中心とした顧客
言わずもがなかなかもだけど、やっぱり若い子たちが盛り上げてきた市場だなと。
社長の鎌田さんもnoteでこんなことを書いてます。
リバースエデュケーションっていうと大げさかもしれないですが、ヒカキン、はじめしゃちょー、UUUMとかってたぶん大人の方よりも子供にまずは覚えてもらって、そこからトレンドが生まれてという流れだと思います。昔は不思議なものでモノを購入するとかって結局は財布を握ってる大人をターゲットにとか言われてた日がありましたが、シックスポケットとかの言葉のように子供の行動を親がサポートする、子供発信なことが最近増えてると思ってます。
🏢 自社:圧倒的な所属YouTuber
専属クリエイターは150名以上、専属クリエイター、ネットワーククリエイターを含めた所属チャンネル数は4,300チャンネル以上(平成29年4月時点)という圧倒的な数。
上位6チャンネルはUUUM専属クリエイター。
写真はUUUM 20/5期 1Q決算説明資料より
また、ネットワーククリエイターというのはおそらくUUUMネットワークのことだと思います。
これは、YouTubeやInstagramでインフルエンサーを目指す人向けの、UUUMが提供しているサービスと理解すると良さそうで、エントリーして審査に合格しないと入れないネットワークです。
入ると、例えば音源や画像素材を提供してもらったり、UUUMからコラボ企画を紹介してもらったりなど、クリエイターをサポートしてくれるサービスが提供されます。
合格すると、月の収益合計が5,000円未満なら手数料は無料、5,000円以上になると毎月の手数料は500円のみ支払う必要が出てきます。(昔はもう少しサービス内容が違っていた印象。)
ここから実際に人気YouTuberになって専属クリエイターになった代表例が水溜りボンド(ちょっと前には9位だった。今は12位らしい)。
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🔥 競合、そしてこれからの展開
toCで若年層が対象となる場合、コンテンツが競合になりますよね。UUUMのようなMCNも競合になりえますが、どちらかと言うとTikTokなどが競合になり得るのではと思います。
同じターゲットに対して、YouTubeが1作品あたり10〜20分程度だとして、より短いコンテンツ提供されている代表例がTikTokかなと。
TikTokはコンテンツが短い分、接点が増えそうですが、一方でUUUMも動画のみならず、先述の通り音楽やゲーム、タイアップなど接点をそのプラットフォームにとどまらずに展開しています。
そして、実際にはこの競合になりえるプラットフォームにどんどん入っていく可能性があります。
要はYouTubeなどのプラットフォーム以外の収益源をもち、そのインフルエンサーからさらに別の場所で露出を高めていくということ。
実際にインスタグラム(Instagram)に特化したインフルエンサーマーケティングプラットフォーム「LMND(以下、レモネード)」もローンチされているし、この勢いは止まらないかなと。
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まとめ
先に書いたとおり顧客を10代20代に絞ると、新しいプラットフォームにどう参入するのか、という観点は見えてくるし、すでにそこに向かって動きつつあることが読み取れた気がします。
いや、マーケティングトレースを利用してUUUMという会社をどうにか紹介するために努力した記事みたいになっている感がある…
ちなみに個人的には、動画コンテンツの種類が拡大しているため、30代40代の視聴者数は確実に増えていくのは確実だと思っています。
何より、今の若い子たちが30代・40代になっても、おそらくYouTubeから卒業をしないでしょう。
ともすると、その歳に必要なコンテンツも、YouTubeで検索するようになる。
実際にわたしの回りの大学生も、ビジネス系のことをちょっと調べたり、作りたいものを調べるのにまずYouTubeでぐぐってるという状況です。それの良し悪しはさておき。
ともすると、顧客の世代が上がっていく未来は見えていて、現時点でも30代以上の視聴者も増えつつある中、意外とNewsPicksみたいなビジネス系コンテンツプラットフォームが競合となりえるのだろうなと思ったりしています。
ただ、実際にUUUMはUUUMGOLFのチャンネルもあるように、これまでの若年層とはかなり違うターゲットを意識したチャンネル展開もし始めていますし、これまでのメインターゲットだった10代20代ではない人たちへのアプローチはどんどん増えていくと思います。
漫画の取り組みもさらなるターゲットを広げている印象。UUUM MANGAのチャンネル、ラブひながあるんですよね…
そしてもちろん、海外展開も!(ここまで書いて疲れが見えてきた)
UUUMの展開を知るのに鎌田さんのnoteが読み応えあって好きです。というかもうこのnoteだけ読んでいればいいのではという気すらする。
▲ UUUMが立ち上がるときのドラマがすごい。YouTuberに会いにいく初期のくだりでHIKAKINさんだけでなくカズさん瀬戸弘司さん佐々木あさひさんなど著名人めっちゃ出てくるんだけど、この人達を早々に仲間にしていった鎌田さんの目すごい。
▲鎌田さんがクリエイターファーストな姿勢が垣間見られるいい記事です。そしてHIKAKINさんのお人柄が良すぎることがわかる記事で、彼のおかげでYouTube市場が盛り上がったのだろうと思わざるを得ない記事。
最後に
いかがでしたでしょうか。我ながら長すぎでは?感があってどうすればいいかわからないのですが、感想としては、経済情報って世の中に点在しすぎているのだなとへとへとになっています。論文探すほうが楽だわ。
YouTubeといえば、経営でしんどかった時期に、しごとのプロジェクトで出会ったJKに「まじでおすすめです」って言われて、その1年後くらいにこの動画を見てから、この人たち天才すぎるやろ…と気づいてしまって以来大好きなのが東海オンエアです。おすすめしてくれてありがとう某JK。
その後そのJKと東海オンエアがいかにすごいか、みたいなことをインスタのDMで語り合っている日々(※年の差約13歳)。
なので最後に自己満で好きな動画を貼り付けて終わりたいと思います。たぶんこういう記事で紹介するものではない。でもおすすめさせてほしいいい
ピークのときに私のメンタルが救われた動画
深夜番組のどうでも良い旅行系企画っぽくて好き
でも東海オンエアの話をしてもなかなか理解してもらえない(話し相手がJKと男子大学生)状況でして、バラエティ最高って話付き合ってくれる人、募集しています。
(私のまわり、意識高い人が多すぎて、まったく話に付き合ってくれんのが悩み)
UUUMさんが東海オンエアを所属させてくれたことに感謝して、本日のnoteを終わります。
勉強になりました。いつか中級編も書くかもしれない。以上です!
あでゅー!
<2019/12/25追記>
最後まで読んだ変わり者のあなたにご案内です!
参考文献(順不同)
有価証券報告書、20/5期 1Q決算説明資料、19/5期 通期決算説明資料を参照しました。