[小児科医ママが解説] おうちで健診:1歳半健診の色々、まとめました。
「教えて!ドクター プロジェクト」の「乳幼児健診を知ろう!」にそって、解説させていただいている「おうちで健診」シリーズ。
今回は「1歳半健診」です。
歩き出したり、話し出したり・・・より「人間」らしくなってくるお年頃ですよね。
一方で、まだ歩かない・話さないお子さんもいます。本当に発達は個人差が大きいです。
健診で色々言われて不安になった・・・という親御さんの声もうかがいます。
比べちゃ~いけないとわかっていても、集団の健診で(というか普段の生活でも)他のお子さんを見たり、色々話を聞いたりすると、「あれ?うちの子の発達、大丈夫かな?」と不安になるものですよね。
科学的な・医学的な情報をもとに、少し詳しく・深く知ってみる。
そうすることで、子育てのお悩みとうまくお付き合いするヘルプになれば、幸いです。
今までお伝えしてきた内容のまとめとして、見ていきましょう!
主な参考文献はこちら。
ポイント① 1人で歩くことができる
ハイハイをしないでいきなり、伝い歩きするお子さん。
生後8ヶ月でつかまり立ちするお子さんもいれば、1歳3ヶ月で、やっとつかまり立ちするお子さん。
本当に発達はそれぞれですよね。
受診の目安もふくめて、下記noteにまとめています。
ポイント② 積み木を2~3個積める
ポイント③ 鉛筆でなぐり書きできる
ポイント④ スプーンで食べられる
正直言うと、こうした手先の動き(微細運動や、協調運動など)も、かなり個人差が大きいです。
「積み木が積めない」ということ「だけ」で、何か重大な病気を小児科医が疑うことはありません。
「スプーンで食べられる」って言ったって、まだまだこぼしまくっても、おかしくない年齢です。
ただし時々、こうした動作の中で、特徴的な指の動き(親指を全く使おうとしない、親指を曲げたまま物をもとうとする、など)をするお子さんがいます。
これだけで何かの病気!というわけでは、これもないのですが、「親指も使ったほうが、物が握りやすいよ~」などと教えてあげる意味で、専門のリハビリをオススメすることもあります。
また1歳半になると「道具を、それぞれの用途に合わせて使う」という人間らしさが出てくるお子さんが多いです。
「うまくできるかどうか」よりも「道具を、大人のマネをして、使ってみようとする"気持ち"があるかな」というのも、発達の大事なポイントです。
ちなみに手づかみ食べしていていいのか?など、食事中の悩みも絶えないこの時期。こちらについては、下記のnoteをご覧ください。
ポイント⑤ 意味のある言葉をいくつか話せる
ポイント⑥ 興味のあるものを指さして示す
言葉の発達も、本当にお子さんそれぞれ!
1歳半で言葉がほとんど出ていないお子さんでも、3歳では単語の数が増えるケースが多いこと(70~80%)。
でも「難聴がないか」は見逃したくない大事なポイントであること。
「様子を見て」って言われたときに、家で毎日できること。
言葉「以外」の発達が、実は言葉の育ちに大切なこと。
そんなことを、下記のnoteにまとめています。ぜひご覧ください。
Q. 夜寝るときに授乳しているが、問題ありませんか?1歳をすぎたら断乳した方が良い?
こちらも、よくいただくご質問です。
夜間授乳そのものが、虫歯になる!というわけではないです。
ただし夜間や寝る直前の授乳をつづけるには、なおさら、歯みがきが大切であること。
歯みがき粉のフッ素のあれこれ。
添い乳や添い寝の、乳幼児突然死症候群(SIDS)との関連。
そんなことについて、下記noteにまとめています。
なお断乳についても「○歳までにしないといけない!」というものはありません。
世界保健機関(WHO)も「2歳以上でも」母乳をあげてもいいんだよ、という推奨です。1歳すぎたら母乳の栄養が落ちる、という医学的な根拠もありません。
(ただし、たしかに成長するにつれて、必要なカロリーや栄養分について、母乳よりも、食事でまかなう割合が多くなってくる、というのは事実です。)
集団保育のスタート・親御さんの仕事復帰、また夜間授乳のために頻繁に起きてしまう・・・などといった状況をふまえて、親御さんが一番納得のいく・心身に負担のない時期や方法を選ぶのがベストです。
なお授乳や離乳食について、WHOの指針を紹介してくださっている「ちょっと理系な育児」のホームページは、私もよく拝見しています。
いかがでしょうか?
1歳半。いっちょ前に見えて、まだまだ心も体も絶賛成長中。
正しく知ることで、少しでも日々の悩みが軽くなれば幸いです。
(この記事は、2023年1月27日に改訂しました。)