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ニガくて青い演劇のはなし


高校演劇。
それは私の青春と”今”を作ってくれた儚いもの。一気に記憶が四年前に遡る。
陰キャ、大会、仲たがい、企画、7人。

今日はずっとやろうと思っていた高校演劇について振り返ってみます。
学生生活も半年切ったことだし、けじめをつける意味でも書いていく。

あ、三年間分振り返るからすんごい長くなる!
なので時間がある時にでも、ゆるゆると見ていってください😌


1.きっかけはメガネ

まず、私の高校生活の始まりについて説明しよう。
第一希望の高校に落ちて、第二希望の女子高に泣く泣く通いはじめることになったさやP、16歳。

当時の私は黒縁メガネをかけていました。
今の自分とは大違いの自己肯定感の低い、見た目からしてThe 陰キャ。

ほんとはコンタクトにしたかったんです。
でもコンタクトを入れるのに二時間弱かかる不器用マンだったため断念。(今は5秒以内に入れるプロです)


そんな若干ブルーな気持ちで桜舞う校門をくぐってみると…
出ました、恒例の部活動勧誘ゾーン。

あれ、全然新入生の気持ち考えてないよなあって思うんだけど、どう思いますか?
普通に知らない人がパーソナルスペース無視して近寄ってくるの怖くない??怖いよね??

と、怯えながらも適当にもらった勧誘チラシを握りしめて、必死にそのゾーンを抜け出し、手元を見る。
テニス部、バドミントン部、卓球部、軽音楽部...。
陰キャとは言え、中学まではバリバリ運動部出身だったので、運動部ばかりにどうしても目がいってしまう。


そう、この時点では演劇部には興味なかったのです。

でも演劇には興味はあった。
昔からテレビっ子で、好きな俳優女優さんはたくさんいて、好きな本のセリフを一人でこっそり声に出して演じちゃうほど、自分とは違う人生を表現できるきらびやかな世界への憧れはずっとありました。

だからと言って、
演劇部に入るほどの勇気はないさやP。
そのキラキライメージが強すぎたからか、陰キャの私はムリだと勝手にあきらめていたんですね…。

なので、第一希望だった硬式テニス部に仮入部してみる。
そして初めての練習が終わり、帰ろうとした時。顧問に驚きの一言を言われる。

「ウチでメガネは厳しいよ?(半笑い)」

めちゃくちゃ驚いた。心底驚いた。
今思うと普通にメガネかけてテニスできるし、ムリだとしてもバカにされる筋合いはないし、何より半笑いがムカつくな!○○な顧問だな!!

荒ぶりました。
でも当時の私はコンタクトしないと運動部はムリなのだと素直に納得し、部員の人達はいい人ばかりだったけど、運動部に入部すること自体を早々にあきらめます。かなしい。


そんな私を見ていた同じクラスの子が声をかけてくれる。

「一緒に演劇部の仮入に行かない?」

YPちゃん。後に演劇部部長となる彼女。
まあ行くだけいってみるかという軽い気持ちで活動場所のドアを開ける。


あえいうえおあお
かけきくけこかこ
させしすせそさそ
拙者親方と申すはお立会いのうちに
ご存じの方もござりましょうが…


なんだこれ…。
これが演劇部の第一印象でした。
何とも奇妙な文章を部員の人たちが大声で読み上げている。

しばらくしたら黒板に絵を描いたり、本を読んだり、最終的にみんなで筋トレまでし始めた。なんだこれ…。(二回目)
と、きらびやかなイメージとはだいぶ程遠い絵面にあ然としてしまう。

でも、なぜかこの空間が好きだった。
居心地がよかった。
メガネとか見た目とか関係ない。
みんなありのままの自分を出して、笑っている。なんてやさしい空間なんだろう。

一瞬で演劇部にハマった。
あのドキドキは今でも忘れられないです。


五月。
初めて見た学内公演。観客は十数人程度。
舞台と客席の間は1mもなく、美術は椅子と机くらい。
音響は携帯から流し、照明は教室の蛍光灯のみ。最前列に座る。

今だから言えるけど、正直クオリティは低かった。たしか、ファンタジーな世界観の作品。
内容もベタなもの。

でも自分の目の前で、ほぼ0距離で演じるその声、目、息、動き、全てに心がもっていかれた。つかまれた。それはとてもきらびやかだった。

そして五月の終わり頃、入部することを決める。
メガネじゃなかったらきっとテニス部に入っていたし、YPちゃんに声かけられなかったし、演劇部の存在すら知らなかったし、学内公演すら見なかったと思う。
そう考えると、陰キャで良かったなあ…メガネでよかったなあ…と、初めて思えたのでした。



2.役者と裏方の器用貧乏のはなし

そんなこんなで演劇部ライフがついにスタート!お待たせしたゼ!

