[小児科医ママが解説] BCGのあとってこんなに赤くなる?様子をみて大丈夫?
生後5カ月になると接種できる、BCGワクチン。いわゆるハンコ注射ですね。結核予防のために大切な予防接種です。
BCGを打った後に、こんなに赤くなっていいの?
膿(うみ)みたいに見えるけど大丈夫?
今回はこんなご質問に、お答えしていきます。
【接種7日後~2ヶ月後】の赤み・腫れ・かさぶたは、正常です。
BCGを打ってから、赤みが目立ってくるまで、普通はどれくらいかかるのでしょうか。
世界的な研究報告を集め、総論を提唱してくれている UpToDate や、日本の資料を参考にまとめると、以下のようになります。
接種して2~3週間後くらいまでに、95%のお子さんで、接種部位の赤みや腫れが見られます。
また同じ時期に、接種した場所から、液がでたり・かさぶたができたりするお子さんも、70%くらいみられます。
どうでしょうか。
外来で一番よく聞かれるのも、BCGを接種してちょうど1ヶ月たった頃です。
「なんか赤みやかさぶたが目立つけど、こんなもんですか?」と。打ったワクチンに体がきちんと反応している証拠なので、大丈夫ですよ!とお伝えしています。
【接種7日以内】の変化は要注意。
一方で、接種して7日以内に何かしらの変化が出る場合は、要注意です。
「コッホ現象」のうたがいがあるからです。
「コッホ現象」とは、BCGワクチンを接種した直後~遅くても7日以内に、接種したところに強い反応(赤み・腫れ・液だれなど)がでる現象です。
これは、実はBCGワクチンを打つ前に、知らない間に、結核に感染していた可能性を示唆します。
日本では年間15,000人以上が結核を発症していて(人口10万人あたりの新規患者数が13.3人@2017年)、アメリカの4~5倍の数にもなります。
赤ちゃんは結核に仮にかかっても、症状が出にくいこともあります。BCGワクチンを打った後の反応をみて、はじめて実は結核にかかっていた、とわかることもあるのです。
先進国でここまで結核が蔓延しているのも日本くらいなので、「コッホ現象」やその疑いについて、世界的・絶対的なガイドラインはありません。
しかし日本でのコッホ現象の報告例などをもとに、以下のような対応が提案されています。
要は、BCGを打って1週間以内に(とくに赤み以外にも)皮膚の症状がでた場合に、さらに1週間様子を見る。
その間に皮膚の症状が改善しない場合は、結核にかかっていないかどうかをちゃんと検査しましょうという流れです。
私たちも、打って直後~数日間は、ただの注射針による物理的な赤みなのか・実は過去に結核にかかっていてコッホ現象の前ぶれとして反応がでているのか、判断がむずかしい場合も多いです。
迷われた場合は、電話などで症状をお伝えいただき、まず受診をする必要があるかどうか、ご相談いただければと思います。
上記の参考文献にもあげた資料の中に、実際の皮膚の赤みの写真ものっています。こちらも参考になればと思います。
(この記事は、2023年1月26日に改訂しました。)
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