試写会『JOINT』アフタートークレポート(登壇:監督/小島央大)
※本記事は2021年10月に参加した試写会レポートです。
あらすじ
あらすじ:刑務所から出所して東京に戻ってきた半グレの石神武司は、以前から得意だった個人情報の「名簿」を元手に、詐欺用の名簿ビジネスを再開する。広告代理店から引き出した顧客情報や韓国人の友人・ジュンギからもらった中古スマホの個人情報を合わせて精密な名簿を作り上げ、後輩の暴力団構成員の広野に売ってビジネスを成功させた。 いよいよ裏社会から足を洗おうとする石神だったが、その矢先に、大手取引先から彼の過去が問題視され「石神を外すように」と条件が出されてしまう。曖昧で歪んだ現代社会の中、自分自身を模索する石神が辿り着く先とは?(引用:Filmarks)
アフタートーク
試写会では監督/小島央大氏、主演/山本一賢氏、出演/キム・ジンチョル氏らが登壇しました。制作エビソードを中心にアフタートークをレポートします。
その後、本作は上映後に話題になり、小島央大監督はこの映画で2021年新藤兼人賞の銀賞を受賞。 主演の山本一賢は2022年日本アカデミー新人俳優賞にノミネートされました。今、個人的に大注目している監督さんです!
制作のきっかけ
映画制作のきっかけは役者さんたちが集まる飲み会(打ち上げ?)で、映画作ろう!と盛り上がったことから。もともと犯罪モノを撮ることだけは決まっていて、最初は保険会社を潰すアイディアから膨らませていったが、結局「どう転がしても保険会社なかなか潰れないな笑」となり、今のストーリー(=オレオレ詐欺)に落ち着いた。
出演者たち
出演者の半数以上は役者ではなく、本業が別にある方々。例えば『荒木』はバスケが本業だし、劇中に出てくる『キャッチのお兄さん』はホントに歌舞伎町でキャッチをやってる人だそうで主演/山本一賢氏が知り合いだそう。他にも『ヤクザの会長』も主演/山本一賢氏のお父さんとのこと。ちなみに主演/山本さんはモデル活動が中心で本作品で俳優デビューになるそうです。なお、みなさん強面な方々が揃っているからか、撮影中は制作スタッフも含めてよく職質に遭ったそうです。アフタートークで笑いながら仰ってました。
カメラワークへのこだわり
監督/小島央大氏によると、ドキュメンタリーに近い手法を取り入れたそうです。曰く、ドキュメンタリーは何が起こるか分からない状態でカメラを回すので、面白いことが画面のギリギリ端っこのほうに映っていたり、ターゲットの動きの邪魔にならないところにカメラを置くから俯瞰や定点になる。そういったドキュメンタリー性を持たせながら、俯瞰じゃない撮影用のカメラも用意して、編集で繋いでテンポ良く見せることを意識したそうです。印象的だったのは「カメラの主観性を大事にした」という言葉。どこに何をどう映すかによって意味合いが変わってくるらしく、お話をお聞きして、かなり計算して撮影したように思えました。
ロケ地は上野
韓国料理屋、ヤクザが集まる喫茶店などのロケ地は上野。それぞれのロケ場所も近いそうで、いつか聖地巡礼してみたいです。
⚠️ここから先はネタバレを含みます。
⚠️未鑑賞の方は、ご注意ください。
アフタートーク(ネタバレあり)
⚠️台本なし
予め決まった台本はなく、決まっているのは大枠の簡単な流れのみ。役者さんたちと監督さんで「こいつ(=キャラクター)なら、こういうこと言うでしょ」と考え、台詞をゼロから作っていった。ちなみに『荒木役』の台詞は主演/山本一賢氏のアイディアがたくさん採用されており、どんどん荒木が格好良い役になっていくことから「やっぱ俺(=山本氏)が荒木役を演じたい!」と監督に言ってみたけど却下されたそうです笑
⚠️デティールはディスカッションで決定
前述の台本にも通じるものがありますが、大枠のストーリーに対して登場人物たちがどんな行動をするのかも監督と役者で話し合って決めていったそう。例えば主人公がカタキ打ちに行くシーンでは「やっぱタケシ(=役名)ならカタキ打ち行くっしょ。でも1人だとキツイから誰か仲間呼んでさ…」みたいな話を膨らませて作品に反映していくと。脚本の当て書きするよりも、もっとディープな作り方してるなと思いました。
⚠️刺青シーン
劇中に出てくる入れ墨を彫るシーンは、実際に彫り師を招いて彫っているんだそう。荒木役を演じている樋口想現氏は、元々身体にTATTOOが入っていて、撮影とは関係なくちょうど新しく彫る予定があったそう。それを聞いた監督が実際の施術の様子を撮影させてもらい、映画のなかに取り入れたそうです。彫っているときの様子がやけにリアルなので必見です。
試写会アフタートークレポートは以上になります。
公開初日にも渋谷ユーロスペースで鑑賞したところ、普段の映画館より客層がアウトローなファッションの方がたくさんいてドキドキしました。
もしかしたらJOINTの続編?スピンオフ?を制作するかもという話も上がっており、続報が楽しみです!
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