#298 新人練習の始まり
入学式を終え、母と高田馬場駅で別れると僕は西武新宿線に乗って東伏見へと向かった。
東伏見は前年の9月以来となる。前回は観客として試合を観に行ったのだが今回は新入部員としてグランドで実際にラグビーの練習をすることになる。
一体どの程度の練習が行われるのだろうと少し不安に思いながら電車に乗っていた。
東伏見駅に着き、足早にグランドを目指した。同じ電車に僕と同じく新人練習に参加しに来たと思われる者が数人いた。
みんな心なしか緊張している様に見えた。
グランドに行くと、グランドの端で着替える様にラグビー部の新人先輩から言われた。既に多くの新入生達が集まっていた。その後、次々と新入生達が集まり、最終的には100人近く集まった。
ほとんどがお互いに初めて会うものが多いのもあり、口を開く者はほとんどおらず、緊張感が漂っていた。
時間になると新入生全員が新人担当の先輩のところに集められた。
そして一人づず、出席を取り、呼ばれたものは返事をした。
新人担当の先輩はラグビー部の主務の様でかなり威圧的で怖かった。
返事が小さい者は声が小さいと怒鳴られていた。それを聞いた後から呼ばれる者たちは必然と大きな声で返事をした。異様な緊張感でかなり息苦しい状況となっていた。
新人担当のラグビー部主務が新人練習に関しての説明を始めた。
「これから3週間新人練習を行い、最後まで残った者が入部することができる。この中で自分はラグビーが上手いと思っている者は早稲田では必要ない。明治か日体大でも行ってくれ。とにかく最後まで走れた奴が入部すること許可される。心して練習に臨むように。」と言った趣旨のことをかなり威圧的で怖い表情で話を聞いている新入生達を見回し、睨みつけるように言い放った。
この物言いに正直僕は驚いた。ラグビーが上手い者がいらないとは一体どういうことなんだろうと戸惑いを覚えた。
とは言え、新人練習は有無を問わさず、開始された。まずは二人一組となって柔軟体操が行われた。
続く…