高校の頃から【漢詩】が好き

【おすすめの漢詩教えてください！】

短歌や自由律俳句も好きですが、実は高校時代に学んで以来、今でも大好きな漢詩があります。

一つ目は美しい情景のなかに、人間の強い情動が描かれている『春望』。

『春望』　〈杜甫〉

國破れて　山河在り
城春にして　草木深し
時に感じて　花にも涙を濺ぎ
別れを恨んで　鳥にも心を驚かす
峰火　三月に連なり
家書　萬金に抵る
白頭掻いて　更に短かし
渾べて簪に　勝えざらんと欲す

【意解】
　戦乱によって都長安は破壊しつくされたが、大自然の山や河は依然として変わらず、町は春を迎えて、草木が生い茂っている。
　時世のありさまに悲しみを感じて、（平和な時は楽しむべき）花を見ても涙を流し、家族との別れをつらく思っては、（心をなぐさめてくれる）鳥の鳴き声を聞いてさえ、はっとして心が傷むのである。
　うちつづく戦いののろしは三か月の長きにわたり、家族からの音信もとだえ、たまに来る便りは万金にも相当するほどに貴重なものに思われる。
　心労のため白髪になった頭を掻けば一層薄くなり、まったく冠を止める簪（かんざし）もさすことができないほどである。

引用元:関西吟詩文化協会

高校生の頃、暗唱テストがあったのですが、あまりの美しさにすぐ覚えてしまった記憶があります。

次は清少納言『枕草子』くらい有名な漢詩。まぶたの裏に見事に情景が浮かびますよね。

『春暁』　〈孟浩然〉
春眠 暁を覚えず
処処 啼鳥を聞く
夜来 風雨の声
花落つること 知んぬ多少ぞ

【意解】
　春の暁は気候も暖かく、心地よい眠りに夜が明けたのも知らず寝すごしてしまったが、ふと眼をさませばあちこちで小鳥の啼く声がきこえる。
　そういえば、昨夜は風雨の音がはげしかった。あの嵐で庭の花はさぞたくさん散ったことだろう。

引用元:関西吟詩文化協会

最後に、この漢詩の作者である孟浩然を見送る李白の詩を。友人を見送る余韻が美しいです。

『黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る』〈李白〉
故人西のかた 黄鶴楼を辞し
煙花三月 揚州に下る
孤帆の遠影 碧空に尽き
唯だ見る 長江の天際に流るるを

【解説】
　古くからの友人が西にある黄鶴楼に別れを告げ
春霞の美しい三月華やかな揚州に下っていく
　はるかかなたにポツンと見える帆影は青緑色の空間に飲み込まれ
　長江が天の果てに流れていくのだけが見える

引用元:中国語スクリプト

個人的には「黄」と「碧」の対比が好きなんです。
他にも漢詩には色の対比が美しいものがあり、鮮やかな情景が浮かぶので好きです。

他にも李白の『静思夜』など、対句や押韻が綺麗な漢詩もありますが、今回は割愛します。

皆さんの好きな漢詩はなんですか？
高校時代に習った漢詩しか知らない私に教えてくださると嬉しいです。

白湯(さゆ)