#299 響き渡る掛け声


100人近くの新入生が輪になって、一斉に柔軟体操を行う光景。新人担当のラグビー主務から順番に数を数えるように指示があり、グランドでは新入生の大きな声で数を数え上げる声が響いていた。もちろん練習中に私語厳禁だったので必然的に掛け声のみが聞こえてくる音となっていた。
僕は近くにいた新入生が、僕が着ていた高校ラグビー部の名前がローマ字で入ったウィンドブレーカーを見て声を掛けてくれたので一緒に柔軟体操をした。母校は花園に連続出場していたので、彼も知っていた様だった。
彼は都立高校出身の旨を教えてくれた。
柔軟体操が終わると、段階を踏むことなく、容赦のない走るメニューが開始された。グランドの4つのコーナーに分かれ、それぞれの場所で腕立て伏せ、腹筋、スクワットジャンプ、背筋を行い、一つのチームがコーナーからコーナーの直線をダッシュし、次のコーナーまで来ると、そのコーナーのチームが同様に次のコーナーまでダッシュを行う。サーキットトレーニングと言われるもので、これが5周ほど行われた。その後もボールに走りこみ、10メートル位ダッシュすることを5往復するメニューが行われ、この時ボールを出してくれるのが上級生で何とも言えない緊張感に包まれていた。
僕は全力疾走は現役で大学受験時の体育実技の時以来だった。とは言え、与えられたメニューをとにかくやるしかなく、必死に走り抜けた。
他にもグランド外で1キロ位を走るメニューも行われ、僕の苦手メニューだったのでより苦しさを感じた。
最後にグランドに戻ってグランド1周を真剣にタイム制限ありで3本行い、それが終わるとより厳しいタイム制限でグランド1週1本。この制限タイムはかなり真剣に走った上で切れるか否かのレベルでの設定だった。
このタイムを切れた者から練習が終わりとなる。
このタイムが切れないと2本目以降、少しだけタイム設定が下がっていくが、1本目で全力を出し切っていると2本目以降余力がなく、切ることはかなり困難になる。
続く…

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