入部してまず思ったこと、オアシスやん…!
クラスが嫌いだったわけではないけど、圧倒的に居心地がいいんですよね。部活って不思議です。

その中でも私は先輩後輩混ざってやる即興劇が大好きでした。
グループに分かれて、お互いのグループの初めと終わりのセリフをそれぞれ決めて、あとは自由に即興劇を作る。

その初めと終わりのセリフが全然関係ないものだとよりオモシロい。
起承転結がめちゃくちゃな劇をみんなであーだこーだ言って、ニヤニヤしてワイワイする時間。なつかしいなあ。


こんな感じのゆるーーーーい演劇部でした。
いい意味でも、悪い意味でも。

それを特に感じたのが三送会。
お世話になった三年生に感謝の気持ちを伝えるためにみんなで色んな企画を考え披露する会です。

その中でもメインであり、一番力入れた学年別の劇。
これは同期だけで脚本も演出もすべて自分たちで考えて作り上げる劇のこと。
ここで初めて私は役者を経験することになる。


実はこれまでスタッフしかしてきませんでした。
本音をいうと、入部当初から役者をしたかった。
でもここで「あー、無理だろうな」ってあきらめてしまう私。

なぜなら毎回作品を作る時オーディションをするのだけど、大抵受かるのは実力もあり年功序列的に先輩、そして演劇経験のある同期。
総じて華がある。

それを目の前にしたら自信が出なくなってチャレンジができないのです。
つまり、落ちた時に傷つくのが何よりも怖かったということ。

自業自得だけど、そこから私は裏方のスポットを担当することになる。

通称ピンスポ。
舞台上で特定の役者を照らすアレです。

画像1

※必死に覚えようとメモってた。


結論から言うと、裏方に向いていたことがわかる。
当時から人をサポートしたり支えたりすることが好きだったからはまり役だった。
何なら裏方を極めようと思ったくらい。

目立つポジションじゃないけど、
裏方は舞台を作るうえで必要不可欠なとっっっても大切なポジションだという、演劇をやっていく上で超重要なことをこの時期に学べたのは大きかったです。


そして迎えたこの三送会。

同期のみんなで話し合って全員が役者をやることに決めた。
心のどこかでガッツポーズする自分がいる。

やっぱりやりたかった、嬉しい!って気持ちと
これでいいいのかという中途半端な自分の気持ちに一人モヤっとする。
白黒はっきりしたい性格が出てますね…。

ちなみに同期は七人。めっちゃ少ないです。
全然関係ないけど、大学でも私がいる学部の人数も一番少ない。なんで??

この同期達の話はあとで書きますが、
ハイスぺ個性爆発集団ということだけ先に書いときますね…。


とはいえ、一から舞台を作るのはやっぱり大変。
その中でも特に稽古場作りに苦労したのを覚えている。

いいものを作りたいと思いつつも、みんなで意見ぶつけてバチバチしながら作りたくない。
わいわい、なかよく、楽しくやろうよ。
そんな演劇部のゆるーーーい雰囲気にのまれていた。

当然ふわふわした稽古だった。

役者経験のある人がいたのが救いだったけど、指導する人はいないからメリハリがつかない。
(ちなみに顧問の先生はほぼゼロに等しいくらい部活に顔を出さないタイプ)

だからどうしてもすぐふざけちゃうし、休憩もすぐとって真面目に最後まで取り組めない。

時間は限られているのに。
どんよりした時間がただただ過ぎる。

「でもさ、一年だからしょうがないよね」っていう先輩の声が聞こえた。

先輩の優しさと冷たさを向けられた瞬間。
悔しかった。しょうがないなんて言い訳だ。

でもみんなに言える勇気はない。
私は平然を装うことしかできませんでした。


迎えた本番。

ウケた、めちゃくちゃウケた。
内容は簡単にいうと、
居酒屋で繰り広げられるヤクザとオカマのヒューマンカオスなコメディ劇です。
なにこれ、めっちゃ面白そう。

そして私はここで謎にキレキャラポジションを獲得する。
役でブチギレるシーンが何ヵ所かあって、どうもそれがハマってたらしい。
なお、一時期大学でもそのポジションは維持していた。キレ役には縁があるみたいです。


