sayoko

書いたりするのが好きな人。育児、音楽、手芸クラスタ。

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最近の記事

ずっとずっと、ずっとの約束

娘とお散歩をしていた。 そのときのやりとりを、そのまま残しておきたいと思った。 * 娘ちゃん、いい匂いするのわかるー? どれー?なにー? くんくんって、嗅いでごらん ほんとだ!いいにおーい 見て。オレンジのお花咲いてるの見える? みえた!いっぱいあるねぇ あのお花ね、キンモクセイって言うんだよ きんもくせい? そう。この時期になるとキンモクセイのお花が咲いて、いい匂いがするんだよ。 「じき」ってなあに? あー…今は9月でしょう?夏休みが終わって少し涼しくなって、ママがリン

    • カケナイーヨとマアイッカ

      あらあら気づけばもう9月。 涼しくなって半袖が寒いから慌てて秋服を探す。 毎年毎年「服がなーい!」と言っては適当に薄手のカットソーやらパーカーやらに袖を通して、秋服は買い足されないままいつの間にか冬になる。 そんなことを繰り返す。そんな秋。大好きな秋。 最後にnoteを書いた5月から一体何をしていたのかというとただただ日常が慌ただしく目まぐるしく過ぎ去ってゆくのを眺めていた。月日は百代の過客にして、行きかう年もまた旅人であるのを粛々と感じていた。まったくのうそだけど。適当。

      • 大好き怖い

        「人間誰でも怖いものってぇのがあるんだ。それは何故かってえと…」 落語、まんじゅうこわい、の冒頭部。 * わたしの怖いもの。それは娘からの「だいすき」だ。 まんじゅうこわい、と違って、本当に「だいすき」が怖いのだ。怖くて怖くてたまらない。 幸せな言葉のはずなのに。たくさん言ってもらいたいはずなのに。 娘は、わたしのことが大好きだ。それは紛うことなき事実であり、そこに裏も表もない。屈託のない笑顔で「ママだーいすき」と飛びついてくるのは、たまらなく愛おしい。 それだ

        • 創作/SS『夕陽の照らす虹のふもとで』

          ぼくは、ふらりと家を出た なんだか疲れてしまった 体中がもう休みたいと言っている気がする 大きく伸びをした ぶらりと歩こう どこまで行くかは考えていない 少し遠くまで 誰にも見つからないところで休もう あの家は心地がいい 暖かい部屋に美味しいご飯に、大事にしてくれるひとたち ぼくにはよくわからないけど、多分これが幸せ、なんだと思う うん、ぼくは、幸せだった さてどこへ向かおうか とりあえず足を動かすことにする きっと、行く先は自分の体が教えてくれる 昔のようにスタスタと

        ずっとずっと、ずっとの約束

          思考回路はショート寸前

          いつの間にか、3月はいなくなっていて、当たり前のように4月がそっと背中を押していた。 桜が降っている下を、娘と2人で歩いたり走ったりするのは4度目なのだけれど、彼女はいつから桜が咲くことで、春の訪れたことを感じるようになるのだろう。今のところは、落ちてくる花びらを一生懸命手にとろうと、さながらとなりのトトロに出てくるメイちゃんがまっくろくろすけをパチンと叩くように、ぱちんぱちんとやってみては手中に収まらず、ママとって!!と言っているだけなのだけれど。 * さて、今日は、

          思考回路はショート寸前

          創作/SS『やりたいことノート』

          1冊のノート。僕はそれを持っていくか悩んで、ひとまず机に置いた。 ネクタイをしめながら窓の外を見る。 今日は天気がいい。でも、少し風が強いみたいだ。 桜が、散っている。 * 僕たちは、一緒に住むときにノートを買った。 厳密に言えば、君が買ってきたんだ。 やりたいことを書き出していって、一緒に全部やるんだと君は言った。 どこかで見た映画みたいだけど、なんだかとても楽しそうな提案だった。 思いついたら書いて、終わったものには線を引く。 初めに書いたのは、最後のページだった。

          創作/SS『やりたいことノート』

          詩『宝石箱のなかみ』

          一かけらの今 詩の投稿コンテスト「遠い日の恋」投稿作品 たとえば、授業中 ななめ後ろから見る眠そうな目 こっそり投げつけた消しゴム たとえば、帰り道 夕焼けに照らされた横顔 握った手のあったかさ たとえば、二人乗り しがみつく君とにやけた僕 くすぐったい背中 たとえば、それは、過去 小さい綺麗な石のような 僕にしかわからない 大切なひとかけら * Twitterでおこなわれていた、詩の投稿コンテストにて大賞をいただきました。素敵な作品がたくさんあるので是非見てみ

          詩『宝石箱のなかみ』

          ハローハロー、一方通行応答ナシ

          今日も今日とて、家事して育児して仕事して、1日が終わる。 そして、ふと思う。 わたしは今日誰と話した? 娘。夫。バスの送り迎えのあいさつ。 以上。 * 子どもが生まれて、仕事を辞めて、在宅の仕事になって、めっきり人と会話する機会がなくなった。 いや、娘を介した会話はたまにある。ママ友?でもそれって、娘ちゃんのママとしてのわたし。 わたし、は一体どこに行っちゃったんだろう。 お喋りはもともとそんなに好きでもないし、人と四六時中一緒にいたい訳でもない。家にいるのも苦

