店長候補生◎パレット奮闘記＃４

店長候補生◎パレット奮闘記 ＃ ４

――――カランコロン

「ありがとうございました！またお待ちしています！！」

扉を開くお客様の背中へ、明るい声を送りお辞儀をした。

顔を上げると少し満足気な顔である
「美味しいって言って貰えてよかった」
気付いた時には口から零れていた、喜びと安堵の言葉。

ここは物語の世界にあるお店カフェあめだま物語支店。
開店準備期間を終えて、今はプレオープン期間中。

少しづつ、近所のお客さんも増えて来て、このお店を知って貰えている。
そして、店長候補生のパレットにとって美味しいの一言は宝物になりえる言葉だった。

なぜなら、この美味しく作れる様になるまで、厳しい訓練を積んだからである。

指導係のがま口のトレーニングにより、各種提供メニューについて学んだ店員達。
パレットは珈琲の淹れ方に、くまさんはデザートの装飾に、苦戦していました。

逆に、うささんはそのおかし作りの才能を認められ、メニュー開発を任命される事になった。
ガマ口からの試練とうささんとの差を縮める為に、それはもう大変な思いをして、研修を受けたパレットとくまさん

開店前の研修期間、ガマ口の猛特訓もあり店長候補生パレットとバイト店員のぬいぐるみ達は全員珈琲もハンドドリップで淹れられる様になり、
フード調理も無事全メニュー作る事が出来るようになったのだ。

そしてプレオープンを迎え、上手く行かない日も多く、一喜一憂しながらも
ついに手に入れたお客様からの「美味しかった」の一言は、本当に輝いていたのだ。

それを見てガマ口は、ケケケと特殊な笑い声をあげて、とある提案をした。

「おーし！そろそろ、展示の募集かけるか、ケケケ……。」
「募集？？？」

今日の奮闘記は、プレオープンからオープンに向けての、展示企画のお話。

◆◆◆

店長候補生◎パレット奮闘記
# ４『はじめて＋はじめて＝はじめて！』

クローズの看板を扉の前に出し、
ミーティングを始めるガマ口、パレット、うささん、くまさん。

「それで、てんじのぼしゅうって、なにをするの……？」
「ケケ、まずは展示作品の募集の企画を立てるんだよ。この店をコイツの理想の"好きが語れる　アートカフェ"にするためにな」

パレットの目の前にあるノート、その最初のページに書かれた　"好きが語れる　アートカフェ"
このお店をどうしたいかという質問に対してのパレットが」出した答え。

「アートカフェにはアートが必要だからってこと？」
「ケケケ、そして語るなら、好きをもっている複数の人が必要になるってこったあ。」

はじめての展示、はじめての企画。

「ぱれっとはなにがいいとおもう？？」
「え？自分？！うーん、自分は、そうだなぁ……。これって何個か案を出してもいいのかな？」
「ケケケ、一個も出ないよりはいいじゃねーか？」

まだ何も飾られていないギャラリーを見て、ノートを開いて
悩みながら、ペンを走らせる。
その内容はこちら。

◎メモ◎

・あの日の童話展「ずっと忘れられない一番好きな童話を作品にした展示」
・ベストプレイス展「自分の居場所「ベストプレイス」をテーマにした作品展」
・おいしい動物展「たべもの×どうぶつ」どうぶつとおいしい食べ物が合体した作品展
・鏡の中の世界展「鏡」をテーマにした作品展

こんなのどうかな？と、みんなにメモを見せるとくまさんは頷きながら、肯定的な笑顔を向ける。
うさささんはノートを受け取り、しっかり箇所書きを眺めて
「なるほど、おもしろそうね！でも、いらすととか、しゃしんとかあるていどきめたほうがいいかも……？」
と、提案した。

「確かに表現方法に縛りが無いと何をどうしたらいいんだ？ってなるからな、確かにわかりづらいのはあるな、ケケケ。」
「うーん、でも。自分的には自由にしてもらった方が個性が出るかなって……」
「いろんないけんがあるし、はじめてのことだから、あせらずじっくりきめよぉ」
「でも、うだうだしてたら、いつまでたってもなにもできないの！」
「うーん……。」

皆が腕を組み、考える

『・・・・・・』

しばしの沈黙

「異世界連絡装置起動シマス。ギギギギギ……。」

そこに機械的な音声が響き、一同はその音の先を思わず見てしまう

「え？どうしたの？一体何が？！」

そこには、魔法の様な何か使い光が輝いているガマ口が宙に浮いていた

「外部世界二接続、要件ヲ御伝エ下サイ」

混乱する一同を他所に、ガマ口から
「もしもし、何かあったの？」と謎の声が聞こえ、それに対して
「オレサマだ！アンケートを要請する、展示の件そっちの世界でも集めてくれ、ケケケ。」
と、ガマ口自ら応答した。
『わかりました！じゃあ手配するね。物語支店よろしくお願い致します！」

ブンっ！という音と共にガマ口は着地をする。
「ふぅ、まったく世話が焼けるなぁ」

「え？今のって？というかアンケートって？」
「あー。お前の案がどれがいいかって作家やお客さんの反応をカフェあめだまプロジェクト本部でアンケートを取ってもらう事にしたんだよ、ケケケ」
「ものがたりのせかいだと、にんげんのせかいのいけんってじゅうようだもんえ」

「え、どういうこと……？」

困惑する、パレット。
アンケートとは？一体？
はじめてだらけの展示企画、果たして上手く行くのか？
そして、どんな展示になるかは、次のページへ続くのでした。

◆◆◆

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１：https://note.com/sayonaratukiyo/n/n60add1dac2c1
２：https://note.com/sayonaratukiyo/n/n5041e06a62bd
３：https://note.com/sayonaratukiyo/n/n4eb9d269ebbd

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