こんな感じで稽古で感じてた不安はあっけなく笑いで消えていき、気づいたら終わっていた。

初めて人前でちゃんと演じた。
緊張して正面すら見れなくて、声は震えるし、自信ないから手探りで演じて、頭の中は自分のセリフを追うので精一杯。立派な大根役者でした。

でもめちゃくちゃ楽しくて、もっとやりたいとも思った。
何より自分の殻を破れた実感があった。
自信がなくて陰キャでいつも傷つかない選択肢をとっていた自分をやめたい!と初めて思いました。

そこから勇気を出して、一年の終わりに新歓で発表する舞台のオーディションを受ける。そして受かる。
オーディションはやさしく迎え入れてくれた。

そして気づいたら、私はここから卒業するまで役者の道に進むこととなる。
ピンスポのメモはもう見なくなっていた。

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※初台本に書いてあったメモ。
失敗を笑いで逃げていた時代…恥ずかしい。



3.もがき苦しんだ高2の夏

気づいたら一年経っていて、あっという間に高校二年生になったさやP!

先輩はもう引退して、代わりに後輩が入ってきて、私は副部長になった。
慌ただしい毎日を送っていた記憶があるなあ。

さて、ここから役者街道を突っ走っていくわけですが、この高2の夏が私のなかで一番辛く悩んだ時期でした。

それを語る上でかかせないのが同期の6人。
先ほどハイスペ個性爆発集団と言った彼女らのこと!
さっそく紹介していきます✌︎


①YPちゃん
我らの部長!みんなのリーダー的存在で、正義感が強い。
一番演劇歴が長くて(多分)、ずっと役者をやってきた子。
基礎がしっかりしてるから、先輩にも一目置かれていました。絵も上手い。声もいい。
ここまで書くと超いい子に見えるけど、実は…って感じの子でもありました…モゴモゴ


②HRちゃん
天然癒し系みんなの妹的存在!
会う人みんな絶対愛でたくなると思う。
運動神経がとにかくバツグンで、陸上をガチでやるようなスポーツマンな彼女がなぜ演劇部に入ったのかは未だ謎…
彼女は主に裏方全般をやっていたけど、三送会の時に初披露した演技は最高だったなああ


③NKちゃん
コミュ力高い&人懐っこいから先輩後輩同期、誰からにも好かれるThe人気者!
彼女がいるだけで場が明るくなる、その才能は本当に唯一無二だと思う。
主に脚本演出を担当していた彼女。
色んな本を読むし好奇心旺盛だから、彼女の書く話はとても楽しい。まじハイスペガール。


④YYちゃん
男装するために生まれてきたかってくらい男役がハマるイケメン女子!バチバチに華がある。
彼女のおかげでどれだけの後輩が入部してくれたのやら…もちろん演技も上手い。
そして絵も上手い。YPちゃんとはまた違ったタイプの絵を描く。NKちゃんと大親友。


⑤MSちゃん
小柄なプロ意識がめちゃくちゃ高い努力家!
彼女は主に小道具や衣裳担当だったけど、そこに賭ける思いがすごい。細部までこだわる姿はまさに裏方の鏡。頼もしい存在でした。
一見お姉さんらしさあるけど、心を許すと甘えん坊なかわいい気分屋さん。罪な女だよ!!


⑥Michael
ここにきて急に本名(ではないが!)
彼女は演劇部にはかかせない存在、大天使
ちなみに同期の中で私が一番心を許した子。
とにかく聞き上手で、部長とはまた違った形でみんなを支えてくれていた。
彼女も主に脚本演出担当。NKちゃんとはまた違った世界観の話を書く。言葉が綺麗ですごく好き。


…いかがですか?
いかに個性が強いメンツかがわかるかと思う。
まあ演劇部ってそういうもんだよね!!!
個性強くてなんぼだよね!!!!