          ハローハロー、一方通行応答ナシ

          初めましてのキミと腕を組む

          ほっこりした話を集めている企画があると知った。 なんて、なんて素敵な企画なんだろう。 ほっこりって、まず語感がいいよね。ほっこり。 ほっこりして、にっこりして、ゆっくりしよう。 * 今日あったこと。 スーパーで買い物をしてたの、1人で。 そうしたら、小学生かなと思う男の子が走ってきて、わたしと腕を組んで歩き出したんだ。 あれあれ?あれ…? あっけにとられてしまったのと、人違いしてるんだろうななんて声をかけようかなと思っているうちに、何歩か歩みを進めるわたしたち。 その

          初めましてのキミと腕を組む

          ワンオペのち愚痴と弱音

          なんか今日は愚痴を言っちゃいたい気持ち。 心の中に隠しておけない気持ち。 書き捨てたい気持ち。 * なんかな、体調悪くてさぁそれに伴ってメンタルもガタガタ そういうときってあるじゃない?ねー お腹も痛いし、貧血気味でふわふわしてるし 昨日お風呂場で立ちくらみして棚に突っ込んでできたたんこぶ痛いしさ それでもなんとかかんとかやってるんだよ 幼稚園行ってる間に最低限の家事して、仕事して、買い物行って 娘が帰ってきたら、おやつ食べさせて一緒に遊んで夕食作って風呂入れて 座

          ワンオペのち愚痴と弱音

          言うほどのこと

          何かあったら言ってね 大丈夫? 無理しないで とてもとても優しい言葉たち。 でもわたしは、これを言われたらすくんでしまう。どうしたらいいのかわからない。回線が壊れたように、にっこり笑って「ありがとう!」「大丈夫だよ」と返すのだ。 * わたしは、自分のことを言うのが苦手だ。苦手どころではない。そもそも選択肢が存在すらしていない。本当にしんどいときこそ、言葉は奥へ引っ込んでいく。辛い、とか、助けて、とか、無理かも、とか。言葉は存在するけど、それを外に出すことはない。 な

          言うほどのこと

          産後クライシスとしあわせな家族像

          ママー、なんでうちには赤ちゃんこないの? そう、だよね。いたらいい、よね。 * 娘はいま、世話焼き隊の隊長だ。 ぬいぐるみたちをタオルにくるみ寝かしつけをし、おむつを替えろとわたしに命じ、ごはんを作って食べさせる。おままごと。 わたしもおままごと好きだったなーなんて思いながら相手をする。 そのとき、ふと娘が言う。 「赤ちゃんが来たら、いっぱいお世話するの!」 「そっかぁ、もしかしたら来ないかもしれないよ」 「なんで?」 「んー、うちには娘ちゃんがいて、パパもママもとって

          産後クライシスとしあわせな家族像

          感情に名前をつけてみる

          今日のわたしは、もにゃもにゃしている。 * 最近意識的に行っていることがある。 感情のラベリング 今自分がどんな感情なのかを客観的に見て、ラベリングしてみる。 ただそれだけ。 たとえば、夫が休日は大抵10時頃まで寝ていて、わたしはイライラして、何で起きてこないのかと憤る。そのときに「怒っている」とラベリングする。そっかわたし怒ってるんだなと気づく。怒っているからどうこう、ではなくて、ただ怒っているという事実を見るだけ。 これが何になるんだろうと思っていたのだけれど

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          わたしのナイトルーティン:寝かしつけ

          なんのことはない、ただナイトルーティンという言葉を使いたかっただけ。 そう、寝かしつけのお話。 といっても、こうしたら寝るよ!こんなやり方あるよ!ではない。寝る前にする「おはなし」について。こっれがまた大変なんだ。 我が家では、夕食の後、食器を洗ったり片づけをして、塗り絵やお絵かきをする。そのあと絵本を何冊か読む。そして歯磨きをして、寝室へ行く。 文字にすると、なぁんだこれだけ!と思われる方もいるかもしれないが、ここまでくるのに相当な時間と労力を費やしているため(公園、

          わたしのナイトルーティン:寝かしつけ

          創作『境界線が溶けるとき』

          夢を見ていた。 何度も、何度も繰り返して。 僕はあの頃、暇なときは図書館に入り浸っていた。 特にすることもなかったし、強いて言うならば、図書館という場所が好きだった。 同じ空間にいるのに、皆が別の世界に入り込む。 小さな小さな、手のひらにある夢の中へ。 そして、僕も夢へと沈んでいった。 図書館で本を読んでいたはずだったのだけれど。 僕は1人の女の子と出会った。 年格好は同じくらい。 まさしく偶然の出会い。 彼女が落とした本を拾うなんて、今時ドラマでもあり得ない、ありふれ

          創作『境界線が溶けるとき』

          創作のようなそうでないおはなし

          目を閉じる 音が消える 想いを馳せる 心の奥のところから浮かんできたものを掬い上げる 取り出して眺めてみたりする そうしてやっと形ができる * さてこれは一体何をしているのか、実際のところを見てみよう。 場所はキッチンである。用意…アクション! 目を閉じる (あー疲れた…)「…ねぇ…ねぇママ?ママぁ??」 音が消える 「ねぇ見てみて!これ!!見てー」(…消えないなぁうるさいなぁ) 想いを馳せる (夕食なにに「あ!ごはんのじゅんび!わたしがおてつだいしてあげるからね!

          創作のようなそうでないおはなし