そんな性格もバラバラな私たちでしたが、仲は良かったです。そう、初めは。

そのバランスが崩れたのがこの高二の夏でした。
先輩がいなくなると守られていた何かが急になくなったようで、だんだんみんなが本性をあらわにしていくんですよねーー…。


そのきっかけの一つになったのが演劇部の夏にかかせない一大イベント、全国高等学校演劇大会です。

地区大会から全国大会までそれなりの規模で行われて、審査員によって評価され賞がもらえる演劇の大会です。
ちなみにNHKで"青春舞台"という名でその様子が放送されていたりもする。


これに私たち7人は力を入れようと決意する。

もちろん私の高校は強豪校ではないから、全国大会にいけるほどの実力はなく、毎回いつも地区大会止まりで賞も特にもらえていなかった。

でも私たちはできる限り上を目指そうと、この夏に賭けることになりました。


そしてこの7人という人数は歴代の部員数の中で一番少なかった。
だからかなのか、強い結束力とチームワークはあって絶対に結果出してやる!って意気込んでいたのを覚えています。


しかしそう上手くはいかない。
夏の集中稽古が始まったあたりから、何かが壊れていく。


正直、細かくは覚えてないけど大きな原因はこれしかない。

それは、同期の関係が悪くなったということ。

名前はさすがに出さないけど、ある同期三人の間で仲たがいが引き起こされてしまったのです。

簡単にいうと「友だち同士の嫉妬と独占欲」によるもの。
そんな女子特有のドロドロ三角関係がこの夏に起きてしまった。(女子はわかってくれるはず)

以前からその片鱗はあったけど、それがこの夏にじわじわと燃え上がり始めるんですねーー…。

そんな状況で毎日稽古を行うことはかなり地獄でした。

私含めた残りの同期4人はこの内部事情を後輩たちや顧問の先生に悟られないように、心配をかけさせないように必死にフォローすることになる。

「なんで私たちがみんなのご機嫌取りしてるんだろう。」

そんな疑問は湧いたものの、まずは大会で結果を残すことを第一にただただ稽古を重ねていきました。


そして私は当事者三人から相談される中立な立場でした。
まあつまり一番めんどくさいハザマ的立ち場なわけで…

今の私ならきっと上手く立ち回れたと思うけど、当時の私は誰からも嫌われたくなくてみんなにいい顔したくて、三人の愚痴を真正面から受けて、頭いっぱいになって結果病むという(笑)


そしてついに私は爆発してしまうのです…あああ(フラッシュバック)

それはたしか本番一週間前の稽古だった。

実はこの同期ゴタゴタ内部事情のほかに、後輩のやる気のなさという問題も私たちは抱えていました。しんどすぎんか??

大会に向けてのやる気や熱量が、私たちと後輩では大きく違ったのです。

ほんとは私たち先輩が後輩に大会に懸ける思いをちゃんと伝えるべきで、そこから部員全体の気持ちを一つにしなければならなかった。

でもそんな後悔や反省は今だからわかることであり、当時の余裕のない私たちはただただイライラが募るばかり。


そしてその時は来る。

さやP「みんな聞いてる!?!?!?本気でやろうよ!?!?」

人生で初めて声を震わせながらブチ切れた瞬間。もちろん演技ではなくガチ。

演出家の子のダメ出しを聞く気ない後輩に向けて、私が死ぬほど怒鳴り散らかした。
黒歴史~~~!!
一番ダメな怒り方だわ~~~!!

と、家に帰って一人大反省会をしたわけだけどこれが功を奏したのか、この日以降スムーズに稽古が進んだのでした。(完)


そんなドタバタを終え、本番当日。

役者の1人がセリフ飛んで私がアドリブでつないだり、色々とアクシデントはあったものの気づいたら終わっていた。
三送会でも思ったけど、演じるってほんと一瞬なんだよね~~
人生で一番短い60分間でした。


その日の帰り道。

家に向かうまでの大きな坂道を下っている時にスマホが鳴る。

『みんな~!奨励賞受賞したよ!』

その文面を見て、気づいたら長い下り坂を全速力で走っていました。

優秀賞でもないし、全国大会に行けるわけでもない。
でも全てが報われたような気持ちになって、みんなで結果を残せたことが心から嬉しくて、とにかく嬉しくて泣いたのを覚えています。

でも、そんな喜びもすぐに終わりを告げる。

同期の仲をつなぎとめていた細くて脆いモノが切れてしまうのでした。


大会も終わり、次の公演に向けて稽古を進めていた日のこと。
顧問の先生に同期全員が呼び出された。

どこからこの内部事情がもれたのかわからないけど、なんと私たちの学年の先生方全員がこのことを知っていて、いじめ疑惑まで出ているとのこと。


今まで感じたことのない空気の重さと悪さ。

次第に泣き始める子、その場を無言で立ち去り帰る子、それを追う子。
そんな当事者たちを前に何も言えず、ただその場にいることしかできなかった私は初めて”絶望”を感じました。


そのうち当事者の一人が不登校気味になり始める。

表向きには体調不良と言いつつ、もちろん後輩も薄々気づいていたはず。

「これは私たちの問題、後輩に迷惑かけちゃダメだ」

副部長だった私はこんな風に負い目や責任を感じて、何とかみんなをまとめなくちゃと躍起になっていた。空元気全開だった。

でもそんな自分が次第に演劇部員を演じている人に思えてくるのです。

私はまだ演劇部をあきらめていないよ、頑張ろうよ!
と、みんなに見せつけて自分を安心させるかのように。

苦しくて、逃げたくて、辞めたくて、でもそうしたら自分の存在価値が消えてしまいそうだから、副部長という名を借りてみんなを支えているかのようなずるい自分を演じて。


気づいたら高校三年生、受験の年。

あの夏から気持ちは何一つ変わっていないまま、春を迎えました。



4.沼という言葉を知ったLJK

さてさて、3の重々しい話はいかがでしたかー!
自分で書いていても苦しくなってきたので、ここからは明るい話をしていこうと思うよ!!


演劇部生活にもそろそろ終止符が打たれるこの時期、高3の冬。

あの夏から絶望と虚無感を抱えていたさやPも気づいたら受験生!


当然のように進路をどうするのかと悩むわけですが、大学に進もうとは漠然と思っていたものの、興味のある分野が演劇しかないという大変な状態…視野が狭すぎる。

まあやりたいことが明確なのは幸せなことかもしれないけど!


こうなると大体志望する大学は限られてくるのですが、なかなか決まらない。

次第にそれは自分は役者やスタッフをしたいんじゃなくて、
演劇を広めることをしたいからなんだと分かりました。

その根底には演劇という「自分を変えてくれた存在」が大きかった。

演劇部で色々あったにせよ、何か演劇に恩返しをしたい気持ちがそうさせたんだと思う。

ちなみにこれは今も変わらない思いであり、夢でもある✌︎


と、自己分析っぽいことをしていくうちに私は”企画”に一番興味があることがわかりました。

当然周りからは演劇なんて…っていう否定的な意見は多かったけど、それでも私はやりたいと強い意志をみんなに伝えていた。


・自分のやりたいことに妥協はしない
・決めたからには何がなんでもやり遂げる
・できないことに言い訳を見つけない


と、当時の私はかなり強気に大人たちと絡んでました(笑)


そこから自ら何か生み出せる環境がある大学を探し、トントン拍子に志望先も決まり、無事今の大学に合格します。バンザイ!!(詮索しないでね!)



さて、そこから卒業するまでの私はというと観劇オタクと化します。(唐突)

週一で何かしら観ていたから散財がまーーーあひどかった!それもいい思い出だけど!


主に同期のMichaelと小劇場界隈の演劇を観まくっていたのですが、ここでターニングポイントとなる舞台を観劇することになる。


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それがこのレティクル東京座「昴のテルミニロード」

自己紹介noteにも少し紹介したけど、この作品は私にとって一番大切な作品です。


きっかけはMichaelに誘われたところから。
Michaelがいなかったら今の私はいないよ、ありがとうありがとう…

だけどごめん、初めはどんな拷問がされるの?としか思っていませんでした。(土下座)

(だって手錠されてるし…許さないとか言ってるし…どんなプレイやねん…)


初見のインパクトが強すぎて若干ビビりながら、制服着たLJK2人が王子小劇場に乗り込みました。

入るとそこには、狭いブラックボックスの中に大きくそびえ立つ凝ったセットの数々。

一体何が起きるのか…ワクワクでもドキドキでもない、落ち着かずそわそわしちゃうのは今まで感じたことのない感覚でした。


観終わって総括して言えることは、
目を離したらいけないと本能で感じた舞台だということ。


役者全員が白塗りをしているという異世界感やアングラっぽいダークな感じはありつつも、
照明音響衣裳などに一切の妥協が見られない本当にすばらしいエンタメ作品でした。

内容ももちろん面白かったけど、それ以上に裏方の圧倒的な底力を見せつけられたような気がして震えました。

終演後はしばらく放心状態だったなあ…


そのあとレティクルライブなるものもあって、あんなに血糊大量に使って死に絶えてた役者が可愛く元気よく踊るもんだから、まじ錯乱状態。

あまり言語化しすぎるとこの舞台のすごさが伝わらなさそうだから、この辺でやめる!


そして恐ろしいことに気づいたら二回目の観劇もしちゃって、驚異のコミュ力を発揮して役者さんとツーショットもして、その内の1人がダンスWSを主催されてるからノリで高校生一人飛び込んで、作演の方のお話会にMichaelと飛び入り参加もしてーーー…


そう、これが「沼」です。ずぶずぶハマりました。

私は初めて一つの劇団にハマり、推しの役者ができ、レティクルライブではペンライトを振り、ブロマイドを買い、ファンクラブに入会し、追っかけをするというオタク活動に目覚めました、、、!!た、楽しいい!!


これまで何かにハマるという経験をしたことがなかったので、自分の好きなものにただただ溺れるというのは世界が広がることでもあるのだと初めて気づきました。

と、同時に私もこんな風に多くの人を感動させられる企画を作りたい!
という大学に入ってからの野望もより強くなりました。


高2の夏に鎮火しつつあった演劇熱が再熱したのは、
紛れもなくこのレティクル東京座の「昴のテルミニロード」です。


感謝してもしきれないくらいの出会いを卒業間近に得られた私は幸せ者だなあ。



5.青春の味

一万字も超え始めたこのnoteも終わりに近づき始めました。
長すぎてビビるどころか、冷静になってきつつある。

三年間分を振り返る、と言ってもまだ三分の一しかかけてないけど、そろそろまとめに入らなくちゃね!


ここまで見た方はわかると思うけど、私の青春は紛れもなく「高校演劇」に捧げていました。

そしてこの「高校演劇」というのが二度とできないものでもあります。


単に年齢の問題だけではなく、演劇に対する熱がそもそも違う。

その答えはNHKの「青春舞台」を見たらすぐわかると思います。(他人任せ)

三年間という一瞬で過ぎ去ってしまうこの時間に、演劇に全て懸けるほどバカらしいことも尊いこともないんだと気づかされる。


気づいたら、演劇を始めて7年経っていた。

大学でも演劇を続けていく中で、念願の企画担当もできたし、演劇関係の人脈も広がって世界はとっても広がりました。

でも、あの狭いコミュニティでただただ楽しいと思えるものを作って、時に大人ぶった演劇を作って自慢げに披露しちゃう、「強気な若さ」を持った高校演劇はもうできないんだなと気づいて寂しくもなったなあ。



最後に。
私の青春を語るうえで演劇以上に外せないものを書いて終わります。

それは、、、ファミチキとおでんです!!

ここにきて感すごいけど、部活帰りに食べたものって鮮明に覚えていませんか!

私の場合、それが少し冷えたファミチキと熱々おでんなのです。

仲たがいしても、思うように稽古が進まなくても、部活に行きたくない日も、早く授業が終わってウキウキな日も、コートに縮こまって早歩きでさむーい!なんていう日も、自分に自信がなくなっても。


この二つのどちらかを食べれば、なんかどうでもよくなる気がしました。

おでんには大根と牛すじと卵は必ず入れて、ホッとして沁みるわーとか言って、駅のさびれた椅子に座ってハフハフ言いながら友だちと食べる。

自分では変わらず元気だと思っていても、ファミチキから肉々しい味がしなくて、そこで意外と心疲れてるんだなってわかったり。


オモシロいことに、この二つの食べ物からは必ず演劇部のことがセットになって思い出されます。

どんだけ高校演劇大好きなの、とあきれながらもちょっと嬉しくて、ホッとするのでした。




p.s.みかえる
一万字超えた私の高校演劇愛、ご覧あれ!
お題「読書感想文」

#エッセイ #演劇 #高校演劇 #芸術 #創作 #小劇場 #青春 #椿町文学倶楽部  

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